呼吸器内科で相談できるアレルギー症状と検査・治療と受診の目安
呼吸器内科では、アレルギーに関係する長引く咳、喘鳴、息苦しさを相談できます。
花粉症やハウスダストによる鼻症状に咳が重なるときは、鼻から気管支までの状態をまとめて考えることが大切です。
この記事では、主な原因や症状、検査、治療、家庭での対策、呼吸器内科への相談を検討する目安を解説します。
1. 呼吸器内科で診るアレルギーとは

呼吸器内科では、アレルギーが関係する咳や喘鳴、息苦しさを中心に、鼻症状や生活環境とのつながりも確認します。
1-1. 主なアレルゲン
アレルギー症状を引き起こす原因物質を「アレルゲン」と呼びます。
呼吸器症状に関係しやすいのは、スギやヒノキなどの花粉、ダニ、ハウスダスト、カビ、ペットのフケや唾液に含まれる成分などです。
これらを吸い込むと、鼻ではくしゃみや鼻水、鼻づまりが起こり、気管支では咳や喘鳴、息苦しさにつながることがあります。
また、食物や薬剤もアレルギーの原因になることがあります。
呼吸器内科では主に咳や喘鳴などの呼吸器症状を確認し、目や皮膚の症状、食物アレルギーは必要に応じて他の科と連携します。
【参考情報】『Allergies: Types, Symptoms, Treatment & Management』Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/8610-allergies
1-2. 主なアレルギー症状

アレルギーによる症状は、アレルゲンの種類や体の反応によってさまざまです。
ここでは、呼吸器内科で確認することの多い症状を中心に紹介します。
・咳
喘息では、夜間や早朝、運動時、冷たい空気を吸ったときに出やすくなることがあります。
・喘鳴(ぜんめい)
呼吸時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった音が聞こえることがあります。
・息苦しさ
胸の苦しさや息切れを感じることがあります。
・鼻症状
くしゃみ、透明な鼻水、鼻づまりが続くことがあります。
・目の症状
かゆみや充血を伴うことがあります。
喘息がある方は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンに触れることで、咳や喘鳴、息苦しさが悪化する場合があります。
特に花粉の飛散時期は、鼻や目の症状だけでなく、呼吸器症状の変化にも注意が必要です。
また、鼻水がのどへ流れる後鼻漏(こうびろう)や、鼻づまりによる口呼吸が咳に影響することもあります。
そのため、鼻と気管支の症状を合わせて確認することが大切です。
1-3. アレルギー反応の仕組み
免疫は、細菌やウイルスなどから体を守る仕組みです。
アレルギーがある方は、本来は大きな害のない花粉やダニなどに対して、免疫が過剰に反応します。
アレルゲンが体内に入ると、炎症に関わる物質が放出され、鼻や気道の粘膜に腫れや刺激が生じます。
鼻ではくしゃみ、鼻水、鼻づまりが現れやすく、気管支に影響すると咳や喘鳴、息苦しさにつながることがあります。
こうしたアレルギー反応は、喘息の発症や症状の悪化に関わる要因のひとつです。
ただし、大人の喘息は、感染症、たばこの煙、寒暖差、運動など、アレルギー以外の要因によって悪化する場合もあります。
2. 呼吸器内科で行う診断と検査

アレルギーに伴う呼吸器症状は、ひとつの検査だけで決めず、症状の経過、診察、検査結果を組み合わせて確認します。
2-1. 問診で確認すること
問診では、症状が出る場所・時間帯・季節との関係などを確認します。
・症状が始まった時期や、続いている期間
・咳や鼻水、息苦しさが出やすい時間帯
・特定の季節や天候との関係
・自宅、職場、屋外など、症状が出やすい場所
・掃除、寝具の使用、運動、ペットとの接触などとの関係
・喘息や花粉症など、これまでに診断された病気(既往歴)や、家族のアレルギー歴
・喫煙状況や、仕事で扱う粉じん、使用中の薬など
特に季節の変わり目は、寒暖差で症状が変わるかどうかも、原因を考える手がかりになります。
2-2. 診察で確認すること
診察では、呼吸数や酸素の状態、呼吸音を確認し、必要に応じて鼻・のど・皮膚・目も診ます。
喘息の場合は症状が変動するため、診察時に喘鳴がない場合もあります。
夜間や運動時の様子も踏まえ、必要に応じて 胸部X線検査などで肺炎や心臓の病気を含む別の原因がないかを調べます。
呼吸器内科専門医は、症状の経過、診察、検査結果を総合して原因を検討します。
2-3. アレルギーを調べる血液検査
アレルギーが呼吸器症状に関係しているかを調べるため、必要に応じて血液検査を行います。
IgE(アイジーイー)抗体とは、免疫がつくるたんぱく質の一種で、アレルギー反応に関わるものです。
主に次の項目を確認します。
・好酸球(こうさんきゅう)
アレルギー性の炎症に関わる白血球の一種で、症状にアレルギー性の炎症が関係しているかをみる手がかりとして調べます。
・総IgE
アレルギー反応に関わる抗体が、血液中にどのくらいあるかを示す値です。
・特異的IgE抗体
花粉やダニ、ペットなど、特定の原因物質に反応しやすいかを調べる項目です。
ただし、数値だけでアレルギーの原因や症状の強さが決まるわけではありません。
特異的IgE抗体が陽性でも、その物質が実際に症状を引き起こしているとは限らないため、症状が出る季節や場所、接触したときの変化などと合わせて確認します。
【参考情報】『検査と診断』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/test.html
2-4. 気道や肺の状態を調べる検査
咳や喘鳴、息苦しさがある場合は、気道の狭さや炎症、肺の状態を確認する検査を行うことがあります。
・スパイロメトリー
大きく息を吸って勢いよく吐き、肺活量や空気を吐き出す力を測ります。
・気道可逆性検査
気管支を広げる薬の使用前後で呼吸機能を測り、気道が広がるかを確認します。
・呼気NO検査
一定の速さで息を吐き、吐いた息に含まれる一酸化窒素の濃度を測ります。
好酸球が関係する気道の炎症を調べる手がかりになる検査です。
・呼吸抵抗測定
普段どおりに呼吸しながら、空気の通りにくさを調べます。
・胸部X線検査
肺の状態を画像で確認し、肺炎など、咳や息苦しさを起こす別の病気がないかを調べます。
アレルギー検査が陰性でも喘息を否定できるとは限らず、呼気NO値も鼻炎や薬の影響を受けるため、問診・診察・複数の検査結果を合わせて確認します。
3. 呼吸器内科で扱うアレルギー症状の治療

治療は、喘息、咳喘息、アレルギー性鼻炎などの病気と、症状の強さ、検査結果、生活への影響に合わせて選ばれます。
3-1. 症状に合わせた薬物療法
喘息では、気道の炎症を抑える吸入ステロイド薬を中心に、必要に応じて気管支を広げる薬などを組み合わせます。
発作時に使う薬と、症状がない時期も続ける長期管理薬では役割が異なるため、指示された使い分けが重要です。
アレルギー性鼻炎では、抗ヒスタミン薬、点鼻ステロイド薬、ロイコトリエン受容体拮抗薬などが選択肢になります。
目のかゆみには点眼薬を使う場合もあります。
咳と鼻症状が併存しているときは、気管支だけでなく鼻の治療も含めて考えます。
3-2. 薬の使い方と注意点
吸入薬は使い方で気道に届く量が変わるため、手順を確認し、吸入ステロイド薬の使用後は指示通りにうがいをします。
抗ヒスタミン薬は眠気や口の渇きが出ることがあるため、運転などへの影響を説明書や医師・薬剤師に確認してください。
自己判断で中止・増量せず、改善しない場合は医師や薬剤師に相談しましょう。
3-3. 鼻の治療と免疫療法
アレルギー性鼻炎と喘息がある場合は、両方の状態を確認し、薬物療法と環境管理を組み合わせます。
スギ花粉やダニが原因で適応条件を満たす場合は、アレルゲン免疫療法が検討されることがあります。
アレルゲンを少量ずつ投与して反応を和らげる治療で、数年以上の継続が必要です。
4. 家庭でできるアレルギー対策

家庭での対策は、すべてのアレルゲンをなくすことではなく、自分に関係する原因や刺激への接触を減らすことが目的です。
4-1. 室内環境の整え方
ダニやハウスダストが関係する場合は、寝室や寝具を優先して見直します。
床や家具のほこりをためにくくし、掃除では急にほこりを舞い上げないようにします。シーツや枕カバーなどは定期的に洗い、寝具を乾燥させた後は表面のほこりを取り除きましょう。
カビ対策では、浴室、押し入れ、結露、家具の裏、エアコンのフィルターを確認し、換気を行います。
また、ペットが原因として疑われる場合は、寝室に入れない、触れた後に手を洗うなど、続けやすい対策から始めましょう。
【参考情報】『悪化因子の対策 室内環境を見直しましょう』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/measures/indoor.html
4-2. 症状の記録
2章で解説したとおり、アレルギー症状では、症状が出る時間帯や場所、きっかけを確認することが大切です。
家庭でも症状の変化を簡単に記録しておくと、悪化しやすい状況を振り返りやすくなります。
・症状の種類と強さ
・症状が出た時間帯と続いた時間
・外出、掃除、運動などの直前の行動
・薬を使った後の変化
・睡眠や日常生活への影響
例えば、「夜中に咳で目が覚めた」「掃除の後に鼻水が増えた」「薬を使用した時刻と、その後の症状の変化」などを具体的に記録しましょう。
毎日欠かさず記録することよりも、症状が強い日と落ち着いている日の違いが分かることが大切です。
4-3. 日常生活での対策
花粉が多い時期は、飛散情報を確認し、顔に合うマスクや眼鏡を使います。
帰宅時は玄関で花粉を払い、手洗い、洗顔、着替えを行うと、室内への持ち込みを減らせます。外干しや換気は飛散量に応じて調整しましょう。
【参考情報】『花粉症環境保健マニュアル2022』環境省
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf
また、次のようなものは、アレルゲンそのものではなくても、敏感な気道を刺激することがあります。
・たばこの煙
・香水や柔軟剤などの強い香り
・スプレー類
・PM2.5
・黄砂
症状との関係が疑われる場合は、たばこの煙や強い香り、スプレー類をできるだけ避けましょう。
黄砂やPM2.5については、飛来・濃度情報を確認し、外出や換気の時間を調整するなど、接触を減らす工夫が大切です。
5. 呼吸器内科への相談を検討する目安

アレルギーと思われる症状でも、長引く場合や生活に影響する場合は、ほかの病気との区別を含めた評価が必要です。

5-1. 2週間以上続く咳
2週間以上咳が続く場合や、毎年同じ季節に咳や息苦しさを繰り返す場合、鼻水が治まっても咳だけ残る場合は、呼吸器内科への相談を検討しましょう。
喘息や咳喘息のほか、感染症、副鼻腔炎、胃食道逆流、薬剤の影響などが隠れていることもあるためです。
また、咳の期間に加えて、発熱、痰の変化、胸痛、体重減少、血の混じった痰などの有無も伝えましょう。
アレルギーと決めつけず、症状全体を確認することが重要です。
5-2. 夜間・運動時の症状
夜中や明け方に咳で目が覚める、運動すると咳や息切れが出る、冷たい空気を吸うと胸が苦しくなるといった症状は、喘息でみられることがあります。
喘鳴がなく、咳だけが続く咳喘息もあるため、「ゼーゼーしないから呼吸器の病気ではない」とは限りません。
階段や坂道で以前より息切れする、会話中に咳き込むなどの変化がある場合は、症状の頻度や強さを整理して医療機関への相談を検討しましょう。
5-3. 薬で改善しない場合と緊急性の高い症状
市販薬や処方薬を使っても改善しない場合でも、薬が弱いとは限りません。
吸入方法が合っていない、原因への接触が続いている、鼻や副鼻腔の炎症を伴っているなどの理由が考えられます。
自己判断で薬を追加・中止せず、医師や薬剤師に相談して、診断、薬の使い方、生活環境を見直すことが大切です。
また、食物を摂取した後や薬を使用した後などに、次のような症状が急に現れた場合は、アナフィラキシー(全身に急速に症状が現れる重いアレルギー反応)の可能性があります。
・のどや舌が腫れて呼吸がしにくい
・声がかすれたり強い喘鳴がする
・息苦しさが急速に強くなった
・顔色が悪くなりぐったりしている
・意識がもうろうとしている
【参考情報】『Anaphylaxis – Symptoms & causes』Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/anaphylaxis/symptoms-causes/syc-20351468
このような場合は通常の外来相談を待たず、救急車を呼ぶなど緊急の対応が必要です。
6. おわりに
呼吸器内科では、花粉、ダニ、ハウスダスト、カビ、ペットなどが関係する咳、喘鳴、息苦しさを、鼻症状や生活環境と合わせて確認します。
診断には問診、診察、血液検査、呼吸機能検査、呼気NO検査などを組み合わせますが、検査結果だけで原因が決まるわけではありません。
治療と環境管理を無理なく続け、2週間以上咳が続く場合や夜間・運動時に症状が出る場合は、呼吸器内科への相談を検討しましょう。
こんなときは呼吸器内科の受診をおすすめします
- 咳・痰・息切れなどの呼吸に関する症状がある
- 他の病院で原因がわからなかった
- 呼吸器の専門的な検査を受けたい
- 呼吸器の持病があり、専門医に診てもらいたい
呼吸器の専門医が丁寧に対応いたします。お気軽にご相談ください。
