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いびきで眠れない…夫婦でできる睡眠改善と受診のすすめ

毎晩、配偶者のいびきに悩まされて「眠りが浅くなった」「日中すぐ疲れる」という方へ。

この記事では、いびきがあなたの睡眠の質に与える影響と、その仕組みをていねいに解説します。

耳栓や別室の工夫から、隠れた病気の可能性、そして受診のコツまで、読めば明日から実践できるヒントが満載です。

今夜は少しでも深い眠りを手に入れましょう。

1. いびきが招く“音の目覚まし”作用とは


いびきは、ただの「うるさい音」ではありません。

あなたの睡眠のリズムを壊し、深い眠りを妨げている可能性があります。

音が繰り返し脳に刺激を与えることで、脳が警戒状態に陥り、本来休息すべき時間に休めなくなってしまうのです。

たとえ本人は寝続けているつもりでも、脳の一部が覚醒状態に近づいており、翌朝の目覚めに「疲れが取れていない」と感じやすくなります。

また、「またいびきで起こされるかも」という不安が無意識に働くことで、布団に入る前から緊張状態が生まれ、入眠そのものにも時間がかかるようになるケースもあります。

1-1. 睡眠の浅い瞬間に響くいびきが“目覚め”に拍車をかける

人は睡眠中、浅い眠り(レム睡眠)と深い眠り(ノンレム睡眠)を繰り返しています。

浅い眠りのタイミングで、突如いびきの音が鳴ると、脳が刺激を受けて目を覚ましやすくなります。

特に眠りの初期段階でこのような刺激が繰り返されると、脳がリラックスしきれず、その後の睡眠ステージに悪影響を及ぼします。

こうした中断は、眠っている「つもり」でも、脳が本当には休めていない状態を作り出してしまい、これが毎晩何度も起きると、熟睡感が得られず、慢性的な疲労感につながるのです。

1-2. 持続的な“分断睡眠”がだるさや集中力低下に直結

夜中に何度も目が覚める「分断睡眠」は、たとえ睡眠時間が長くても、深い睡眠が得られず質の低い状態になります。

これにより、日中の眠気や集中力の低下、イライラ感などを招く可能性があります。

また、仕事や家事への集中が続かなくなったり、些細なことでストレスを感じるようになるのも、脳と身体の回復が不十分であることのサインです。

慢性的にこの状態が続くと、睡眠負債が蓄積し、免疫力の低下や生活習慣病のリスクが高まる恐れもあるため、早めの対策が大切です。

◆「いびきが気になるときは何科を受診するか知っていますか?」について詳しく>>

【参考情報】”Does how loud you snore matter to your health?” by National Heart, Lung, and Blood Institute, National Institutes of Health
https://www.nhlbi.nih.gov/news/2024/does-how-loud-you-snore-matter-your-health

2. いびきの裏に潜む“病気のサイン”を見逃さないで


いびきは「疲れているだけ」と思われがちですが、実は重大な疾患が隠れていることもあります。

中でも、いびきと関係の深い「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」などの疾患は、呼吸器内科で専門的に対応しているケースが多く、早期に受診することで予防や改善が期待できます。

特に、いびきに加えて「息が止まっているように感じる」「朝起きたときに喉が渇いている」「日中強い眠気がある」などの症状がある場合は注意が必要です。

これらはすべて、睡眠の質が下がっているサインであり、医療機関での検査が推奨されます。

◆「呼吸器内科専門医について解説!」について詳しく>>

2-1. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)の可能性

睡眠中に呼吸が何度も止まる「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」は、本人も気づかないまま進行することがあります。

大きないびき、呼吸停止、日中の強い眠気などが特徴です。

治療をしないままだと高血圧や心疾患のリスクも高まります。

特に中高年以降の男性に多く見られる症状ではありますが、女性や若年層にも発症する可能性があります。

簡易検査キットで自宅で確認できるケースも増えており、以前よりも手軽に検査が可能です。

睡眠時無呼吸症候群は、無呼吸発作が種々の臓器に負担を抱えることで多様な疾患の増悪因子であるということが明らかになってきています。

現時点で悪影響が最も大きいとされているのが循環器疾患で、心不全などの増悪因子の一つとされています。

そのほか気管支喘息、糖尿病の発症・悪化にも関わるとされています。

◆「睡眠時無呼吸症候群とはどんな病気?」について詳しく>>

◆「睡眠時無呼吸症候群と糖尿病の関係性とは?治療法も解説!」について詳しく>>

2-2. アレルギー性鼻炎や肥満との関係

鼻づまりによって口呼吸が続く、または肥満により喉の気道が狭くなると、いびきの原因となることがあります。

これらは生活習慣の改善や治療によってコントロール可能です。

特にアレルギー性鼻炎の方は季節や気候の影響を受けやすく、慢性的な鼻づまりによっていびきが悪化することもあります。

また、女性の更年期におけるホルモンバランスの変化もいびきの一因になることがあり、症状の背景には多様な要素があるといえるでしょう。

次章では、女性特有のいびきや睡眠障害について詳しくご紹介します。

【参考情報】『アレルギー性鼻炎Q&A』日本アレルギー学会
https://www.jsaweb.jp/modules/citizen_qa/index.php?content_id=5

【参考情報】”Sleep and health implications of snoring: A populational analysis” by The American Laryngological, Rhinological and Otological Society, via PubMed
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/25946644/

3. 女性特有のいびきや睡眠トラブルにも注目


いびきや睡眠障害は、男性の問題と思われがちですが、実は女性にも多く見られる症状です。

特に更年期を迎える40代後半から50代の女性は、ホルモンバランスの変化によりいびきをかきやすくなると言われています。

3-1. 更年期といびきの関係

女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)には、呼吸筋を安定させる働きがあります。

しかし、更年期に入るとこれらのホルモンが急激に減少し、気道の筋肉が緩んでいびきをかきやすくなります。

また、体温調整の乱れや自律神経の不調も睡眠に影響を与えるため、睡眠の質自体が低下する方も少なくありません。

更年期症状だと軽視されがちですが、深刻な睡眠障害が潜んでいることもあるため注意が必要です。

3-2. 女性のSASは見逃されやすい?

女性の睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、男性に比べて症状が目立たないことが多く、「ただの疲れ」「更年期のせい」と思われがちです。

しかし、いびきに加えて日中の強い眠気、記憶力の低下、気分の落ち込みなどがある場合は、医療機関での相談が必要です。

早期に気づくことで、適切な治療や生活習慣の見直しが進み、生活の質を大きく改善できます。

【参考情報】『女性の睡眠障害』日本睡眠学会
https://www.jssr.jp/basicofsleepdisorders8

【参考情報】”Sleep Apnea and Women” by National Heart, Lung and Blood Institute
https://www.nhlbi.nih.gov/health/sleep-apnea/women

4. 一緒に受診するメリットと医療機関の選び方


「受診を勧めたいけど、どう話せばいいかわからない」そう悩む方も多いと思います。

実は、一緒に受診することが最もスムーズな方法かもしれません。

特にパートナーがいびきを軽視している場合、客観的な視点からのアプローチが効果的です。

4-1. 一緒に受診すると安心できる理由

本人が自覚していないケースも多いため、同席して症状を伝えることで、より正確な診断につながります。

また、治療方針を共有することで、パートナーとしての支援もしやすくなります。

医師からの説明を一緒に聞くことで、理解も深まり、互いにサポートし合える関係性を築くことができます。

さらに、「ふたりで治す」という意識を持つことが、生活習慣の改善や通院の継続にも良い影響を与えます。

【参考情報】『夜、呼吸、いびきが止まると言われました。』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q15.html

4-2. 相談しやすい医療機関はここをチェック

呼吸器内科や睡眠専門外来を設置している医療機関は、検査・診断・治療が一貫して行えるので安心です。

女性医師が在籍していたり、夫婦での相談に対応しているかどうかもチェックポイントです。

また、最近ではオンライン診療を導入している施設もあり、まずは軽い相談から始めたいという方にも利用しやすくなっています。

診療実績や口コミ、病院のホームページで対応内容を事前に確認するとスムーズです。

◆「睡眠時無呼吸症候群は呼吸器内科で検査・治療がおこなえます」について詳しく>>

4-3. 治療法の選択肢を知っておくと安心

睡眠時無呼吸症候群(SAS)と診断された場合、症状の程度に応じてさまざまな治療法が選ばれます。

軽度の場合はマウスピースの装着、中等度以上ではCPAP(持続陽圧呼吸療法)といった機器による治療が一般的です。

場合によっては手術という選択肢もあります。

どの治療が適しているかは医師の判断に基づきますが、事前に選択肢を知っておくことで、診療時の不安も軽減されます。

◆「基礎疾患を持つ方のための睡眠時無呼吸症候群の手術」について詳しく>>

5. 日々できる“やさしい改善習慣”で、深い眠りを取り戻す


今日から始められる、ちょっとした生活習慣の見直しが、いびきと睡眠の質の改善に役立ちます。

特別な器具や高額な治療を使わなくても、できることはたくさんあります。

5-1. 生活習慣の見直しと耳栓などの工夫

体重増加は喉まわりの脂肪を増やし、気道を狭めていびきを引き起こしやすくします。

鼻づまりや枕の高さなども影響するため、寝具や室内環境を整えることが大切です。

耳栓も音を軽減する手段として有効ですが、遮音性や装着感に注意し、自分に合ったタイプを選びましょう。

スマホやテレビの使用は控え、室温・湿度・照明を整えるなど、就寝環境づくりも意識してみてください。

さらに、夕食は就寝の2〜3時間前までに済ませ、アルコールの摂取は控えめに。

適度な運動は呼吸筋を鍛え、睡眠全体の質を高めるのに役立ちます。

【参考情報】『Good Sleepガイド(ぐっすりガイド)成人版』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/content/001288005.pdf

5-2. 一緒に眠る“心地よさ”を作る工夫

眠る前に穏やかな会話をしたり、リラックスできる音楽をかけるなど、心の安らぎを意識することで、夫婦ともに質の良い睡眠が得られます。

また、パートナーのいびきが気になった時も「いびき、うるさい!」と怒るのではなく、「最近眠れてる?ちょっと気になってて」と優しく伝えることで、お互いが歩み寄れる関係になります。

相手を思いやる気持ちを忘れず、毎晩の睡眠をより良い時間に変えていきましょう。

さらに、毎晩の就寝時間をなるべく合わせたり、照明の明るさを調整したりといった「共有する時間」を工夫することで、安心感と絆が深まります。

アロマや柔らかい肌触りの寝具を一緒に選ぶのもおすすめです。

日常の小さな習慣が積み重なって、互いにとって安心できる「眠りの時間」を育むことができます。

【参考情報】”Snoring Causes That Shouldn’t Be Ignored” by Verywell Health
https://www.verywellhealth.com/snoring-7494848

6. まとめ

いびきは単なる音の問題ではなく、健康へのサインでもあります。

特に睡眠時無呼吸症候群などの疾患が疑われる場合は、呼吸器内科での早期受診が重要です。

呼吸器内科では、専門的な検査や治療が受けられ、原因を明確にすることで安心して対策に取り組めます。

パートナーとの関係を大切にしながら、生活習慣の見直しや医療の力を活用し、安心できる眠りを取り戻しましょう。

毎晩の睡眠が変われば、日中の活力や笑顔もきっと増えていきます。