喘息を悪化させる要因

喘息患者さんは、喘息発作や悪化させる要因をなるべく避けて生活することが大切です。

そのため、喘息をお持ちの方は発作を起こさないよう、悪化要因を知っておくことがポイントになります。

この記事では、喘息を悪化させるさまざまな要因についてご説明いたします。

1.喘息を悪化させる5つの要因とは


喘息の症状を悪化させる主要な要因には、アレルゲン、喫煙・たばこの煙、呼吸器感染症、ストレス、肥満やメタボリックシンドロームなど多岐にわたります。

これらの要因は、気道に炎症や過敏反応を引き起こし、喘息のコントロールを困難にします。

また、季節の変わり目や気圧の変化、冷たい空気も喘息の症状を悪化させることがあります。

喘息の方は、これらの要因を避け、医師の指示に従って治療を継続することが重要です。

ここでは、悪化させる要因とそれが喘息の症状を悪化させる理由、メカニズムや関連性についてご説明します。

【参考文献】”ASTHMA-Causes and Triggers” by National Heart, Lung, and Blood Institute
https://www.nhlbi.nih.gov/health/asthma/causes

◆「喘息」について詳しく>>

1-1.アレルゲン

アレルゲンは喘息を悪化させる主な要因のひとつです。

食物や物質に含まれる特定のたんぱく質がアレルギー反応を引き起こし喘息発作を起こしたり、症状を悪化させたりします。

これは、アレルゲンが免疫系によって異物と認識され、過剰な反応を引き起こすことによります。

食物アレルギーは喘息患者さんにとって発作の原因となりやすいため、特定の原材料の表示が義務付けられています。

喘息患者さんは、食物アレルギーによる発作を防ぐために、食品表示に細心の注意を払いましょう。

自分のアレルギー反応を引き起こす可能性のある食品や物質を避けることにより、喘息の管理を行うことができます。

アレルゲン表示には、個別表示と一括表示の二つの方法があります。

個別表示では、原材料名の直後に特定のアレルゲンを含むことを示す「○○を含む」という形で表示されます。

一括表示では、全ての特定原材料がまとめて表示されています。

【参照文献】『食物アレルギー表示に関する情報』消費者庁
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/

1-2.喫煙・たばこの煙

喫煙やたばこの煙は、喘息症状の悪化や発症に大きな影響を及ぼします。

この影響は、直接喫煙するだけでなく、受動喫煙(他人のたばこの煙や吐き出す煙を吸うこと)や副流煙(たばこ自体から出る煙)を通じても顕著に現れます。

たばこの煙に含まれる有害物質は、喘息はもちろん、肺がん、心臓病、脳卒中、乳がん、慢性閉塞性肺疾患(COPD)のリスクを高めます。

とくに副流煙は、喫煙者自身が吸い込む主流煙よりも多くの有害物質を含んでおり、健康に対する悪影響が大きいことが知られています。

加熱式たばこ製品も例外ではなく、紙巻きたばこのように健康に害を及ぼす物質を含んでいます。そのため、加熱式たばこの煙にも注意が必要です。

さらに、三次喫煙(サードハンド・スモーク)と呼ばれるたばこを消したあとの状態から放出される化学物質も重要なリスク要因です。

たばこの煙は家具、衣類、カーペット、壁などの表面に付着し、時間がたっても有害物質を室内の空気中に放出し続けます。

とくに室内で過ごす時間が長い乳幼児や子どもにとって、三次喫煙の影響は深刻な問題です。

乳幼児や子どもは身体の機能が発達中のため、喘息やほかの呼吸器疾患のリスクを増加させる可能性がより大きくなります。

もちろん、これらの物質は大人にとっても喘息悪化の原因となるでしょう。

室内の空気の質を改善し、たばこの煙や三次喫煙の影響を最小限に抑えることが重要です。

◆タバコで咳が出る理由>>

1-3.呼吸器感染症

呼吸器感染症は、喘息の症状を悪化させる重要な原因の一つです。

呼吸器感染症には風邪、インフルエンザ、肺炎などがあります。

これらは気道への刺激や炎症を引き起こし、喘息の気道過敏性をさらに悪化させる可能性があります。

とくに、秋から冬の寒くて乾燥した季節には、空気の乾燥やウイルスの感染が喘息発作のリスクを高めるため、より注意が必要です。

◆「肺炎」について詳しく>>

1-4.ストレス

ストレスは、喘息の発症と悪化に大きく影響を与える要因の一つです。

過度のストレスは喘息の直接的な原因となり、症状の悪化を引き起こす要因となる可能性があります。

とくに大人になってからの喘息はストレスの影響が大きいとされています。

ストレスが大きすぎる場合、ホルモンや免疫機能が変化し、喘息の発症や悪化を引き起こす可能性があると考えられます。

喘息の悪化を防ぐためには、ストレス解消や十分な休息の確保が重要です。

1-5.肥満やメタボリックシンドローム

肥満やメタボリックシンドロームは喘息のリスクを増加させ、悪化させる大きな要因とされています。

肥満は、体内の炎症反応を増加させ、気道の狭窄や過敏性を引き起こし、喘息発作の可能性を高めます。

メタボリックシンドロームとは、お腹周りの脂肪が多い内臓脂肪型肥満に高血圧、脂質異常、高血糖などが合わさった状態のことです。

メタボリックシンドロームの状態になると、内臓脂肪の蓄積によって血圧や血糖、脂質の異常が生じます。

これが動脈硬化や炎症反応を引き起こし、喘息の悪化を招く場合があります。

2. その他の要因


その他の喘息悪化の要因としては、季節の変わり目や気圧の変化、冷たい空気など、さまざまな環境要素があります。

季節の変わり目では、気温や湿度の急激な変化が気道を刺激し、喘息症状を悪化させることがあります。

気圧の変化も喘息症状に影響を及ぼします。気圧が急激に低下すると、空気中の酸素量が減少し、これが喘息発作を引き起こす一因となる可能性があります。

冷たい空気は気道を刺激し気道収縮や炎症を引き起こすので、喘息症状を悪化させることがあります。

寒い時期には、冷たい空気から身を守るためにマフラーやマスクの着用などの対策をしましょう。

◆季節の変わり目には喘息予防を!>>

3.おわりに

喘息の方は、症状を悪化させる可能性があるさまざまな要因に注意を払い、それらを防ぐことが重要といえるでしょう。

アレルゲンや喫煙を避け、冷たい空気、季節の変わり目や気圧の変化に注意し、肥満やメタボリックシンドロームといった健康状態にも気をつけましょう。

また、適切な治療を継続することがとても大切です。継続した治療により、喘息の症状を管理し、日常生活の質を向上させることができます。

健康的な生活習慣を心掛け、喘息治療を継続することで、より快適な生活を送ることが可能です。