咳が止まらない!つらいときに自分でできる対策を紹介します

風邪をひいた後、咳だけがしつこく続くことはよくあります。

病気ではなくても、寒さや乾燥などが引き金となって咳き込むこともあるでしょう。

この記事では、咳が出るメカニズムを解説し、咳を和らげるためにできることを紹介します。

「咳がひどくて夜眠れない」「咳のし過ぎで肋骨が痛い」などの悩みがある方は、ぜひ参考にしてください。

1.なぜ咳が出るのか~咳の役割と種類~


咳は、体内に入ってきた異物を外に追い出すために起こる反応です。異物が入ってくると、気道(空気の通り道)上にある咳受容体が刺激を受け、脳に伝わって咳が出ます。

例えば、風邪などの呼吸器感染症や、花粉症などのアレルギーの場合は、ウイルスや細菌、アレルゲン(アレルギーの原因となる物質)などの異物を追い出すために起こります。

健康な人でも、急に冷たい空気を吸った時や、のどが乾燥した時には、気道の粘膜が刺激され、咳が出ることがあります。

また、気道の粘膜には細かい毛(繊毛)とそれを覆う粘液があり、この粘液が細菌やウイルス、ホコリなどを絡めとった痰を外に追い出すためにも咳が出ます。

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なお、咳には「乾性咳嗽(かんせいがいそう)」と「湿性咳嗽(しっせいがいそう)」の2つのタイプがあります。乾性咳嗽はコンコンというような痰の絡まない乾いた咳で、湿性咳嗽は痰が絡んだ咳です。

2.咳が止まらない時に自分でできること


咳が長引いている時や、息もできないくらい激しい時は、何らかの病気の可能性があるので、病院を受診することをおすすめします。

ここでは、咳がつらいときに、一時的に和らげるための方法を紹介します。

2-1.部屋の加湿


空気が乾燥すると、乾燥により気道が刺激されます。また、異物を除去する働きも弱まるため、咳が出やすくなります。

咳が続いているのなら、部屋の湿度を40~60%程度に保ちましょう。のどが潤い、刺激が治まってきます。

加湿器がなければ、濡れたタオルを干したり、水を入れたコップを部屋に置いて乾燥を防ぎましょう。

また、湯船に入ることでも、のどや気管支の乾燥を防ぐことができます。

2-2.温かい飲み物をとる

飲み物を飲むと、乾燥した喉が潤って咳が出にくくなります。ただし、冷たい飲み物は喉に刺激を与えるため、温かい飲み物にしましょう。

子どもの咳にはハチミツが有効だという報告があります。

【参考情報】『Honey for acute cough in children』National Library of Medicine
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25536086

お子さんの咳が辛そうなときは、お湯にハチミツを入れて飲ませてもいいでしょう。お好みで、レモン汁を少し入れると飲みやすくなります。

※ただし、1歳未満の子どもには絶対にハチミツを与えないでください。乳児ボツリヌス症を起こす恐れがあります。乳児ボツリヌス症は、早期に適切な治療を受ければ多くが回復しますが、命に関わる病気です。

【参考情報】『ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000161461.html

そして、コーヒーにも咳を予防する効果があるといわれています。
コーヒーに含まれているカフェインは気管支を拡張する効果や、抗炎症作用があります。

2-3.喉を温める


首にマフラーやタオルなどを巻くと、気道が温められます。

気道が温められると、気道を通る空気も温められるので、冷気の刺激で出る咳を防ぐことができます。

3.咳で病院を受診する目安


ここまで紹介した方法は、あくまで一時的な対処法です。

応急処置を試しても症状が良くならない場合は、病院で咳の原因を調べましょう。

以下、病院を受診する際の目安です。

3-1.咳が2週間以上続いている

咳の原因が風邪ならば、1週間程度で症状が治まってくるでしょう。

しかし、咳が2週間以上続いている場合は、ただの風邪ではない可能性が高いです。

例えば、咳喘息やアトピー咳嗽(がいそう)などの疑いがあります。

咳喘息は、喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸音)や息苦しさはなく、長引く咳が特徴です。

アトピー咳嗽は、呼吸困難のような発作はなく、長引く咳が特徴です。

◆「2週間以上続く咳」について詳しく>>

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3-2.咳のほか、息苦しさが強い

激しい咳とともに息苦しさを感じたり、咳が出ていない時でも息苦しさがある場合は、喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの疑いがあります。

喘息は、気道に慢性的な炎症が生じ、咳や息苦しさのほか、喘鳴を伴うことがあります。

COPDは、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称で、喫煙などで有害物質を長期間に渡って吸い込むことで気管支に炎症が生じ、動作時の息苦しさや息切れ、咳などの症状があらわれます。

どちらも市販薬では良くならない病気なので、病院で自分に合った薬を処方してもらう必要があります。

◆「喘息」について詳しく>>

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3-3.咳のほか、発熱があり倦怠感が強い

インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などに感染した場合は、咳以外に、発熱や倦怠感も現れます。

症状が落ち着けば咳も出なくなりますが、コロナの場合、後遺症によって咳が長引くことがあります。

コロナ後遺症に有効な治療法は、まだ確立されてないのですが、病院では咳がつらいときに、喘息治療に用いる吸入ステロイド薬などを用いて、症状を和らげることもあります。

◆「ウイルス感染で咳が出る病気」について詳しく>>

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3-4.咳とともに、血の混じった痰が出る

痰の中に血が混じっている場合は、肺がんや肺結核などの重篤な病気を疑います。

肺がんは、早めに発見できれば治療の選択肢も広がります。また、肺結核は、放っておくと周りの人に感染させてしまう恐れがあるので、やはり早めの受診が肝心です。

◆「血痰が出る原因」について詳しく>>

◆「肺がん」について詳しく>>

4.呼吸器内科で行う、咳の原因を調べる検査


呼吸器内科では、咳の原因を調べるために、以下の検査を行っています。

4-1.胸部画像検査

X線(レントゲン)やCTなどで胸部画像を撮影し、肺の状態を確認します。

炎症などの異常があれば、その部分が白く写ります。また、がんなどの異物があれば目で確認できます。

4-2.血液検査

血液の中に含まれる成分から、炎症やアレルギーの有無、抗体(体内に侵入した異物を除去するタンパク質)などを調べます。

喘息など、アレルギーが原因で咳が出ている場合は、アレルギーの原因となる物質を調べることもできます。

4-3.呼吸機能検査

肺や気道の状態および機能を調べる検査です。肺の容量や呼吸機能の状態を調べるスパイロメトリー、気道の狭まりを調べるモストグラフ、吐いた息に含まれる一酸化窒素(NO)の濃度を測り気道の炎症を調べる呼気NO検査などの種類があります。

喘息や咳喘息、COPDの疑いがあるときに行われます。

【参考情報】『Q29 肺機能検査とはどのような検査法ですか?』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q29.html

4-4.喀痰検査

痰の中に含まれる細菌や異物を調べる検査です。

感染症の有無などを調べる細菌検査と、がんの有無を確認する細胞診があります。そのため、肺がんの疑いがある時に行うことが多いです。

◆「呼吸器内科で行われる検査」について詳しく>>

5.咳を予防するためにできること


咳を予防するために、身につけたい習慣を紹介します。病気を防ぎ、健康な生活を送るために役立ててください。

5-1.マスクの着用

マスクで口と鼻を覆うと、ウイルスや細菌、アレルゲンの浸入を防ぐことができます。

呼吸器感染症が流行している時期や花粉の多い時期、黄砂が飛ぶ日には、マスクを着用して異物の侵入を防ぎましょう。

また、マスクを着用すると喉が保湿できるので、乾燥による咳を防ぐこともできます。

【参考情報】『Use and Care of Masks』CDC
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/prevent-getting-sick/about-face-coverings.html

◆「咳エチケット」について詳しく>>

5-2.うがい

喉や口の中に入った異物(ホコリ、花粉など)を、水で洗い流すことができます。
また、喉の保湿や血行促進にも役立ちます。

ウイルスや細菌の感染対策として、口の中の異物を流すために歯磨きも効果的です。
特に、寝ている間に増えた口の中の雑菌は、体内に侵入しやすく、咳のもとになることがあります。就寝前と起きてすぐの歯磨きを心がけてください。

5-3.禁煙

タバコには、ニコチンをはじめとした多くの化学物質が含まれています。その化学物質に気道が刺激されると、咳が出ます。

喫煙者は禁煙に成功すると、咳が出にくくなります。また、COPDや肺がんなど、喫煙者に多い病気を防ぐこともできます。

【参考情報】『喫煙と呼吸器疾患』e-ヘルスネット|厚生労働省
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/tobacco/t-03-003.html

◆「タバコで咳が出る理由」について詳しく>>

6.おわりに

咳が止まらずに困ったときは、のどを温め、潤す方法を試してみてください。対策を続けているうちに、徐々に咳が治まってきたら、ひとまず安心です。

しかし、咳が2週間以上も続いているのなら、自分でできる対策には限界があります。また、咳の原因が喘息なら、市販薬ではかえって咳が悪化する恐れがあります。

咳が長引いている時や、激しくて辛い時は、呼吸器の病気である可能性が高いので、できれば呼吸器内科を受診するのがよいでしょう。

呼吸器内科が近くになければ、内科または小児科を受診してください。

◆「呼吸器内科」について詳しく>>