咳症状から見る新型コロナウイルス感染症
新型コロナウイルス感染症は、咳をはじめとしたさまざまな症状をもたらします。また、後遺症として咳が残ることもあります。
この記事では、新型コロナウイルス感染症について、咳という症状を中心に説明していきます。
コロナを疑った場合の対処法や病院を受診する目安も紹介するので、お困りの方は参考にしてください。
1.新型コロナウイルス感染症とはどんな病気か
新型コロナウイルス感染症は、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)によって引き起こされる感染症です。主な症状として、咳、喉の痛み、発熱、倦怠感、息苦しさなどがあります。
感染しても、多くの方は軽症なので、風邪と見分けるのは難しいでしょう。軽症の方は、喉のイガイガやムズムズなどを感じる場合も多いです。
流行当初と比べ、重症化や死亡の割合は減ってきましたが、高齢者や基礎疾患のある方は重症化のリスクが高いので、やはり注意が必要な病気です。
また、軽症だとしても、後遺症に悩まされることがあります。後遺症の症状としては、咳、息切れ、倦怠感、集中力の低下、味覚障害などがあります。
【参考情報】『新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kouisyou_qa.html
2.新型コロナの咳の症状
コロナに感染した際の咳について説明します。
2-1.咳が出ないこともある
コロナにかかっても、咳が出ないことも結構あります。
そもそも無症状であるケースもあれば、発熱や喉の痛みなどの症状があっても、咳が出ないケースもあります。
コロナといえば咳、と思い込んでいる方も多いでしょうが、咳の有無でコロナと判断することはできないのが実情です。
2-2.痰が絡むことも、絡まないこともある
咳は、痰の有無により、乾性咳嗽(痰の絡まない乾いた咳)と湿性咳嗽(痰の絡んだ湿った咳)の2種類に分けられます。
咳に痰が絡んでいるかどうかで、病気の種類をある程度推測することはできますが、コロナの場合、痰が絡んだ咳も絡まない咳も出るため、咳の種類によってもコロナと判断することはできません。
2-3.後遺症として咳が残ることがある
コロナに感染して咳が出ても、通常は次第に治まってきますが、後遺症として咳が残ることもあります。
後遺症の治療は、咳止め薬などを用いてつらい症状を抑える対症療法が中心となります。
また、コロナをきっかけに咳喘息が発症し、咳が続くこともあります。
3.新型コロナの検査
コロナの検査には、自宅でできる検査と、病院で行う検査があります。
3-1.自宅での検査
もし感染の疑いがあれば、自宅で抗原検査キットを使って検査することができます。
ただし、研究用のキットは国が承認していないので、医療用・一般用医薬品として認められたキットを使いましょう。
【参考情報】『新型コロナウイルス感染症の一般用抗原検査キット(OTC)の承認情報』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_27779.html
3-2.病院での検査
病院では主に、鼻から綿棒のような棒を入れて体液を採取するPCR法で検査をします。
病院で検査を受ける場合、必ず事前に問い合わせを行いましょう。いきなり受診しても、検査できないことがあります。
4.新型コロナの治療
感染した場合、症状や体調をみながら治療していきます。
4-1.安静にして様子を見る
症状が軽い場合は、自宅で安静にして休むことで回復していきます。
コロナが5類に移行したことで、法律上は外出自粛を求められなくなりましたが、発症後5日間は、人にうつしてしまうリスクが高いです。
ご自分のためにも、また感染リスクを抑えるためにも外出を控え、無理をせずに十分な休息をとることをおすすめします。
4-2.対症療法の活用
症状が強い場合は、薬による対症療法が役立ちます。
例えば、咳がひどい場合は、鎮咳剤(咳止め薬)を使って、辛い症状を抑えます。
4-3.重症化予防
高齢者や持病がある方、肥満の方、免疫力が低下している方などコロナの重症化リスクの高い人は、重症化を予防することが大切です。
例えば、ラゲブリオなどの抗ウイルス剤を使って重症化を防ぐことができます。医師の指導のもと、適切な処方を受けましょう。
5.新型コロナかも?咳の対処法
咳を抑える方法のうち、自宅でもできるものを紹介します。
5-1.市販薬を使う
咳の症状がつらい場合は、市販の咳止め薬を使ってみましょう。
例えば、以下のような成分が含まれた薬が有効です。
・デキストロメトルファン
非麻薬性の鎮咳成分です。咳中枢に直接作用して咳を抑えます。服用しても眠気が少ないのが特徴です。
・コデイン
鎮痛や鎮咳、下痢止めの作用がある薬です。咳中枢に働きかけて、咳を抑制しますが、12歳未満の小児は使うことはできません。また、喘息の人は、症状を悪化させる恐れがあるので避けましょう。
5-2.痰が絡んでいるなら出す
痰が絡んでいる場合、去痰薬で痰を出しましょう。
市販の去痰薬には、グアイフェネシン、カルボシステイン、アンブロキソールなどの有効成分が含まれています。これらの成分は、痰を薄くして出やすくします。
また、水分を摂ることで痰が柔らかくなるので、こまめに水分を補給しましょう。
痰の排出を助けるために、体位排痰と呼ばれる方法もあります。痰が溜まっている位置を上にする姿勢をとることで、痰をのど元に集めて出しやすくする方法です。
咳をする前に深呼吸をすることも効果的です。深呼吸によって肺が広がり、痰の排出がスムーズになります。
5-3.ハチミツの摂取
ハチミツは子どもの咳の緩和に効果があるという研究があります。寝る30分前位に摂取すると効果的です。
ただし、1歳未満の赤ちゃんは、ハチミツを食べると乳児ボツリヌス症にかかる恐れがあるので、絶対に与えないでください
【参考文献】『Honey for acute cough in children』
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25536086
6.新型コロナかも?病院を受診する目安
新型コロナの症状は多彩なので、病院に行くタイミングに迷うかもしれません。
以下、受診の目安について説明します。
6-1.すぐに受診してほしい場合
次の症状がある場合は、すみやかに病院を受診しましょう。
・呼吸が苦しくて動けない、眠れない
・顔や唇の色が青い
・肩で息をしている
・ぐったりしている
肺炎が原因で、呼吸困難になっている恐れがあります。
6-2.すぐではなくても受診してほしい場合
以下の症状がある場合は、なるべく早めに病院を受診しましょう。
・咳や発熱、息苦しさ、倦怠感などの症状が強い
・咳や発熱、息苦しさ、倦怠感などの症状が4日以上続いている
・症状は軽いが、重症化リスクが高い人に当てはまる
6-3.コロナでない可能性は高いが、受診してほしい場合
コロナのような症状が続いていても、その原因は別の病気かもしれません。
特に、熱はないけれど、咳や息苦しさが2週間以上続く場合は、喘息をはじめとしたコロナ以外の呼吸器疾患の疑いがあります。
もし喘息だった場合、市販の咳止め薬では、咳を抑えることはできません。病院を受診して、自分に合った薬を処方してもらいましょう。
7.おわりに
咳はコロナの代表的な症状ですが、コロナ以外にも激しい咳が出たり、咳が長引く病気はたくさんあります。病院では問診や検査を行い、咳の原因を突き止めます。
コロナにかかった疑いがある場合、咳があってもなくても、症状が強い方やリスクの高い方は早めに病院を受診しましょう。重症化する前に、適切な治療を受けることが大切です。