副鼻腔炎で咳が出るのはなぜ?後鼻漏との関係や考えられる原因を解説
副鼻腔炎になると、鼻づまりや鼻水だけでなく咳が続くことがあります。
鼻の病気なのに咳が出るのは、鼻水がのどへ流れる「後鼻漏(こうびろう)」が関係している場合があるためです。
ただし、咳の原因は副鼻腔炎だけとは限りません。
この記事では、副鼻腔炎と咳の関係や特徴についてわかりやすく解説します。
1. 副鼻腔炎で咳が出ることはあるのか

副鼻腔炎では、鼻の症状だけでなく咳が現れる場合があります。
その理由を知るには、鼻と気道のつながりを理解することが大切です。
1-1. 鼻と気管支はつながっている
鼻から吸い込んだ空気は、のどを通って気管や気管支、肺へ届きます。そのため、鼻で起こった炎症が気道にも影響を及ぼす可能性があります。
副鼻腔炎では、副鼻腔と呼ばれる鼻の周囲にある空洞で炎症が起こり、粘り気のある鼻水が増えます。
鼻づまりだけでなく、のどに違和感を覚えたり、咳が出たりすることも珍しくありません。
鼻と気道は一つの通り道としてつながっているため、「鼻の病気だから咳とは関係ない」とは言い切れません。
1-2. 後鼻漏が咳につながる場合がある

副鼻腔炎による咳の大きな原因の一つが、後鼻漏です。
後鼻漏とは、鼻水が前へ出るのではなく、のどへ流れ落ちる状態をいいます。
のどに鼻水が流れ続けると粘膜が刺激され、「異物を外へ出そう」という反応として咳が起こることがあります。
特に横になると鼻水がのどへ流れやすくなるため、夜間や朝方に咳が強くなる方もいます。
1-3. 咳が出る仕組みを理解する
咳は、気道に入った異物や分泌物を体の外へ排出するための防御反応です。
後鼻漏によってのどへ流れた鼻水も、体にとっては取り除きたい刺激になります。そのため、副鼻腔炎が続いている間は咳も長引くことがあります。
一方で、咳はさまざまな病気で起こる症状です。副鼻腔炎だけが原因とは限らないため、ほかの症状もあわせて考えることが大切です。
【参考情報】『Cough, a vital reflex. Mechanisms, determinants and measurements』NIH
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6502102/
2. 副鼻腔炎による咳の特徴

副鼻腔炎による咳には、いくつかの特徴があります。
副鼻腔炎では、後鼻漏によって咳が起こることがあるため、咳だけを見るのではなく、鼻の症状や咳が出るタイミングもあわせて確認することが大切です。
2-1. 痰が絡むような咳
副鼻腔炎では、粘り気のある鼻水がのどへ流れるため、痰が絡むような咳になりやすい傾向があります。
後鼻漏によってのどが繰り返し刺激されると、異物を外へ出そうとする反射が起こり、咳が出やすくなります。
「何度も咳払いをしたくなる」「のどに何か張り付いている感じがする」と表現される方も珍しくありません。
ただし、黄色や緑色の痰が出るからといって、副鼻腔炎だけが原因とは限りません。呼吸器の病気が関係している可能性もあります。
痰の色や量だけで原因を判断することは難しく、透明な痰でも気道や鼻の炎症が続いている場合があります。
一方で、黄色や緑色の痰がみられるときは細菌感染が疑われることもあるため、ほかの症状もあわせて確認することが大切です。
◆「痰が出るのはなぜ?色や性状でわかる原因と対処法」について>>
2-2. 寝起きや夜間に出やすい咳
横になると鼻水がのどへ流れやすくなるため、夜間や起床時に咳が出やすくなる傾向があります。
睡眠中は飲み込む回数が減るため、のどへ流れた鼻水がたまりやすく、後鼻漏による刺激が続きやすくなります。
その結果、朝起きた直後に咳込みやすくなったり、夜中に咳で目が覚めたりすることがあります。
一方で、夜間や明け方に悪化する咳は喘息でもみられるため、症状だけで原因を判断することはできません。
2-3. 鼻水や鼻づまりを伴う咳
副鼻腔炎による咳では、鼻づまりや鼻水、においが分かりにくいといった鼻の症状を伴うことが多くみられます。
「鼻の調子が悪くなってから咳が始まった」「鼻づまりが続く時期に咳も悪化する」といった経過であれば、副鼻腔炎が関係している可能性があります。
一方で、鼻の症状がほとんどない場合や、鼻の症状が改善しても咳だけが続く場合には、副鼻腔炎以外の原因が関係していることも考えられます。
【参考情報】『副鼻腔炎』日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=21
3. 副鼻腔炎以外で咳が続く原因

咳が続く原因は副鼻腔炎だけではありません。
副鼻腔炎による後鼻漏が関係している場合もありますが、ほかの病気が原因となっていることや、複数の原因が重なっているケースもあります。

3-1. 咳喘息や喘息
咳喘息は喘息の一形態で、喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音)が目立たず、咳が主な症状となることがあります。
副鼻腔炎と咳喘息、あるいは喘息が同時にみられることもあり、咳が長引く原因が一つとは限りません。
副鼻腔炎の治療で鼻の症状が改善しても咳だけが続く場合は、ほかの病気が関係している可能性も考えられます。
3-2. アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎でも後鼻漏が起こり、のどへの刺激によって咳が続く場合があります。
花粉やダニなどのアレルゲンに触れる時期だけ症状が悪化する場合は、アレルギー性鼻炎が関係している可能性があります。
副鼻腔炎と併発することもあるため、症状を総合的に判断することが大切です。
【参考情報】『ぜん息との合併に気をつけたい病気(アレルギー性鼻炎)』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/complications.html
3-3. 胃食道逆流症や感染後咳嗽
胃食道逆流症では、逆流した胃酸がのどを刺激し、咳が続くことがあります。
また、かぜなどの感染症が治ったあとも、気道の過敏な状態が続くことで咳だけが長引く「感染後咳嗽」がみられることがあります。
副鼻腔炎だけが原因と決めつけず、症状全体や経過を踏まえて原因を考えることが重要です。
【参考情報】『Gastroesophageal Reflux Disease (GERD)』 National Institute of Diabetes and Digestive and Kidney Diseases
https://www.niddk.nih.gov/health-information/digestive-diseases/acid-reflux-ger-gerd-adults
4. 副鼻腔炎による咳を悪化させないための工夫

副鼻腔炎による咳は、後鼻漏によるのどへの刺激が続くことで悪化する場合があります。
日常生活の工夫によって症状が和らぐ場合もありますが、改善を目指すには原因に応じた治療を受けることも大切です。
4-1. 鼻の症状を整える
鼻を強くかみ過ぎないようにし、適度に鼻の通りを保つことが大切です。
副鼻腔炎による炎症が改善すると、後鼻漏も軽減し、のどへの刺激が少なくなる可能性があります。
処方された薬がある場合は自己判断で中断せず、医師の指示に従って治療を続けましょう。
鼻づまりや鼻水を放置すると、鼻水が喉へ流れ込みやすい状態が続き、咳が長引く原因となることがあります。
鼻の症状が続くときは、咳だけでなく鼻の状態もあわせて整えることが大切です。
4-2. 室内環境を整える
乾燥した空気は、鼻やのど、気道を刺激しやすくなります。
室内では適度な湿度を保ち、こまめな換気を心がけることも大切です。
また、たばこの煙やほこりなど、のどへの刺激となるものをできるだけ避けることで、咳の悪化を防ぎやすくなります。
4-3. 水分補給や睡眠を意識する
十分な水分補給は、のどや気道の乾燥を防ぎ、鼻水や 分泌物が排出されやすい状態を保つことにつながります。
また、睡眠不足や疲労が続くと体調を崩しやすくなり、症状が長引くケースもあります。
規則正しい生活を心がけ、十分な休養を取ることも、副鼻腔炎からの回復を助けるポイントです。
【参考情報】『Low ambient humidity impairs barrier function and innate resistance against influenza infection』 NIH / PMC
https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC6561219/
◆「咳が繰り返す原因とは?家庭でできるケアと受診の目安」>>
5. 咳が続く場合に確認したいこと

副鼻腔炎による咳は、鼻の症状が改善するとともに軽快することが多い一方で、咳が長引く場合は別の病気が関係している可能性もあります。
症状の経過や変化を確認することが大切です。
5-1. 2週間以上咳が続いている
副鼻腔炎の症状が落ち着いてきたにもかかわらず、2週間以上咳が続く場合は、副鼻腔炎以外の原因についても確認が必要となることがあります。
市販薬やセルフケアで一時的に症状が軽くなっても、原因となる副鼻腔炎が改善していなければ咳が続くことがあります。
症状を繰り返す場合や日常生活に支障がある場合は、自己判断を続けず医療機関で原因を確認することが大切です。
5-2. 息苦しさや喘鳴がある
咳だけでなく、息苦しさやゼーゼー・ヒューヒューという呼吸音がみられる場合は、喘息などが関係している可能性があります。
症状が現れるタイミングや特徴を整理しておくと、原因を考える際の参考になります。
5-3. 医療機関へ相談する
咳の原因は一つとは限りません。
副鼻腔炎が改善しても咳だけが続く場合や、鼻の症状だけでは説明しにくい場合は、ほかの病気が関係している可能性も考えられます。
咳が長引くときは自己判断せず、医療機関へ相談し、原因を確認することが大切です。
6.おわりに
副鼻腔炎では、後鼻漏によってのどが刺激され、咳が出ることがあります。
痰が絡む咳や、夜間・朝方に悪化する咳、鼻水や鼻づまりを伴う場合は、副鼻腔炎が関係している可能性があります。
ただし、咳は喘息やアレルギー性鼻炎、胃食道逆流症など、ほかの病気でもみられる症状です。
咳が長引く場合は、副鼻腔炎だけが原因と決めつけず、症状全体や経過を踏まえて原因を確認し、適切な治療につなげることが大切です。
以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします
- 咳が2週間以上続いている
- 夜間や明け方に咳がひどくなる
- 痰に血が混じることがある
- 咳のせいで眠れない日がある
- 市販の咳止めを飲んでも改善しない
当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?
