秋の花粉症は春とどう違う?風邪や寒暖差との見分け方
秋にも花粉症の症状がみられ、春の花粉症とは原因となる植物や花粉に触れやすい場所が異なります。
ブタクサやヨモギなどが原因になることがあり、秋は風邪や寒暖差による鼻症状など、花粉症と似た症状もみられるため、症状だけでは見分けにくい時期です。
この記事では、秋の花粉症と春の花粉症、風邪、寒暖差による症状などを比較し、自分の症状を整理するときのポイントを紹介します。
1. 秋にも花粉症は起こる?

秋に症状が出る場合は、原因となる植物や花粉の飛散時期を知っておくことが、症状を整理する手がかりになります。
ここでは、秋の花粉症の特徴を順に確認していきましょう。
1-1. 春だけではない秋の花粉症
花粉症というと、春に飛散するスギやヒノキを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、花粉症の原因となる植物は春だけではなく、夏の終わりから秋にかけて花粉を飛ばす植物もあります。
花粉が鼻や目などの粘膜に付着すると、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れることがあります。人によっては、喉の違和感や咳を伴うこともあり、風邪と区別しにくいと感じることもあるでしょう。
花粉症では、原因となる花粉の飛散時期に重なって、毎年同じ季節に症状が現れることがあります。秋に鼻や目、喉の症状が続くときは、過去にも同じ時期に症状がなかったか振り返ることが、原因を整理する手がかりのひとつです。
「春ではないから花粉症ではない」と決めつけず、季節と症状の関係を確認しておくことが大切です。
1-2. 秋の花粉にみられる主な原因植物
秋の花粉症では、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどが主な原因植物として知られています。
春に多いスギやヒノキが樹木であるのに対し、これらは草本植物で、道端や空き地、河川敷、公園など身近な場所に生えていることがあります。
ブタクサやヨモギは夏の終わりから秋にかけて花粉を飛ばし、カナムグラも秋に飛散する代表的な植物のひとつです。
ただし、花粉が飛ぶ時期や量は、地域やその年の気象条件などによって異なります。そのため、「9月だから原因はブタクサ」「10月になれば花粉症ではない」など、時期だけで原因を判断することはできません。
散歩や通勤、運動などで草が多い場所を通ったあとに、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどが強くなる場合は、そのときにいた場所も症状との関係を考える手がかりになります。
ただし、道端や公園などに生えている植物を見ただけで、ブタクサやヨモギなどの種類を正確に見分けることは難しいです。
また、症状の出方だけから、どの植物の花粉が原因になっているかを自分で特定することも簡単ではありません。原因を無理に絞り込むのではなく、症状が出る時期や場所を確認し、季節や環境との関係を整理しておくとよいでしょう。
【参考情報】『花粉症環境保健マニュアル2022』環境省
https://www.env.go.jp/chemi/anzen/kafun/2022_full.pdf
2. 秋の花粉症と春の花粉症の違い

秋と春の花粉症では、原因となる植物や花粉に触れやすい場所が異なります。
一方、現れる症状には共通点もあります。
ここでは、原因・場所・症状の3つに分けて、それぞれの違いを比べてみましょう。

<原因となる植物>
春の花粉症では、スギやヒノキなどの樹木が代表的な原因です。一方、秋はブタクサ、ヨモギ、カナムグラなどの草本植物が主な原因として知られています。原因となる花粉は人によって異なるため、春に花粉症がある方が、必ず秋にも症状が出るとは限りません。
<花粉に触れやすい場所>
スギやヒノキの花粉は風に乗って広い範囲へ運ばれるため、近くに木が見当たらなくても花粉に触れることがあります。一方、秋の原因となる草本植物は身近な場所にも生育しているため、生活の中で花粉に触れることがあります。
このように、春と秋では花粉に触れる環境にも違いがあります。秋に症状が出る場合は、草が多い場所で過ごしたかどうかも振り返ってみるとよいでしょう。
<共通する主な症状>
原因となる植物は異なりますが、花粉症でみられる基本的な症状には共通点があります。代表的なのは、くしゃみ、透明でさらさらした鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどです。
人によっては、喉のかゆみや違和感、咳などを伴うこともあります。そのため、春と秋で症状の出方が異なる場合でも、それだけで花粉症ではないと判断することはできません。
原因となる植物や花粉に触れやすい場所には違いがありますが、症状には共通する部分もあることを知っておきましょう。
3. 秋の花粉症と風邪・寒暖差による症状を比べる

秋は花粉症だけでなく、風邪や気温の変化によっても鼻水やくしゃみ、咳などがみられることがあります。
症状だけで原因を決めつけず、それぞれの特徴や症状が現れる状況を比べてみましょう。
3-1. 花粉症と風邪を見分ける手がかり
花粉症と風邪には、鼻水、鼻づまり、くしゃみ、咳など共通する症状があるため、症状の一つだけを見て区別するのは難しい場合があります。
そこで確認したいのが、鼻や目の症状だけでなく、発熱や喉の痛み、だるさなどを伴っているかどうかです。
花粉症では、透明でさらさらした鼻水や繰り返すくしゃみ、鼻づまりなどが代表的で、目のかゆみや涙目を伴うことも多いです。一方、風邪では鼻や喉の症状に加えて、発熱、頭痛、体のだるさなどがみられることもあります。
ただし、風邪でも熱が出ない場合があり、症状の現れ方には個人差があります。「目がかゆいから花粉症」「熱がないから風邪ではない」と一つの特徴だけで判断するのではなく、どのような症状が組み合わさっているか、どのように変化してきたかも確認したいポイントです。
例えば、「最初に喉が痛くなり、その後に鼻水や咳が出た」「毎年秋になると目のかゆみとくしゃみが一緒に出る」など、症状が始まった順番や過去の傾向も整理しておくと、医療機関で症状を伝える際の参考になるでしょう。
3-2. 花粉症と寒暖差による鼻症状の違い
秋は朝晩と日中の気温差が大きくなることがあり、気温の変化をきっかけに鼻水や鼻づまり、くしゃみなどが現れる方もいます。このような症状は一般に「寒暖差アレルギー」と呼ばれることがありますが、花粉症のように特定のアレルゲンに対する反応によって起こるものではありません。
花粉症では、原因となる花粉にさらされることで症状が現れ、鼻症状に加えて目のかゆみなどを伴うことがあります。一方、寒暖差による鼻症状では、暖かい室内から寒い屋外へ出たときなど、急な温度変化をきっかけに症状が現れやすいのが特徴です。
そのため、症状を整理するときは、「気温が変化したときに鼻水が出るのか」「草の多い場所へ行った後に症状が強くなるのか」「目のかゆみを伴っているのか」などを振り返ってみるとよいでしょう。
ただし、花粉と気温の変化が同じ時期に重なることもあり、症状だけで原因を明確に区別できるわけではありません。一つの特徴だけで判断せず、症状の出方や周囲の環境をあわせて考えることが大切です。

4. 秋に続く鼻症状や咳で考えられる別の原因

秋に鼻水や咳が続く場合は、花粉症のほかにもさまざまな原因が考えられます。
それぞれの特徴を確認していきましょう。
4-1. ダニやハウスダストによる通年性アレルギー
アレルギー性鼻炎には、花粉による季節性アレルギー性鼻炎のほかに、ダニやハウスダストなどが原因となる通年性アレルギー性鼻炎があります。
季節性とは異なり、原因となるものが身の回りにあれば、一年を通して症状が現れやすいです。
主な症状は、くしゃみ、透明でさらさらした鼻水、鼻づまりなどです。花粉症と似た症状がみられるため、症状だけで両者を区別するのは難しい場合があります。
例えば、寝室にいるときや布団を扱ったとき、掃除をした後などに症状が強くなる場合は、室内のダニやハウスダストとの関連も考えられます。
また、花粉による季節性アレルギー性鼻炎と通年性アレルギー性鼻炎の両方がある方もいるため、秋に症状が出ているからという理由だけで、花粉が原因とは判断できません。
秋の花粉だけに注目せず、屋外と室内のどちらで症状が出やすいかも振り返ってみるとよいでしょう。
【参考情報】『アレルギー性鼻炎』日本アレルギー学会
https://allergyportal.jp/knowledge/allergic-rhinitis/
4-2. 感染症のあとに続く咳
風邪などの呼吸器感染症では、発熱や喉の痛み、鼻水といった症状が落ち着いた後も、咳だけが続くことがあります。感染症による気道の炎症が残ったり、気道が刺激に敏感な状態になったりすることがその一因です。
風邪そのものは治ったように感じても、会話や冷たい空気、運動などをきっかけに咳が出る場合があります。そのため、「ほかの症状はよくなったのに、咳だけがなかなか治まらない」と感じることもあるでしょう。
花粉症でも喉の違和感や咳がみられることがあるため、秋に咳が続いている場合は、咳だけで原因を判断するのは難しいところです。風邪のような症状から始まったのか、鼻水や目のかゆみなどを伴っているのかといった経過も、原因を考える手がかりになります。
また、長引く咳には喘息や咳喘息などが関係していることもあります。特に、2週間以上咳が続く場合は、風邪のあとだからと様子を見続けず、医療機関へ相談するとよいでしょう。
4-3. 喘息や咳喘息による夜間・早朝の咳
秋に咳が続く場合には、喘息や咳喘息が関係していることもあります。
喘息では、気道に炎症が起こることで、咳や息苦しさ、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴(ぜんめい)などがみられます。
一方、咳喘息では、喘息のような明らかな喘鳴を伴わず、咳が主な症状となるのが特徴です。夜間や早朝に咳が出るほか、気温の変化や運動などをきっかけに症状が強くなる場合もあります。
【参考情報】『Q3. 夜間や早朝にせきが出ます。』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q03.html
また、花粉やダニなどのアレルゲンは、喘息がある方の症状を悪化させる要因になることがあります。そのため、秋に鼻水やくしゃみと一緒に咳が出ていても、すべての症状が花粉症によるものとは限りません。
咳が続く期間だけでなく、夜間や早朝に強くなるか、息苦しさや喘鳴を伴っているか、気温の変化や運動で咳が出やすくなるかなど、咳の出方にも注目するとよいでしょう。
5. 比較した情報を対策と受診に生かす

秋の花粉症への対策では、花粉との接触をできるだけ減らすことが基本です。
また、咳や息苦しさなどが続く場合には、症状に応じて受診を検討しましょう。
5-1. 外出時と帰宅後の花粉対策
秋の花粉症の原因となるブタクサやヨモギなどは、道端や空き地、河川敷、公園など身近な場所にも生育しています。花粉が飛散する時期には、草が多い場所へ近づく機会をできるだけ減らすなど、無理のない範囲で工夫するとよいでしょう。
外出時にはマスクやメガネを使用することで、鼻や目に入る花粉を減らすことが期待できます。また、衣服や髪には花粉が付着するため、帰宅時には衣服についた花粉を払い洗顔などで顔についた花粉を落とすことも対策のひとつです。
花粉が多く飛散している日は、洗濯物や布団を屋外に干すことで花粉が付着する可能性もあります。飛散状況に応じて室内干しを取り入れるなど、室内へ花粉を持ち込まない工夫も意識してみましょう。
すべての対策を一度に行う必要はありません。外出する時間や過ごす場所など、自分の生活に合わせて取り入れやすい方法から始めることが大切です。
5-2. 咳や息苦しさが続く場合の受診
秋の花粉症では、鼻水やくしゃみだけでなく、喉の違和感や咳を伴うこともあります。ただし、咳が長く続く場合や息苦しさがある場合は、花粉症以外の原因も含めて確認することが大切です。
受診を考える目安の一つが、2週間以上咳が続く場合です。また、夜間や早朝に咳が強くなる、喘鳴がある、運動や気温の変化をきっかけに咳が出やすいといった場合には、喘息や咳喘息などが関係していることもあります。こうした症状が続くときは、呼吸器内科などで相談するとよいでしょう。
一方、鼻水やくしゃみ、目のかゆみなどが中心の場合は、耳鼻咽喉科やアレルギー科なども受診先の選択肢です。どの診療科を受診するか迷う場合は、最も困っている症状を基準に考えると選びやすくなります。
また、強い息苦しさがある、呼吸が明らかに苦しい、会話を続けるのが難しいなどの症状がみられる場合は、2週間という期間を待つ必要はありません。咳が続いている期間だけでなく、症状の強さも踏まえて受診を判断することが重要です。
6. おわりに
秋の花粉症では、ブタクサやヨモギ、カナムグラなどが原因になることがあり、春の花粉症とは原因植物や花粉に触れやすい環境が異なります。
一方、鼻水やくしゃみ、喉の違和感、咳などは、風邪や寒暖差による鼻症状、通年性アレルギー性鼻炎でもみられる症状です。
症状だけで判断せず、症状が現れる時期や場所、経過などもあわせて確認しましょう。
咳や息苦しさが続く場合は、必要に応じて医療機関へ相談することが大切です。
以下の症状がある方は、早めの受診をおすすめします
- 咳が2週間以上続いている
- 息切れや息苦しさを感じることがある
- 痰がからんで気になる
- 健康診断で肺や呼吸の異常を指摘された
- 市販薬を飲んでも症状が改善しない
当てはまる項目がある方は、呼吸器専門医に相談してみませんか?
