知っておきたい、新型コロナウイルス感染症の基本知識

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、以前から存在するコロナウイルスが変異し、2019年末から世界的に広がった病気です。

元々は動物に感染していたウイルスが、人間に感染力を持つようになったと考えられています。

軽度から重症化するケースまで症状はさまざまです。

この記事は、感染が疑われる場合の対応や検査方法、治療についてご説明いたします。リスクが高いとはどのような方か、また、病院への受診の目安についてご紹介します。

新型コロナウイルスに関して、常に最新の情報を得ることが重要です。

1.新型コロナウイルス感染症とは


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、コロナウイルス科に属するウイルスの一種で、人類にとっては比較的新しい感染症です。
コロナウイルスは、以前から知られている一般的な風邪の原因となるウイルスです。

感染しても、鼻水やくしゃみ、咳、微熱などの風邪症状が現れますが、通常、命に関わるようなことはありません。

しかし、コロナウイルスは動物の中で変異を起こしやすく、人間に感染する能力を獲得することがあります。

2019年末に中国の武漢で初めて報告された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、野生動物に由来すると考えられており、コロナウイルスが変異を起こしたものと推測されています。

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、感染すると発熱、咳、息苦しさなどの呼吸器症状を引き起こし、とくに高齢者の方や基礎疾患を持つ方において重症化しやすいとされています。

重症の場合、肺炎や多臓器不全など、命に関わる合併症を引き起こすことがあります。

【参考文献】”About COVID-19” by Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/coronavirus/2019-ncov/your-health/about-covid-19.html

2.症状


新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状は、非常に軽いものから、生命を脅かす重症なものまでさまざまです。

軽症および悪化時の症状についてご説明し、重症化リスクが高い方についてご紹介します。

2-1.軽症・悪化した時の症状

軽症の場合は、一般的な風邪と似ています。具体的には以下のような症状です。

<軽症の症状>
・発熱(高熱ではない)
・咳(乾いた咳が一般的)
・喉の痛み
・鼻水や鼻詰まり
・筋肉痛
・味覚や嗅覚の喪失

これらの症状は自宅での休養と対症療法での治療で回復可能とされています。

◆「咳症状から見る新型コロナウイルス」について詳しく>>

症状が悪化すると、以下のような重症の兆候が見られます。

<悪化した時の症状>
・息苦しさが続き、呼吸困難
・持続的な胸の痛みや圧迫感
・意識がはっきりしない
・唇や顔色が青白い
・高熱が続く

症状が重症な場合は、早急に医療機関への受診が必要です。

2-2.重症化リスクの高い人

重症化するリスクが特に高いのは、以下のような方です。

・高齢者の方:特に65歳以上の方は重症化しやすいとされています。
・喫煙習慣のある方:喫煙は肺機能を低下させ、ウイルス感染症の重症化リスクを増加させます。
・基礎疾患を持つ方:糖尿病、高血圧、心臓病、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの疾患を持っている方です。免疫系が弱っている場合も重症化リスクが高いといえます。
・肥満である方:体重指数(BMI)が30以上の方は、特に重症化のリスクが高くなります。
・妊娠後期

3.感染したかもしれないときは


新型コロナウイルス感染症が疑われる場合の相談先や病院受診の目安についてご説明します。

正しい行動は、感染拡大の防止と適切な治療を受けるために重要です。

3-1.相談・受診の目安

新型コロナウイルスの感染が疑われる場合、国が承認した抗原検査キットを使い、まずは、自宅で初期検査を行いましょう。

抗原検査は迅速に感染の有無の判定が可能です。

検査結果が陽性の場合、症状の重さによって対応が異なります。

軽度の症状(発熱や軽い咳など)のみのときは、自宅で療養しながら症状の経過を観察し、他の方との接触を避けます。十分な休息を取り、水分補給を心がけましょう。

症状が重い場合や、重症化リスクが高い方(高齢者、基礎疾患を持つ方、妊婦の方など)は、検査結果が陽性であればすぐに医療機関に連絡を取る必要があります。

事前に電話で連絡し、感染の可能性を伝えたうえで、医療機関の指示に従って受診してください。

3-2.相談窓口について

新型コロナウイルス感染症が国の5類感染症に移行したことに伴い、2024年4月時点において、市区町村の自治体では相談窓口を終了しているところが増えており、厚生労働省でも2024年9月末で相談窓口の運営を終了するとしています。

ただし、地域や厚生労働省のホームページには新型コロナウイルスに関する対応や情報について掲載していることもありますので、気になることがある際は確認してみましょう。

東京都では、次のURLで情報を確認できます。

【参考情報】『東京都新型コロナ相談センター』東京都保健医療局
https://www.hokeniryo.metro.tokyo.lg.jp/kansen/corona_portal/soudan/coronasodan.html

厚生労働省では、次のURLで掲載しています。

【参考情報】『新型コロナウイルス感染症について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html

【参考情報】『新型コロナウイルスに関する都道府県の相談窓口等の情報』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/covid19-kikokusyasessyokusya.html

情報は更新されるため、最新の情報を定期的にチェックすることが重要です。

4.検査・治療


新型コロナウイルス感染症の検査方法と治療についてご説明いたします。病院で検査を受けたい場合はまずは電話で相談をしましょう。

4-1.検査

新型コロナウイルス感染症の検査には、主にPCR検査が用いられます。

PCR検査は、ウイルスの遺伝情報(RNA)を検出することによって感染の有無を確認するものです。

ただし、検査のタイミングやウイルスの数によっては、感染しているにも関わらず誤って陰性と判断される場合があります。これは、十分なウイルスが採取されないことが原因です。

症状が持続する場合や陽性の疑いが強い場合は、追加の検査が必要と判断されることがあります。

また、医師の判断により、PCR検査に加え、CT検査をはじめとした画像検査が行われることもあります。

CT検査は、肺の画像を詳細に撮影し、肺炎の兆候など、新型コロナウイルスによる影響を確認するのに有効です。

検査結果が陽性で、感染が確認された場合、症状が軽い方は自宅での療養が勧められます。

自宅療養では、他の家族の方との接触を避け、十分な休息と水分補給を心がけることが大切です。症状が悪化する兆候が見られた場合には、早急に医療機関に連絡しましょう。

一方で、重症化リスクが高い方、例えば高齢者の方や基礎疾患を持つ方は、医師が入院治療が必要と判断した場合、入院治療が勧められます。

入院治療では、専門的な治療が可能です。必要に応じて酸素療法やその他の治療も検討されます。

4-2.治療

治療は症状の程度によって異なります。ここからは、軽症と重症の場合の治療方法についてご説明します。

<軽症の場合の治療>

発熱や軽い咳などの症状があっても、重度の呼吸困難や肺炎の兆候がない場合が軽症です。

軽症の場合、一般的にご自宅での療養が可能です。
治療によって症状の緩和を行い、体力の維持に努めましょう。具体的には以下のような内容が一般的です。

・十分な休息を取る:体力を回復させ、免疫力を向上させます。

・水分を多く摂る:脱水を防ぎ、体力を維持することが可能です。

・解熱剤や鎮痛剤の使用:症状によっては、解熱剤(例:アセトアミノフェン)や非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を使い、発熱やからだの痛みに対処します。

<重症の場合の治療>

呼吸困難、持続的な胸の痛みや圧迫感、意識の混濁など、深刻な症状は重症な状態です。
重症な場合は入院が必要で、次のような治療が行われます。

・酸素療法:酸素飽和度に応じて、鼻カニューラやマスク、人工呼吸器を使用して酸素供給を行います。

・抗ウイルス薬の投与:抗ウイルス薬(例:レムデシビル)が使用されることがあります。

・炎症を抑制する治療:過剰な免疫反応に対して、ステロイド(例:デキサメタゾン)が使用されることがあります。

・補助的な治療:栄養補給やそのほかの看護も重要です。

重症の場合の治療は、複数の医療専門家によるチームで行われます。
患者さんの状態に応じてさまざまな支援が必要で、医師指示のもと、症状の変化に応じて迅速な対応を行います。

5.おわりに

新型コロナウイルス感染症の扱いは5類感染症に移行し、感染症としての対応や社会的な取り扱いに変化が見られます。

新しい研究結果やデータが次々と公開されているなか、正確で最新の情報を入手することがこれまで以上に重要です。

医師や研究者、行政が発信している信頼できるデータや事実に基づく情報を参照するようにしましょう。

新型コロナウイルス感染症を理解し、適切な対応をとるためには、正確で最新の情報に基づく行動をすることが大切です。

【参考文献】”Coronavirus disease 2019 (COVIDCo-19)” by Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/coronavirus/symptoms-causes/syc-20479963