花粉症の薬はどれがいい?種類・選び方・受診の目安を解説
「花粉症の薬って、どれを選べばいいの?」
「市販薬と処方薬、何が違うの?」
と疑問に思ったことはありませんか?
花粉症の薬にはさまざまな種類があり、症状によって向いている薬が異なります。
この記事では、花粉症の薬の種類や特徴、症状別の選び方をわかりやすく整理していきます。
ぜひ参考にしてみてください。
1.花粉症の薬の知っておきたい基本

「花粉症の薬はたくさんあって、どれを選べばいいかわからない」という声はよく聞かれます。
まずは、なぜ花粉症に薬が必要なのか、そして薬の種類にはどんなものがあるのかを整理していきましょう。
1-1.花粉症とは?なぜ薬が必要なのか
花粉症は、スギやヒノキなどの花粉が体内に入ることで起こるアレルギー反応の一種です。
医学的には「季節性アレルギー性鼻炎」とも呼ばれています。
体が花粉を異物と判断すると、免疫細胞から「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」などの化学物質が放出されます。
これらの物質が鼻や目の粘膜を刺激することで、くしゃみ・鼻水・鼻づまり・目のかゆみといったつらい症状が現れるのです。
花粉症の薬はこの仕組みの一部をブロックすることで、症状を和らげる働きをしています。
原因そのものをなくすことはできませんが、上手に薬を使うことで日常生活への影響をぐっと小さくすることができます。
【参考情報】『Seasonal Allergies at a Glance』National Center for Complementary and Integrative Health
https://www.nccih.nih.gov/health/seasonal-allergies-at-a-glance
1-2.花粉症の薬の主な種類
花粉症に使われる薬は、大きく「飲み薬(内服薬)」「点鼻薬」「点眼薬」の3つに分けられます。
それぞれ働き方と役割が異なりますが、組み合わせて使うことで相乗効果が期待できます。
飲み薬は全身のアレルギー反応を抑えるのが得意で、くしゃみや鼻水に効果的です。
点鼻薬は鼻の粘膜に直接作用するため、特に鼻づまりに有効とされています。
点眼薬は目に直接作用し、目のかゆみや充血に用いられます。
どの薬が合うかは、症状のタイプや重さ、生活スタイルによっても違ってくるでしょう。
また、花粉症の薬を使用しても効果がないと感じる場合は、治療の見直しも大切なポイントとなります。
【参考情報】『Allergic Rhinitis』NCBI Bookshelf
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK538186/
2.飲み薬(内服薬)の種類と違い
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花粉症の飲み薬(内服薬)にはいくつかの種類があります。
中でも代表的なのが「抗ヒスタミン薬」で、多くの方に使われている薬です。
ここでは、内服薬の種類とそれぞれの特徴を整理していきます。
2-1.抗ヒスタミン薬(第1世代・第2世代)
抗ヒスタミン薬は、花粉症の症状を引き起こすヒスタミンの働きをブロックすることで、くしゃみ・鼻水・目のかゆみを抑えます。
花粉症治療の中心となる薬で、飲み薬の中でも特によく使われています。
抗ヒスタミン薬には「第1世代」と「第2世代」があります。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
・第1世代抗ヒスタミン薬(例:ポララミン、レスタミンなど)
古くから使われてきたタイプで、効果は強い一方、脳にも影響しやすく強い眠気が出ることがあります。また口の渇きや尿が出にくくなるなどの副作用もあり、緑内障や前立腺肥大のある方には原則使用できません。
現在では花粉症の治療に単独で使われることは少なくなっています。
・第2世代抗ヒスタミン薬(例:アレグラ、クラリチン、アレジオン、ビラノアなど)
現在の花粉症治療のメインとなっている薬です。脳へ移行しにくい構造になっているため、第1世代に比べて眠気が起きにくく、副作用も少ないのが特徴と言われています。
中でも「アレグラ(フェキソフェナジン)」や「クラリチン(ロラタジン)」「ビラノア(ビラスチン)」などは眠気の副作用が特に少なく、車の運転に関する注意書きがない薬としても知られています。
【参考情報】『抗ヒスタミン薬と自動車運転について』厚生労働省(高鷹原病院 DIニュース)
https://www.takanohara-ch.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2023/04/57d52127d7f56d27965619579b0faacc.pdf
一方で「アレジオン(エピナスチン)」「ジルテック(セチリジン)」などは効果が強めですが、多少眠気が出る場合があります。
どの薬が合うかは個人差もあるため、主治医や薬剤師に相談しながら選ぶことが大切です。
※ アレグラやビラノアなどは、食事の影響で吸収が低下することが知られており、空腹時(食事の前後2時間を避けた時間帯)に服用することが推奨されています。

【参考情報】『Antihistamines』NCBI Bookshelf
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK538188/
2-2.抗ロイコトリエン薬
鼻づまりの症状が特に強い方には、抗ロイコトリエン薬が効果的と言われています。
鼻粘膜の腫れや炎症に関わる「ロイコトリエン」という物質の働きを抑えることで、鼻づまりの改善が期待できます。
代表的な薬には「モンテルカスト(シングレア・キプレス)」や「プランルカスト(オノン)」などがあります。
1日1〜2回の服用で、眠気などの副作用が出にくいことも特徴です。
抗ヒスタミン薬と組み合わせて使うことで、より幅広い症状に対応できると言われています。
なお、抗ロイコトリエン薬は現在のところ市販薬にはなく、医療機関での処方が必要となります。
市販薬で鼻づまりの症状が改善しない場合は、医療機関を受診し治療することをおすすめします。
3.点鼻薬・点眼薬の役割と効果

内服薬だけでは症状がコントロールしきれないとき、点鼻薬や点眼薬を組み合わせると効果的と言われています。
それぞれが直接患部に作用するため、効果を実感しやすいのが特徴です。
ここでは点鼻薬と点眼薬の種類と使い分けを解説します。
3-1.点鼻薬の種類と効果
・ ステロイド点鼻薬
医療機関で最もよく処方される点鼻薬です。鼻の粘膜の炎症を直接抑えることで、鼻づまり・鼻水・くしゃみ全般に高い効果を発揮します。代表的な薬にはナゾネックス、アラミスト、エリザスなどがあります。
「ステロイド」と聞くと副作用が心配になる方も多いですが、点鼻薬として使用する場合は局所(鼻の中)にのみ作用し、全身への影響はほとんどないとされています。安心して継続して使えることが、ステロイド点鼻薬の大きなメリットのひとつです。市販薬でも一部購入できます。
・ 抗ヒスタミン点鼻薬
ヒスタミンの働きを鼻の粘膜でブロックする点鼻薬です。
抗ヒスタミン点鼻薬はくしゃみや鼻水などに用いられますが、成分によっては眠気などに注意が必要な場合があります。
・血管収縮性点鼻薬(注意が必要)
使用後すぐに鼻づまりを解消できるため市販薬に多く含まれていますが、連続して使い続けると逆に鼻づまりが悪化してしまうことがあります。
あくまでも短期間の使用にとどめ、長期使用は避けましょう。
【参考情報】『くすりを知る 点鼻薬』慶応義塾大学病院
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/about_medicine/nosedrop/
3-2.点眼薬(目薬)の種類と効果
花粉が目に付くことで起こるアレルギー性結膜炎には、点眼薬(目薬)が有効です。目に直接作用するため、目のかゆみや充血に素早く効果を発揮します。
・抗アレルギー点眼薬(抗ヒスタミン点眼薬)
花粉症の目のかゆみに最も広く使われる点眼薬で、ヒスタミンの働きを抑えてかゆみを和らげます。市販薬でも購入可能で、症状が出てからでも効果が期待できます。
・ケミカルメディエーター遊離抑制点眼薬(予防的な使い方)
アレルギー反応が起こる前の段階から使うと効果的な点眼薬で、花粉が飛散し始める1〜2週間前からの「初期療法」として使うことが推奨されています。
・ステロイド点眼薬・免疫抑制点眼薬(重症の場合)
他の治療では改善しない重症の場合や、角膜に傷がある場合などに使われます。副作用(眼圧上昇など)のリスクがあるため、必ず医師の指示のもとで使用してください。市販はされていません。
内服薬と点眼薬を組み合わせることで、目の症状をより効果的にコントロールできる場合があります。
ただし、複数の点眼薬を使う場合は、3~5分以上間隔をあけて点眼するようにしましょう。
【参考情報】『くすりを知る 点眼薬』慶応義塾大学病院
https://kompas.hosp.keio.ac.jp/about_medicine/eyedrops/
4.症状別に選ぶ花粉症の薬

花粉症の症状は人によって異なります。くしゃみ・鼻水が主な方もいれば、鼻づまりがつらい方、目のかゆみがひどい方など、症状の出方はさまざまです。
2章では、飲み薬の種類についてご説明しましたが、ここでは症状別に適した薬の選び方を整理します。
4-1.くしゃみ・鼻水が主な症状の方へ
くしゃみや、水のようなサラサラとした鼻水がつらい場合は、抗ヒスタミン薬(内服薬)がよく効きます。ヒスタミンがこれらの症状の主な原因となっているためです。
眠気が心配な方や、仕事・運転などで集中力を保ちたい方には、眠気の少ない第2世代抗ヒスタミン薬(アレグラ、クラリチン、ビラノアなど)が向いています。
症状が強い場合は、ステロイド点鼻薬を内服薬と組み合わせると効果的です。
また、花粉症により、くしゃみや鼻水以外にも咳の症状が出る場合もあります。
そのような場合は、鼻水を抑える治療に加えて、咳の症状にも目を向けていくとよいでしょう。
4-2.鼻づまりが強い方へ
鼻づまりは、他の症状に比べて抗ヒスタミン薬だけでは改善しにくいことがあります。
これは鼻づまりがヒスタミンだけでなく、ロイコトリエンや炎症によって引き起こされるためです。
また、鼻づまりが続くと、眠っている間に口呼吸になりやすく、いびきにつながることもあります。
鼻づまりがメインの症状の方には、ステロイド点鼻薬や抗ロイコトリエン薬が特に有効です。
内服薬の抗ヒスタミン薬と抗ロイコトリエン薬を組み合わせることで、より幅広い効果が期待できます。
4-3.目のかゆみ・充血が主な症状の方へ
目のかゆみや充血には、抗アレルギー点眼薬(目薬)を使うのが基本とされています。
内服薬だけでは目の症状をカバーしきれない場合も多いため、点眼薬を積極的に活用しましょう。
症状が出てからでも効果はありますが、花粉の飛散が始まる前から点眼を始める「初期療法」を行うと、シーズン中の症状を軽く抑えることが期待できます。
市販薬で効果が不十分な場合は、医師に相談して処方薬の点眼薬を検討しましょう。

5.市販薬と処方薬の違いと受診の目安

「ドラッグストアで買える市販薬で十分?」「病院に行ったほうがいい?」と迷う方も多いのではないでしょうか。
市販薬と処方薬にはそれぞれ特徴と限界があります。
ここで整理しておきましょう。
5-1.市販薬と処方薬の主な違い
・ 市販薬(OTC医薬品)
ドラッグストアや薬局で処方箋なしに購入できます。
アレグラやアレジオン、クラリチンなど、医療用と同じ成分の薬が市販化(スイッチOTC化)されており、手軽に入手できるのが利点です。
一方で、市販薬は幅広い症状に対応できるよう成分が設計されており、症状がひどい場合や重症化した場合は効果が不十分なことがあります。
また、抗ロイコトリエン薬やステロイド点眼薬、一部の点眼薬など、医療機関でしか処方できない薬もあります。
・ 処方薬(医療用医薬品)
医師が患者さんの症状・体質・生活スタイルに合わせて選んでくれるため、より症状に合った薬をピンポイントで使用できます。市販されていない薬も使えるほか、複数の薬を組み合わせた治療も可能です。
費用面では、処方薬は健康保険が適用され、一般的な現役世代では3割負担で受けられるでしょう。
【参考情報】『医療費の一部負担(自己負担)割合について』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/000937919.pdf
また、ジェネリック医薬品(後発医薬品)を選べばさらにコストを抑えることができます。
薬剤費だけを見ると市販薬より処方薬のほうが安くなる場合もありますが、診察料や調剤料もかかるため、実際の総額は受診回数や使用期間によって変わります。
花粉症のシーズンを通じて継続的に薬を使う場合、長期的には処方薬の方が費用を抑えられる可能性があります。
5-2.こんなときは迷わず医療機関へ
次のような場合には、市販薬での対応を続けずに医療機関を受診されることをおすすめします。
・ 市販薬を2週間ほど使っても症状が改善しない場合
・ 毎年症状が悪化していると感じる場合
・ 鼻水・鼻づまりが特にひどく、日常生活に支障が出ている場合
・ 高熱や色のついた鼻水が出るなど、風邪や副鼻腔炎(ちくのう症)との区別が難しい場合
・ 妊娠中・授乳中で薬の選択に迷っている場合
・ お子さんに市販薬を使ってもいいか判断が難しい場合
花粉症は、根本的な体質改善が可能な「舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)」という治療法も医療機関で受けられます。
毎年ひどい症状に悩んでいる方は、一度専門医に相談してみることをおすすめします。
花粉症は、根本的な体質改善が期待できる「舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)」という治療法も、医療機関で受けることができます。
毎年ひどい症状に悩んでいる方は、舌下免疫療法を行っている医療機関に一度相談してみることをおすすめします。
なお、当院でも舌下免疫療法を実施しておりますので、ご興味のある方はお気軽にご相談ください。
【参考情報】『的確な花粉症の治療のために(第2版)』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/kenkou/ryumachi/kafun/dl/ippan_zentai.pdf
また、症状の強さや出方によっては、花粉症以外の病気が関係していることもあります。
特に、喘息をお持ちの方は花粉症をきっかけに悪化することもあるため、受診のタイミングに迷う場合は早めに医療機関で相談すると安心です。
6.おわりに
花粉症の薬は、一番強い薬を探すよりも、今の自分の症状に合う薬を選ぶことが大切です。
鼻水、鼻づまり、目のかゆみでは向く薬が違い、市販薬と処方薬にも役割の差があります。
毎年同じ薬でよいか迷うときや、副作用や効果が気になるときは、自己判断で続けず医療機関に相談することをおすすめします。
症状が出る前や軽いうちから対策を始めると、シーズン中のつらさを抑えやすくなることもあります。
症状に合った治療を選ぶことで、花粉の季節も過ごしやすくなるでしょう。
