呼吸器内科の禁煙外来では何を確認する?症状や検査を解説
呼吸器内科での禁煙外来では、たばこをやめる方法だけでなく、咳や痰、息切れなどの症状や肺の状態にも目を向けていきます。
喫煙歴が長い方は、呼吸器の病気が関係していることもあるため、呼吸器内科で確認する内容を知っておくと安心です。
この記事では、禁煙外来で確認する症状や喫煙歴、呼吸器内科で行うことがある検査について解説します。
「禁煙したいし、肺の状態も心配」という方は、受診前の参考にしてください。
1.呼吸器内科で禁煙治療をする意味

禁煙は、将来の病気を防ぐためだけでなく、今ある咳や痰、息切れの原因を見直すきっかけにもなります。
呼吸器内科では、禁煙の進め方とあわせて、喫煙による呼吸器への影響も考えていきます。
1-1. 禁煙は呼吸器の健康を守る大切な選択肢

喫煙は、肺や気管支に直接影響しやすい生活習慣のひとつです。
長く吸い続けると、空気の通り道である気道に炎症が起こり、咳や痰が続きやすくなります。
また、肺の弾力が失われたり、息を吐き出しにくくなったりすることで、日常生活で息切れを感じることもあります。
禁煙は、こうした呼吸器への負担を減らすための大切な選択肢です。
禁煙治療では、たばこをやめるための方法だけでなく、喫煙が肺や気管支にどのような影響を与えているかも大切な確認点です。
呼吸器内科では、禁煙の進め方とあわせて、咳や痰、息切れなどの症状もふまえて考えます。
【参考情報】『喫煙と呼吸器疾患』厚生労働省 健康づくりサポートネット
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco/t-03-003.html
1-2. 咳や痰を「たばこのせいだけ」と片づけない
喫煙している方の中には、「咳はたばこのせいだろう」「年齢のせいで息切れしやすくなったのだろう」と考え、症状をそのままにしている方もいるでしょう。
たばこは、気道に刺激を与え、咳や痰、息切れに関係する大きな要因です。また、COPDや喘息などの呼吸器疾患がある場合、喫煙は症状を悪化させる原因にもなります。
そのため、咳や痰が続いているときに「たばこの影響だから仕方ない」と片づけてしまうのは注意が必要です。喫煙が症状に関係している可能性を考えながらも、背景に呼吸器の病気が隠れていないかを確認することが大切になります。
朝の咳や痰が続く、階段や坂道で息切れしやすい、風邪のあとに咳が長引くなどの症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関で相談することも選択肢のひとつです。
2.呼吸器内科の禁煙外来で確認したい症状

ここでは、呼吸器内科の禁煙外来で確認したい代表的な症状を整理します。
2-1. 咳や痰が続く
咳や痰が続く背景には喫煙による刺激だけでなく、気道の慢性的な炎症やCOPD、咳喘息などが関係していることもあります。
また、風邪や気管支炎のあとに咳だけが残る「感染後咳嗽(かんせんごがいそう)」が原因になる場合もあります。
特に、2週間以上咳が続く場合や、痰の量・色に変化がある場合は「いつものこと」と決めつけず、症状の経過を確認することが大切です。
喫煙している方は気道が刺激を受けやすいため、風邪などをきっかけに咳が長引きやすいです。
禁煙治療では、1日の喫煙本数だけでなく、咳がいつから続いているか、痰が絡むか、夜間や明け方に悪化するかなども大切な情報になります。
咳や痰の状態を整理しておくと、肺の検査が必要かどうかを考える手がかりにもなるでしょう。
2-2. 息切れや胸部レントゲンの異常がある
階段や坂道で息切れしやすい場合、年齢や運動不足だけでなく、肺の働きが低下している可能性もあります。
喫煙歴がある方では、COPDによって息を吐き出しにくくなっていることがあり、動いたときの息切れとして現れることがあります。
【参考情報】『COPD – Symptoms』NHLBI
https://www.nhlbi.nih.gov/health/copd/symptoms
また、健診などで胸部レントゲンの異常を指摘された場合は、喫煙歴や症状とあわせて確認が必要です。
肺の影や炎症のあと、肺気腫を疑う所見など、確認すべき内容は人によって異なります。
胸部レントゲンは肺の状態を知る手がかりになりますが、それだけですべての病気がわかるわけではありません。
呼吸機能検査や追加検査を組み合わせて、肺の状態を確認していきます。
2-3. 加熱式たばこに変えても症状が続く
紙巻きたばこから加熱式たばこに変えたあとも、咳や痰が続く方がいます。たばこの種類が変わっても、体や呼吸器への影響がなくなるわけではありません。
「加熱式たばこに変えたから大丈夫」と思っていても、咳や痰などの症状が続いている場合は、たばこの種類にかかわらず呼吸器の状態を確認することが大切です。
禁煙外来では、現在使用しているたばこの種類や、使用期間、1日の使用量なども確認します。
紙巻きたばこ、加熱式たばこ、電子たばこなどの使用状況は、肺への影響を考える参考になるでしょう。
【参考情報】『加熱式たばこの健康影響』厚生労働省 健康づくりサポートネット
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/tobacco/t-02-008.html
3.呼吸器内科の禁煙外来で確認する主な項目

禁煙相談では、喫煙に関する情報と現在の体調をあわせて整理します。
呼吸器内科ではこれらの情報をもとに、禁煙の進め方だけでなく、肺の状態を調べる必要があるかも判断していきます。
3-1.喫煙状況とブリンクマン指数
まず大切なのは、1日の喫煙本数、喫煙年数、現在吸っているたばこの種類です。以前は本数が多かった方、途中で禁煙していた時期がある方、紙巻きたばこから加熱式たばこに変えた方では、その経過も診察時の参考になります。
喫煙歴を整理するときには、ブリンクマン指数を用いることがあります。ブリンクマン指数は「1日の喫煙本数×喫煙年数」で計算する喫煙量の目安です。
この数値だけで病気の有無が決まるわけではありませんが、喫煙歴を客観的に見る材料になります。
3-2.ニコチン依存度と禁煙歴
ニコチン依存度を考えるうえでは、朝起きてすぐに吸いたくなるか、禁煙場所で我慢しにくいか、体調が悪いときにも吸ってしまうかなどが参考になります。依存の程度によって、禁煙のつらさや再喫煙のしやすさが変わるためです。
過去に禁煙を試みたことがある場合は、どのくらい続いたのか、どのような場面で再び吸い始めたのかも重要です。禁煙が続かなかった経験があっても、それ自体は珍しいことではありません。過去の経過を整理しておくと、自分にとって無理のない禁煙方法を考える手がかりになります。
3-3.現在の症状や治療中の病気
呼吸器内科では、禁煙相談とあわせて、咳や痰、息切れなどの呼吸器症状も確認します。症状がある場合は、喫煙による刺激だけでなく、COPDや慢性気管支炎、喘息、感染後咳嗽などが関係している可能性もあります。
治療中の病気や使用中の薬がある場合も、禁煙の進め方や検査の必要性を考えるうえで大切な情報です。喫煙状況と現在の体調をあわせて整理することで、今の様子やどのような検査が必要かを考えやすくなるでしょう。
また、禁煙治療について相談する際には、ニコチン依存度やブリンクマン指数などを確認し、保険診療の対象となるか検討することもあります。
【参考情報】『Q32. タバコを止めるにはどうすればよいですか?』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/faq/q32.html
4.呼吸器内科で行うことがある禁煙関連の検査

呼吸器内科では禁煙相談とあわせて、喫煙による影響や呼吸器症状の原因を調べるための検査を行うことがあります。
4-1. 呼気一酸化炭素濃度測定
呼気一酸化炭素濃度測定は、吐く息に含まれる一酸化炭素の量を調べる検査です。たばこの煙には一酸化炭素が含まれており、喫煙していると数値が高くなることがあります。
この検査は、喫煙によって体にどの程度影響が出ているかを数値で確認するための手がかりになります。禁煙を始めたあとに数値が下がることもあり、喫煙状況の変化を客観的に確認しやすくなるでしょう。
ただし、数値は喫煙した時間や本数、生活環境などによって変わることがあります。検査結果だけで病気を診断するのではなく、症状や喫煙歴、ほかの検査結果とあわせて考えます。
4-2. 呼吸機能検査

呼吸機能検査はスパイロメトリーとも呼ばれ、肺に空気をどれくらい吸い込めるか、どれくらい勢いよく吐き出せるかを調べる検査です。
COPDでは、息を吐き出しにくくなる「気流閉塞」がみられることがあります。呼吸機能検査では、1秒間に吐き出せる空気の量や割合などを確認し、空気の通り道が狭くなっていないかを調べます。
喫煙歴があり、咳や痰、息切れが続いている場合は、肺の働きが低下していないかを確認するための手がかりになる検査です。COPDの診断や、喘息・咳喘息が疑われる場合にも参考になります。
検査では大きく息を吸ったあと、できるだけ強く吐き出す必要があります。体調によっては実施を見合わせることもあるため、無理のない状態で受けるようにしましょう。
4-3. 胸部レントゲン検査
胸部レントゲン検査では、肺や心臓の大まかな状態を画像で確認します。肺炎、肺の影、胸水、心臓の大きさなどを調べる手がかりになる検査です。
喫煙歴がある方で、咳や痰、息切れ、胸部レントゲンで異常を指摘されたことがある場合は、その内容を踏まえて再検査や追加検査が検討されます。ただし、レントゲンですべての病気がわかるわけではありません。必要に応じてCT検査など、より詳しい検査が必要になる場合もあります。
禁煙治療の主役は「たばこをやめること」ですが、咳などの症状がある場合には、肺に異常がないかを確認することも大切です。検査の目的を理解しておくと、不安を減らして受けやすくなるでしょう。
症状や診察所見によっては、血液検査やCT検査、呼気NO検査、心電図、酸素飽和度の測定などを検討することもあります。
5.禁煙とあわせて注意したい呼吸器の病気

喫煙歴がある方では、咳や痰、息切れの背景に呼吸器の病気が関係している場合があります。ここでは、禁煙相談とあわせて確認したい代表的な病気を紹介します。
<COPD>
COPDは、主にたばこの煙などが原因で、肺や気道に慢性的な炎症が起こる病気です。長く続く咳や痰、階段や坂道での息切れが代表的な症状です。
初期には「年齢のせい」「運動不足」と思われやすく、気づきにくいことがあります。喫煙歴があり、気になる症状が続く場合は、禁煙とあわせて呼吸機能検査などで肺の状態を確認することが大切です。
<慢性気管支炎>
慢性気管支炎は、気管支に慢性的な炎症が起こり、咳や痰が続く状態です。喫煙は大きな原因のひとつで、朝の痰や咳が続く場合に関係することがあります。
COPDと重なる部分もあるため、症状だけで判断するのは難しいです。禁煙で気道への刺激を減らすことは重要ですが、症状が続く場合は肺や気管支の状態を確認することが大切です。
<その他に注意したい病気>
喫煙は、喘息や咳喘息の症状を悪化させる要因になるほか、気道の防御機能にも影響します。風邪や気管支炎のあとに咳が長引く場合や、夜間・明け方の咳が続く場合は、喘息や咳喘息、感染後咳嗽などが関係していることがあります。
また、発熱や強いだるさ、息苦しさ、血痰などを伴う場合は、肺炎や肺がんなども含めて原因を確認することが大切です。ただし、こうした症状があるからといって、必ず重い病気というわけではありません。不安だけで判断せず、症状と検査結果をあわせて考える必要があります。
【参考情報】『Bronchitis』NHLBI
https://www.nhlbi.nih.gov/health/bronchitis
6.おわりに
禁煙を考えている方の中には、「咳や痰はたばこのせいだから仕方ない」「息切れは年齢のせいかもしれない」と感じている方もいるでしょう。
しかし、喫煙歴がある方の症状には、COPDや慢性気管支炎などの呼吸器の病気が関係している場合もあります。
呼吸器内科での禁煙相談は、たばこをやめる方法だけでなく、肺の状態を確認するきっかけにもなります。
咳や痰、息切れが気になる方は、禁煙とあわせて肺の状態にも目を向けてみましょう。
