喘息の吸入薬「レルベア」の効果と使い方、副作用

レルベアは、喘息およびCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療に用いられる薬剤です。専用の容器に粉末状の薬剤がセットされ、吸入することで服用できます。

この記事では、レルベアがどんな薬なのか、その使い方や効果、副作用などについて解説します。初めてレルベアを使用する人や、使い方を再確認したい人は、ぜひご一読ください。

1.レルベアとはどのような薬か


レルベアは、吸入ステロイド薬のフルチカゾンフランカルボン酸エステルと、β2刺激薬のビランテロールトリフェニル酢酸塩の2種類が配合された吸入製剤です。

吸入ステロイド薬は、気管支から肺にかけての炎症を鎮める薬剤です。気道が炎症で狭くなることを抑え、呼吸をしやすくする効果があります。

一方のβ2刺激薬は、気管支を広げることで、呼吸をしやすくしたり、咳を鎮めたりする効果があります。

レルベアに配合された2つの成分は、ドライパウダー(粉末)状になっており、エリプタと呼ばれる専用のデバイスを使って吸入します。

レルベアには、以下、4種類の製品があります。

 ・レルベア100エリプタ14吸入用

 ・レルベア100エリプタ30吸入用

 ・レルベア200エリプタ14吸入用

 ・レルベア200エリプタ30吸入用

「100」や「200」は、配合されている吸入ステロイド薬の量を表し、「14」や「30」は吸入回数を表しています。

レルベアを始めとする喘息の治療薬には、「長期管理薬(コントローラー)」と「発作治療薬(リリーバー)」があります。

前者は、毎日吸入することで喘息発作を予防する薬、後者は、発作が出たときに吸入して症状を和らげる薬です。

レルベアは、コントローラーに分類されるので、処方されたら毎日必ず吸入してください。

【参考情報】『Relvar Ellipta』EU Medicines Agency
https://www.ema.europa.eu/en/medicines/human/EPAR/relvar-ellipta

2. レルベアの使い方


レルベアの吸入回数は、1日1回1吸入です。以下の手順に沿って、注意事項を守りながら服用してください。

①エリプタのカバーを開ける
カバーは、カチッという音がするまでしっかり開けます。正常にカバーが空くと、カウンターの数字が1つ減ります。

②息を吐き出す
無理のない程度で、「フーッ」としっかり息を吐き出してください。その際、マウスピース(吸入口)に向かって息を吹きかけてしまうと、薬が飛び散る恐れがあるので注意しましょう。

③薬剤を吸い込む
マウスピース全体をしっかりくわえて、「スーッ」と息を深く吸い込みます。高齢の方は、息が弱くてしっかり吸い込めないことがあるので、強めに吸い込んでください。

④息を止める
薬を吸い込んだら、マウスピースから口を離し、吸い込んだ薬が逆流するのを防ぐため、3~4秒以上息を止めます。

その後、ゆっくりと息を吐いて、いつもの呼吸に戻してください。

⑤カバーを閉じる
吸入が終わったら、カバーを閉じます。カチッという音がするまで、しっかり閉じてください。

⑥うがいをする
吸入後は必ずうがいをしてください。のどの奥を洗うガラガラうがいと、口の中を洗うブクブクうがいの両方を行い、残った薬剤をしっかりと洗い流します。

副作用防止の観点から、うがいは必ず毎回行なってください。

3.レルベアの副作用


よくある副作用は、嗄声(させい:声枯れ)です。患者のうち5~10%以上の頻度で出現し、声がかすれたり、発声がうまくいかないといった症状が出るとされています。

口腔カンジダ症も、よくある副作用です。これは、レルベアの成分の一つである吸入ステロイド薬が口腔内に残ることで起こる口の中の感染症です。舌やのどなどに真菌が繁殖し、白いコケのようなものができてしまいます。

【参考情報】『口腔カンジダ症:口腔粘膜疾患』口腔外科相談室|日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/

上記のような副作用は、口の中に薬が残っていることが原因で発症します。ほとんどの場合、吸入後のうがいで防止できますので、吸入後は必ず口の中をゆすぎましょう。

その他の副作用として、動悸や発疹、息苦しさといった症状が出る可能性があります。これらの症状は、アナフィラキシー反応の可能性が高いです。

放置してしまうと命にかかわる恐れがあるので、症状が現れた場合は服用を中断し、すぐに担当医に連絡してください。

4.使用上の注意点


レルベアは、症状の有無にかかわらず、毎日定期的に服用する必要があります。しかし、症状が安定してくると服用を忘れたり、自己判断で吸入を止めてしまう人がいます。

喘息の発作は、軽い風邪やハウスダスト、花粉など、ささいな原因で悪化することが多く、レルベアの吸入を止めると、再び症状が現れる可能性が高いです。

医師の指導があるまでは、自己判断で吸入を中止したり、吸入回数を減らしたりすることは避けてください。

レルベアは、発作が起こった時に使う治療薬ではありません。発作時に使うリリーバーが必要な方は、医師に相談して処方を受け、そちらを使ってください。

妊婦の方は、ステロイド薬の吸入に抵抗があるかもしれません。しかし、重度の喘息発作が起きてしまうと、母体が低酸素状態になる危険性があり、胎児の成長にも悪影響が及ぶ恐れがあります。

治療上必要と判断された場合は、医師の管理のもと、定期的な服薬治療を続けてください。

【参考情報】『妊娠中の喘息』MSDマニュアル プロフェッショナル版
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%83%AB/18-%E5%A9%A6%E4%BA%BA%E7%A7%91%E3%81%8A%E3%82%88%E3%81%B3%E7%94%A3%E7%A7%91/%E5%A6%8A%E5%A8%A0%E4%B8%AD%E3%81%AE%E5%90%88%E4%BD%B5%E7%97%87/%E5%A6%8A%E5%A8%A0%E4%B8%AD%E3%81%AE%E5%96%98%E6%81%AF?query=%E5%A6%8A%E5%A8%A0%E4%B8%AD%E3%81%AE%E5%96%98%E6%81%AF

5.レルベアの薬価


レルベアの薬価を以下にまとめました。ステロイドの量および吸入回数によって薬価が異なります。ジェネリック医薬品はありません。

  ・レルベア100エリプタ14吸入用 2497.6円

  ・レルベア100エリプタ30吸入用 5192.2円

  ・レルベア200エリプタ14吸入用 2738.4円

  ・レルベア200エリプタ30吸入用 5781.4円

レルベアの代替となる市販薬はありません。レルベアを使用したい場合は、必ず医療機関で処方箋を出してもらう必要があります。

6.おわりに

喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)の治療薬はレルベアのみではありません。レルベアと同様に、吸入ステロイド薬とβ2刺激薬を配合した治療薬を以下にまとめました。

 ・アドエア

 ・シムビコート

 ・フルティフォーム

 ・アテキュラ

◆吸入薬「アドエア」の情報>>

「デバイスが使いにくい」「副作用が出た」などの理由でレルベアが合わないときは、他の薬剤が使えるかどうか、医師に相談してみましょう。

◆「喘息」について詳しく>>