咳と頭痛、両方の症状がある病気とは
咳も頭痛も、誰しもが一度は経験したことのあるありふれた症状でしょう。
しかし、両方の症状があるときは、意外な病気が隠れている可能性がないとは言えません。
この記事では、咳と頭痛がある病気について、その症状や関連のある病気、受診すべき診療科について説明します。
つらい場合にあわてずに対処できるよう、ぜひ参考にしてください。
1咳と頭痛、両方の症状がある病気
咳と頭痛、両方の症状があるときは、咳によって頭痛が引き起こされる場合が多いです。
1-1.一次性咳漱性頭痛
一次性咳漱(がいそう)性頭痛とは、以下のような刺激により引き起こされる頭痛です。
・咳
・くしゃみ
・いきみ
・鼻をかむ
・重たい物を持ち上げる
痛みは、激しい痛みから鈍い痛み、脈打つ感覚、刺すような感じまでさまざまです。
この頭痛は通常、数秒から30分ほどで治まり、あまり心配する必要はありません。
しかし、痛みが強い場合には、インドメタシンなどの薬で症状を和らげることもできます。
もし、頭痛が短時間で治まらない場合には、他の原因を検討するべきでしょう。
1-2.風邪などの呼吸器感染症
風邪や新型コロナなどの呼吸器感染症にかかると、咳と頭痛、両方の症状が現れることがあります。
このような場合は、原因となる病気が治れば、咳も頭痛も改善するでしょう。
ただし、新型コロナでは、病気そのものは治っても、しばらく後遺症が残ることがあります。
後遺症には、咳や頭痛のほか、倦怠感、集中力の低下、味覚障害などがあります。
これらの症状は、時間が経過するにつれよくなることが多いのですが、人によっては1年以上続くこともあります。
【参考情報】『新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)に関するQ&A』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kouisyou_qa.html
1-3.副鼻腔炎
副鼻腔炎でも、咳や頭痛が引き起こされることがあります。
副鼻腔炎は、鼻の内部の副鼻腔という箇所に炎症が起こる病気です。この病気にかかると鼻水が出るのですが、鼻水がのどに流れると、鼻水を追い出そうとして咳が出ることがあります。
また、炎症により頭痛が起きたり、以下の部分が痛くなることがあります。
・頬
・歯
・おでこ
・こめかみ
・目の奥
頭痛の原因ははっきりわかっていませんが、炎症により神経が刺激されるせいではないかと考えられています。
【参考情報】『副鼻腔炎|鼻の病気』日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=21
1-4.喘息
喘息は、空気の通り道である気道が慢性的な炎症を起こし、咳や呼吸困難が現れる病気です。
喘息の発作が起きると、激しい咳が続きます。すると、咳によって頭痛が誘発されることがあります。
また、喘息の患者さんは、気候の変化に敏感な方が多いです。そのため、台風が近づいたり、気圧が急に変化したときなどに影響を受け、頭が痛くなることがあります。
2.咳と頭痛がある場合に受診したい診療科
咳と頭痛がある場合に受診したい診療科について説明します。
咳と頭痛以外にどんな症状があるのか、どのような状態なのかをよく把握して、適した診療科を選びましょう。
2-1.脳神経内科
咳よりも頭痛がひどい場合や、繰り返しているうちにだんだん痛みが強くなってきた場合は、脳神経内科を受診しましょう。
例えば、以下のような病気の可能性が考えられます。
・片頭痛
・緊張型頭痛
・頭痛薬の使い過ぎ
その他、重大な脳の病気である可能性もあるため、正しく診察を受け、適切な治療を受けることが大切です。
【参考情報】『専門医一覧』日本神経学会
https://www.kktcs.co.jp/jsnmypage/pub/SpecialistList.htm
2-2.耳鼻咽喉科
鼻づまりや鼻水など鼻の症状を伴う場合は、耳鼻咽喉科の受診を検討しましょう。
咳や頭痛の原因が副鼻腔炎である場合、副鼻腔炎の治療によって症状が軽減する可能性があります。
【参考情報】『近くの耳鼻咽喉科専門医を探しましょう』日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/search_citizens/
2-3.呼吸器内科
以下のような症状がある場合は、呼吸器内科を受診しましょう。
・咳が2週間以上続いている
・夜間や早朝に咳がひどくなる
・季節の変わり目や気候の急激な変化で症状がひどくなる
上記のような症状があれば、喘息や咳喘息の疑いがあります。
また、発熱やのどの痛みなど、風邪のような症状があり、かつ、症状が強くてつらいときも、呼吸器内科を受診しましょう。
その場合、新型コロナやインフルエンザなどの感染症が疑われます。
【参考情報】『専門医検索』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/search/specialist/index.php
2-4.頭痛外来
咳よりも頭痛に悩んでいる場合は、頭痛外来を利用するのもいいでしょう。
頭痛外来は、頭痛やそれに伴う症状を専門的に治療する外来で、脳神経内科や脳神経外科の医師が診察を行います。
薬物治療だけでなく、詳細な問診、検査、生活指導、予防治療など包括的なアプローチを行うのが特徴です。
3.おわりに
咳と頭痛の両方が症状として現れた場合、咳の方が頭痛よりもひどければ、呼吸器内科を受診しましょう。
特に、2週間以上咳が続いている方は、ただの風邪ではない可能性が高いです。
咳よりも、頭痛の方が心配なら脳神経内科か頭痛外来、咳と頭痛のほか鼻水も続いているなら、耳鼻咽喉科を受診してください。
早い段階で専門医に相談することで、咳や頭痛の原因が明確に特定され、原因に基づいた治療を受けることができます。