呼吸器内科で「息苦しい」原因を調べましょう

・咳が続いて息がしんどい
・少し動いただけで息が苦しい

こんな時は、呼吸器内科を受診して検査を受けると、原因を調べることができます。

この記事では、息苦しさを感じる原因や、考えられる病気について説明しています。

呼吸器内科で行う検査についても説明しますので、ぜひ参考にしてください。

1.呼吸器内科で扱う「息苦しさ」がある病気

息苦しさのほか、咳や痰、微熱などの症状があれば、以下の病気が考えられます。

1-1.喘息

アレルギーやストレスなどが原因で、空気の通り道である気道に慢性的な炎症が起こる病気です。

喘息になると、部屋のホコリや冷たい空気など、わずかな刺激にも反応して発作が起こり、咳や息苦しさが現れます。

◆「喘息」について詳しく>>

1-2.COPD(慢性閉塞性肺疾患)

タバコの煙をはじめとした有害物質を長期間吸い込んだことが原因で、肺に炎症が起こる病気です。

炎症が肺の奥にある肺胞にまで及ぶと肺が硬くなり、十分な呼吸ができなくなります。そのため、息苦しさを感じるようになります。

◆「COPD」について詳しく>>

1-3.肺炎

肺炎の初期症状は、咳や痰、微熱などですが、重症化すると息苦しさや胸痛が現れます。

新型コロナウイルス感染症による肺炎でも、強い息苦しさを感じることがあります。

◆「肺炎」について詳しく>>

◆「新型コロナウイルス感染症」について詳しく>>

1-4.肺結核

肺結核の初期症状は、咳や痰、発熱、倦怠感など風邪とよく似ています。しかし、病気が進むと息苦しさを感じることがあります。

肺結核になると、咳やくしゃみにより結核菌が広がり、周囲の人に感染します。

1-5.肺がん

肺にがんができても、初期のうちは症状が感じられないことが多いです。

しかし進行すると、咳や血痰などが現れ、動いたときに息苦しさを覚えることがあります。

◆「肺がん」について詳しく>>

1-6.睡眠時無呼吸症候群

睡眠中に、呼吸が止まってしまうことを繰り返す病気です

この病気になると寝ている間に息苦しくなり、夜間に目が覚めてしまうことがあります。

睡眠中の呼吸をサポートする治療を行えば、呼吸が止まることを防ぎ、息苦しさが改善されます。

【参考情報】『Sleep apnea』Mayo Clinic

◆「睡眠時無呼吸症候群」について詳しく>>

2.呼吸器内科で行う検査

息苦しいという症状がある場合に、呼吸器内科で行う主な検査を紹介します。

2-1.画像検査

レントゲンやCTで体内を撮影して、異常があるかないかを確認する検査です。

たとえば、肺に炎症や腫瘍がある場合、レントゲンで撮影すると、その部分が白く写ります。

レントゲンだけでは体内の様子が分かりにくい場合は、CTを撮ることがあります。

CTは、体を輪切りにした状態の画像を複数枚撮影するので、細かな部分までチェックすることができます。

2-2.血液検査

血液を採取し、血液内の電解質や細胞などの成分を確認します。

例えば、体内で炎症が起こっているなら、血液中の白血球の値に異常が現われます。

また、がん細胞から作り出される物質などを測定し、がんの有無や進行度などを調べることもできます。

2-3.呼吸機能検査

器具や装置を使って、肺の機能や呼吸の能力を調べる検査です。

咳や痰、息苦しさなどの症状があり、喘息やCOPDをはじめとした呼吸器疾患が疑われる場合に行います。

【参考情報】『肺機能検査とはどのような検査法ですか?-呼吸器Q&A』日本呼吸器学会

3.呼吸機能検査の種類

呼吸器内科では、呼吸機能検査を重点的に行い、疾患の判別に役立てています。

3-1.呼気NO検査

吐いた息の中に含まれる一酸化炭素(NO)の濃度を測定する検査です。

喘息の患者さんが吐く息の中には、大量の一酸化窒素が含まれています。

一方で、COPDの患者さんが吐く息には、それほど一酸化窒素は含まれていないので、二つの疾患の鑑別ができます。

3-2.スパイロメトリー

スパイロメーターという機械を使い、息を大きく吸ったり吐いたりすることで、呼吸機能を評価することができます。

肺の広がりやすさや肺活量などを調べ、正常値と比べてどのくらい差があるのかを確認します。

指示通りに吸ったり吐いたりできなければ、的確な評価ができないため、小さな子どもには難しい検査です。

3-3.モストグラフ

気道を通る空気の流れの状態(気道抵抗)を調べる検査です。鼻にクリップをつけ、マウスピースをくわえながら呼吸をします。

喘息や咳喘息、COPDの患者さんは、気道が狭くなっているので、気道抵抗が高くなります。

スパイロメトリーと違い、普通に呼吸をするだけで数値が測定できるので、3歳くらいから検査が可能です。

4.息苦しさを感じる他の病気

息苦しさを感じる原因で多いのは呼吸器系の病気ですが、心臓の病気や、精神的な問題が原因である場合もあります。

◆「咳喘息」について詳しく>>

4-1.心臓の病気

心不全や心筋梗塞になると、息が苦しくなることがあります。

心不全は、心臓の機能が低下している状態を指します。心臓から血液を押し出す力が弱まることで、肺に十分な酸素が行き届かず、息苦しくなります。

心筋梗塞は、心臓の血管が血栓により詰まった状態です。

詰まった箇所より先に血液が届かず、心臓自体の動きが弱まることで、呼吸困難が現れます。

4-2.精神的な問題

パニック障害や過換気症候群など、精神的な問題が原因となり、息苦しくなることがあります。

パニック障害の発作が起こると、不安や恐怖を感じると同時に、息苦しさを感じることがあります。

過換気症候群では、何度も呼吸を繰り返すほか、手のしびれなどの症状も現れます。

【参考情報】『パニック症/パニック障害』e-ヘルスネット|厚生労働省

また、病気とまでは言えなくても、強い不安やストレスを抱えていると、息苦しさを感じることがあります。

◆「過換気症候群」について詳しく>>

4-3.その他の原因


その他、貧血や甲状腺の病気などが原因で、息苦しくなることがあります。

貧血になると、酸素を運ぶ赤血球が減ることで体の中の酸素が減り、息苦しさを感じます。

甲状腺のホルモンは、心拍数や体温、自律神経の働きに関与しています。病気によりホルモンが多量に分泌されると、動悸や息切れなどの症状が現れます。

5.おわりに


息苦しさを感じる原因は、呼吸器の病気であることが多いです。

どの診療科を受診すればいいか分からないときは、まずは呼吸器内科を受診してみましょう。

もし、息苦しさの原因が呼吸器の病気ではないと判断された場合は、別の診療科に紹介することもできます。

呼吸器の病気には、肺がんのように早期はほとんど症状が現れない病気もあります。些細な異変だとしても、何だか息苦しいと感じることが続くなら、念のため専門医の診察を受けましょう。

◆「呼吸器内科」について詳しく>>