過換気症候群とは?

極度の不安や緊張を感じているとき、呼吸が苦しくなり吸っても治まらない、そんな経験はありませんか?

「過呼吸」とも呼ばれる過換気症候群は、不安や緊張などの精神的ストレスが引き起こす疾患であり、息苦しさや手足のしびれなど、さまざまな症状があらわれます。

今回の記事では、過換気症候群の原因や治療、検査などわかりやすく解説します。

過換気症候群にお困りの方は、ぜひ最後までお読みください。

1.原因


過換気症候群は、意図せず呼吸が速くなり、血液がアルカリ性に傾いてしまうことでさまざまな症状をあらわします。

原因は様々ですが、最も一般的な原因はストレスや不安などの精神的な要因です。

ストレスや不安は、自律神経系のバランスを崩し、身体を活動モードに切り替える交感神経が優位になることで、過剰な呼吸を引き起こします。

過換気の状態になると、息苦しさを感じ「もっと吸わなければ」と焦り、呼吸の回数が増えていきます。

手足のしびれやめまいなど、さまざまな症状があらわれ、さらに不安が増強する悪循環を起こすのです。

10代~20代の若い女性に多いとされていますが、誰にでも起こりうる疾患です。

性格的に「心配性」や「几帳面」、「神経質」な人が起こしやすいといわれています。

過換気症候群の原因は、精神的な原因だけではありません。

激しい運動や疲労、睡眠不足など、身体的な要素も原因となります。

【参考文献】”Understanding Hyperventilation Syndrome” by Saint Luke’s Health System Kansas City
https://www.saintlukeskc.org/health-library/understanding-hyperventilation-syndrome

2.症状


過換気症候群では、以下のような症状があらわれます。

症状 原因
呼吸器系 息苦しさ 不安により呼吸が浅くなり回数が増える
深く速い呼吸
息切れ
循環器系 動悸 不安が強まり交感神経が刺激される
頻脈 過換気により体内がアルカリ性に傾く(呼吸性アルカローシス)
胸のしめつけ感
抹消神経/筋肉系 手足のしびれ 最初は手足のしびれを感じ、徐々に筋肉のけいれんや硬直があらわれる
四肢の筋力低下 過換気による血中のカルシウムイオンの減少が原因
筋肉の持続的な硬直(テタニー)
精神系 不安や緊張 不安や緊張によって交感神経が刺激される
発汗 不安や緊張が過換気によって、さらに悪化する
パニック状態
消化器系 腹痛 胃腸周囲の血管が収縮し、胃腸の動きが悪くなる
悪心 交感神経の高まりで胃腸の動きが悪くなる
神経系 めまい 体内の二酸化炭素が減少し、脳の血管が収縮する
頭痛
意識障害

【参考情報】『過換気症候群』日本スポーツ協会
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data/ikusei/doc/AT/text%20kaitei/AT4_P11-12.pdf

気管支喘息のある人が過換気になると、気管支の収縮を引き起こし、喘息症状を悪化させる原因となる場合もあります。

また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)の人が過換気になると、肺に空気がたまり、息苦しさを悪化させます。

◆「COPD」について詳しく>>

3.検査


過換気症候群の検査は、以下のようなものがおこなわれます。

・パルスオキシメトリー:皮膚の表面から血液中の酸素量を測定する検査
・スパイロメトリー:肺活量や呼吸力など肺の働きを調べる検査
・心電図
・胸部レントゲン検査
・動脈血ガス分析:血液中の酸素、二酸化炭素、酸性度を測定する検査

他の疾患との鑑別のためにも、必要に応じた検査が必要です。

また、過換気症候群は心理的な要因が深くかかわっているケースが多く、精神疾患も引き起こしている可能性があります。

そのような場合には、問診をおこない、精神面にもアプローチしていきます。

◆「呼吸器内科で行われる検査」について詳しく>>

【参考文献】”Hyperventilation” by Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/24860-hyperventilation-syndrome

4.治療


過換気発作の治療は、まず本人を安心させ、ゆっくり呼吸するように促します。

周囲が慌ててしまうと不安を増強させてしまうため、まずは周りが落ち着いて行動しましょう。

発作が起きてしまったら、うつ伏せに寝たり前かがみになったりして、腹式呼吸を意識します。

「吸って、吐いて、吐いて」で呼吸のリズムを整えます。

呼吸を遅くすることを意識したり、一時的に呼吸を止めたりすることも、症状の改善に効果的です。

一般的に過換気発作は、30分〜1時間程度で治まり予後も良好ですが、発作を繰り返す場合があります。

過換気発作が起きたときに、血液中の二酸化炭素濃度を上げる方法として、ペーパーバッグ法というやり方があります。

紙袋で口と鼻をおおい、吐いた空気を再度吸い込む方法です。

ただし、ペーパーバッグ法をおこなうと、血液中の酸素濃度が下がり過ぎたり、二酸化炭素濃度が上がり過ぎたり、危険な状態になる場合があります。

現在では、あまり推奨されている方法ではないため、注意が必要です。

繰り返し過換気発作を起こす人は、徐々に発作が起きそうなタイミングがわかるようになってきます。

「発作が起きそうな予感」がするときには、会話をしたり飴をなめたりすることで注意をそらし、過換気発作を回避できる可能性があります。

しかし、呼吸のリズムが乱れはじめ、コントロールできなくなってきたら、すぐに飴は吐き出しましょう。

誤って吸い込んでしまったら、窒息の危険性があります。

過換気発作を繰り返している場合、発作に対する不安を軽減する必要があります。

「また発作が起きたらどうしよう」と不安に感じている状態は、過換気発作を誘発しかねません。

過換気症候群の特徴や発作時の対処法を理解し、必要であれば薬物療法やカウンセリングをおこないましょう。

日頃からストレス解消ができるよう、リラックスする時間を持つことも大切です。

【参考情報】『過換気症候群』日本女性心身医学会
https://www.jspog.com/general/details_54.html

5.おわりに

過換気症候群は、若い女性に多いとされていますが、心理的なストレスにより誰にでも起こる可能性がある病気です。

しかし、正しく対処することで過換気症状を速やかに落ち着かせることができ、繰り返す発作をコントロールすることが可能です。

もし、過換気発作が起きて、落ち着いてゆっくり呼吸することを意識しても改善がなければ、医療機関を受診しましょう。

まずは、普段からストレスのコントロールをおこない、リラックスすることが大切です。