風邪の基本情報と、病院を受診すべきタイミング

発熱や咳、鼻水、身体のだるさなどがあらわれると、「風邪をひいたかもしれない」と考える人が多いでしょう。風邪の場合、ひき始めにしっかりと対処できれば、悪化させずに回復することができます。

今回の記事では、風邪の基本情報とひき始めの適切な対処法、病院受診のタイミングについて解説します。

風邪をひいてもどうしても休めない方や受診のタイミングがわからない方は、ぜひ最後までお読みください。

風邪を悪化させる前に治し、必要なら適切なタイミングで受診しましょう。

1.風邪とは


一般的に「風邪」と呼ばれているものは、風邪症候群のことを指します。

風邪症候群は「呼吸症状を伴う自然に治癒する感染症の疾患」と定義されており、以下のような症状があらわれます。

・発熱
・頭痛
・倦怠感
・鼻汁、鼻閉
・咳

このほかにも、消化器症状や関節痛、筋肉痛などの症状があらわれるケースもあります。病原体の感染部位によって症状が異なります。

風邪症候群は、ほとんどがウイルスの感染症です。症状は、2日~3日目がピークで、徐々に軽快し7日~10日程度で回復します。

【参考情報】『風邪の鑑別診断』日耳鼻感染症エアロゾル学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsiao/8/3/8_172/_pdf/-char/ja

【参考文献】”Common Cold” by MayoClinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/common-cold/symptoms-causes/syc-20351605

2.ひき始めの風邪の対処法


風邪は、ひき始めの対処が大切です。悪化させないために、早めに対応し、身体を休めましょう。風邪のひき始めに大切な、3つの対処法を紹介します。

2-1.十分な睡眠

まずは、十分な睡眠をとり、身体を休めましょう。

睡眠不足や疲れは、抵抗力や体力が落ちており、体調を崩しやすい状態です。また、一般的に、十分な睡眠は免疫力を増強させるといわれています。

身体の中に入ってきた病原菌をやっつけるため、十分な睡眠をとりましょう。

2-2.消化によい飲食

身体の中に入ってきた病原体と戦うためには、体力が必要です。そのため、栄養のある消化のよい食事が大切です。

煮込んだうどんやおかゆなど、お腹に負担をかけないために、消化に良い食事が望ましいです。

しかし、腹部症状がある場合、なかなか食べることが難しい場合があるでしょう。そのようなときには、無理をせず、ゼリーやスープなど食べられるものを食べましょう。

2-3.身体を温める

ひき始めの風邪を早く治すためには、身体を温めることが大切です。体温を上げることで、免疫力を活性化し、身体に入ってきた病原体を撃退しやすくなります。

身体を温めるのは、ただ単に厚着をするだけではいけません。温かい食事や飲み物を飲んだり、38℃程度のぬるめのお風呂に長めに入ったりするのも、身体を温める効果があります。

ただし、お風呂に入るのは体力も必要です。体調次第では無理にお風呂に入る必要はありません。

3.病院受診のタイミング


風邪をひいたとき、「これくらいなら大丈夫だろう」と様子を見て、長引かせてしまったことはありませんか?

もちろん、風邪をひいたからといって、すぐに病院に駆け込む必要はありません。自宅療養で十分改善する可能性はあります。しかし、受診のタイミング次第では悪化してからの受診になりかねません。

病院受診の適切なタイミングについて解説します。

3-1.呼吸器や鼻、耳などに症状がある場合

激しい咳が続く場合や、呼吸が苦しい場合には、気管支炎や肺炎を併発している可能性があります。以下のような症状がある場合、早めに呼吸器内科を受診しましょう。

また耳や鼻の奥が痛む場合や、耳が詰まるような感覚がある場合には、中耳炎や副鼻腔炎の可能性があります。

以下のような症状がある場合、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

【気管支炎の症状】
・38℃程度の発熱
・長引く咳
・痰

【肺炎の症状】
・38℃以上の高熱
・息切れ
・チアノーゼ(皮膚や粘膜が青紫色になる状態)
・胸の痛み
・全身のだるさ

また耳や鼻の奥が痛む場合や、耳が詰まるような感覚がある場合には、中耳炎や副鼻腔炎の可能性があります。

以下のような症状がある場合、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

【中耳炎の症状】
・耳の痛み
・耳が詰まる感覚
・耳だれ

【副鼻腔炎の症状】
・鼻水
・鼻詰まり
・頭痛
・顔面痛
・嗅覚障害
・後鼻漏(粘り気のある鼻水が喉におりてくる)

これ以外にも、呼吸器や鼻、耳で気になる症状があれば、早めに受診しておくと安心です。

3-2.風邪ではない感染症を疑う症状がある場合

最初は、「ただの風邪だろう」と思う症状でも、39度以上の熱が3日以上続いたり、発疹が出たりする場合には、別の病気の可能性があるでしょう。

また、家族や身近な人が風邪以外の感染症にかかっていたら、その感染症がうつっていることが考えられます。受診の際に、家族の状況も踏まえて医師に伝えておくと、診察がスムーズに進むでしょう。

療養していても症状が改善せず続いている場合や、悪化をしている場合には、早めに医療機関を受診しておくと安心です。

3-3.咳が2週間以上続く場合

ほかの風邪症状は落ち着いても、咳だけが長引くケースも多いです。この場合、風邪だけではなく肺炎や急性気管支炎を併発している可能性があります。

風邪の場合、徐々に症状が軽快していくのが一般的です。しかし、症状が落ち着かない、咳が長引いている、療養しても症状が悪化しているというような場合には、早めに医療機関を受診しましょう。

また、咳が長引く原因として、気管支喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)、アトピー性咳嗽(がいそう)、肺がんなど、風邪とは直接関係がない病気が隠れているかもしれません。

咳が2週間以上続き、状況に変化がない場合は、呼吸器内科を受診し適切な検査や治療を受けましょう。

【参考文献】”Chronic Cough” by Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/symptoms/15048-chronic-cough-overview

【参考情報】『長引くせきには必ず原因があります!』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/42/feature/feature01.html

4.おわりに

風邪は、呼吸器の症状を中心に、さまざまな症状があらわれます。

「風邪をひいたかな」と感じたら、早めに対処することで悪化を防ぎ、早くに体調回復が見込めるでしょう。

咳は、非常にあらわれやすい症状です。そのため、「そのうち治まるだろう」と考え受診せず様子を見る人も多いでしょう。

しかし、咳が長引く場合には、風邪ではないほかの病気にかかっているサインの可能性があります。咳がなかなか止まらない場合には、早めに呼吸器内科を受診しましょう。