睡眠時無呼吸症候群の診療科を比較!自分に合う受診先の選び方
睡眠時無呼吸症候群は、呼吸器内科、耳鼻咽喉科、循環器内科、睡眠外来などで相談できます。
選ぶ基準は、いびきや無呼吸が中心か、鼻やのどに問題があるか、高血圧や心疾患があるかです。
迷うときは、睡眠中の呼吸を検査し、治療まで継続して相談できる医療機関かを確認すると選びやすくなります。
1.睡眠時無呼吸症候群の診療科を選ぶ基本

睡眠時無呼吸症候群の受診先は一つに決まっていません。
気になる症状や持病、医療機関が対応できる検査・治療の範囲を組み合わせて考えることが大切です。
1-1. 睡眠時無呼吸症候群を相談できる診療科
主な相談先は、呼吸器内科、耳鼻咽喉科、循環器内科、睡眠外来です。口腔内装置(マウスピース)を使う場合は、歯科・口腔外科も関わります。
複数の診療科が関係するのは、睡眠中の呼吸、鼻やのど、心臓や血圧、睡眠全体、歯や顎を含む異なる部分を確認するためです。
そのため、「睡眠時無呼吸症候群は必ずこの診療科」と決めるのではなく、最も気になる症状や、現在治療している病気を手がかりに受診先を考えます。
各診療科の具体的な違いについては、次の章で詳しく説明します。
1-2. 診療科名だけで決めない医療機関の選び方
同じ診療科でも、睡眠時無呼吸症候群への対応内容は医療機関ごとに違います。
自宅で行う簡易検査に対応しているか、必要時に精密検査へつなげられるか、CPAP(シーパップ)の導入や継続管理を行っているかを確認しましょう。
迷ったときは、睡眠中の呼吸を調べる検査に対応し、結果に応じて耳鼻咽喉科、循環器内科、歯科・口腔外科などと連携できる医療機関が選択肢になります。
診療科の名前だけでなく、「検査から治療、その後の管理まで何を相談できるか」を見ることが重要です。
【参考情報】『睡眠時無呼吸症候群(SAS)の診療ガイドライン2020』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/publication/file/guidelines_sas2020.pdf
2.睡眠時無呼吸症候群を相談できる診療科の比較

ここからは、各診療科が何を中心に評価するのかを比較します。
症状に近い項目から確認すると、受診先を絞りやすくなります。
| 診療科 | 向いている人 | 主な役割 |
|---|---|---|
| 呼吸器内科 | いびき・無呼吸・眠気 | 検査・CPAP |
| 耳鼻咽喉科 | 鼻づまり・扁桃肥大 | 鼻・のどの診察 |
| 循環器内科 | 高血圧・心疾患 | 合併症評価 |
| 睡眠外来 | 睡眠の悩み全般 | 睡眠障害全体 |
| 歯科口腔外科 | マウスピース希望 | 口腔内装置(OA)作製 |
2-1. 呼吸器内科と耳鼻咽喉科
呼吸器内科は、いびき、家族から指摘された無呼吸、日中の眠気などを聞き取り、睡眠中の呼吸状態を検査します。
簡易検査から精密検査の相談、結果の説明、CPAPの導入や継続管理まで一貫して対応する医療機関もあります。
耳鼻咽喉科は、鼻からのどまでの空気の通り道を直接診察できることが特徴です。
慢性的な鼻づまり、鼻中隔(びちゅうかく)の曲がり、扁桃の大きさ、のどの狭さが気になる人は相談しやすいでしょう。
構造上の問題が疑われる場合には、薬物治療や手術を検討することもあります。
ただし、診察だけでは無呼吸の回数や酸素低下の程度は分からないため、睡眠検査との組み合わせが必要です。
【参考情報】『口腔・咽頭の病気』日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
https://www.jibika.or.jp/modules/disease/index.php?content_id=22
2-2. 循環器内科と睡眠外来
循環器内科は、高血圧、不整脈、狭心症、心不全などで通院している人にとって重要な相談先です。
睡眠呼吸障害は複数の循環器疾患を合併症として引き起こし、病状に関係することがあるため、心臓や血圧の状態と合わせた評価が必要になる場合があります。
◆「基礎疾患を持つ方の睡眠時無呼吸症候群の手術と治療選択肢」について>>
睡眠検査やCPAP管理まで行うかは施設によって違い、呼吸器内科や睡眠外来へ紹介されることもあります。
睡眠外来は、睡眠の問題を専門的に扱う外来の名称です。睡眠時無呼吸症候群のほか、不眠、日中の強い眠気、睡眠中の異常な行動などを扱う場合があります。
複数の睡眠症状が混在している人には選択肢となりますが、対象疾患や検査設備は医療機関ごとに確認が必要です。
【参考情報】『2023年改訂版 循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン』日本循環器学会
https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2023/03/JCS2023_kasai.pdf
2-3. 歯科・口腔外科
歯科・口腔外科は、下顎を前方に保って空気の通り道を広げる口腔内装置を作製するときに関わります。
歯並び、残っている歯、顎関節の状態を確認し、一人ひとりに合わせて調整します。
口腔内装置を希望する場合も、先に呼吸器内科で睡眠検査と診断を受け、主治医と歯科が連携して適応や効果を確かめることが大切です。
顎や歯の状態によっては使用しにくい場合もあるため、医療機関で相談しながら治療法を選びます。
3.症状別に考える睡眠時無呼吸症候群の診療科

診療科を選ぶときは、最も気になる症状と、すでに治療中の病気を手がかりにすると整理しやすくなります。
3-1. いびき・無呼吸・日中の眠気が中心の場合
大きないびき、家族から指摘された呼吸停止、起床時の頭痛、日中の強い眠気が中心なら、睡眠時無呼吸症候群に対応する呼吸器内科または睡眠外来が候補です。
本人は無呼吸に気づきにくいため、家族から「息が止まっていた」「何度もむせていた」と言われた内容も伝えましょう。「いびきのあとに息が止まる」「大きく息を吸って再開する」といった様子や、眠気が強い時間帯をメモしておくと説明しやすくなります。
症状だけでは診断できないため、睡眠中の呼吸や酸素の状態を客観的に調べることが重要です。
3-2. 鼻づまり・口呼吸・扁桃肥大
季節を問わず鼻が詰まる、口呼吸、扁桃が大きいと言われた、のどの狭さが気になる場合は、耳鼻咽喉科が候補です。
鼻やのどの状態を確認し、睡眠中の空気の通りに影響していないかを評価します。
ただし、鼻づまりがある人のすべてに睡眠時無呼吸症候群があるわけではなく、鼻症状が目立たなくても無呼吸は起こり得ます。
無呼吸や眠気もある場合は、耳鼻咽喉科が睡眠検査に対応しているか、検査可能な医療機関と連携しているかも確認しましょう。
3-3. 高血圧・心疾患・複数の睡眠症状がある場合
高血圧が安定しにくい人や、不整脈、心不全などがある人は、循環器内科の主治医に睡眠中の症状を共有することが大切です。
いびきや無呼吸に加えて
・寝つけない、何度も目が覚める
・脚がむずむずする
・昼間に耐えにくい眠気がある
など、複数の問題が重なる場合は睡眠外来が候補となります。
迷うときは、睡眠時無呼吸症候群に対応する呼吸器内科や、現在の持病を診ている主治医から相談を始めると整理しやすくなります。違う病院を受診するときには、使用中の薬もメモしておくと相談が進めやすくなるでしょう。
4. 呼吸器内科で相談できる診療内容

呼吸器内科を受診する場合、実際にはどのような検査や治療が行われるのでしょうか。
ここでは一般的な流れを紹介します。
4-1. 睡眠検査
診察では、いびきや無呼吸、日中の眠気、睡眠時間、体重変化、飲酒、鼻症状、持病、服用中の薬などを確認します。
そのうえで、自宅で行う在宅睡眠無呼吸検査や、より詳しく調べる終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)を検討します。
簡易検査は、自宅で鼻の気流や血液中の酸素飽和度などを記録し、機器によっては胸やお腹の動きなども調べる検査です。
◆「呼吸器内科での睡眠時無呼吸症候群の検査・治療」について>>
精密検査であるPSGでは、呼吸に加えて脳波、目や筋肉の動き、心電図なども調べ、実際の睡眠時間や睡眠の質を含めて評価します。簡易検査で判断しにくい場合や、ほかの睡眠障害も疑う場合にPSGを検討することがあります。

【参考情報】『Sleep Study』National Library of Medicine
https://medlineplus.gov/lab-tests/sleep-study/
4-2. 検査結果の見方とCPAP治療
検査では、AHI(Apnea Hypopnea Index:無呼吸低呼吸指数)という、睡眠1時間あたりに起こる無呼吸と低呼吸の合計回数を確認します。

成人では一般に、AHIの数値が
・5以上15未満を軽症
・15以上30未満を中等症
・30以上を重症
とする目安があります。
ただし、治療方針はAHIの数値だけで決まるわけではありません。
酸素の低下の程度や日中の眠気、持病の有無、検査方法などを総合的に評価して判断します。
CPAP(シーパップ)は、マスクから空気を送り、睡眠中に空気の通り道が狭くなるのを防ぐ治療です。適応がある場合は、使用状況を確認しながら、マスクのフィット感、空気漏れ、鼻や口の乾燥などを確認し、必要に応じて調整を行います。
呼吸器内科を選ぶ際は、睡眠検査だけでなく、CPAP導入後の定期的な診察や機器の管理、治療効果の確認まで継続して対応しているかも確認すると安心です。
【参考情報】『Sleep apnoea』National Health Service
https://www.nhs.uk/conditions/sleep-apnoea/
5. 睡眠時無呼吸症候群の診療科を決める確認ポイント

最後に、医療機関を選ぶときの確認事項を整理します。
診療科の名称だけでなく、必要な評価を継続して受けられるかを見ることが大切です。
5-1. 睡眠時無呼吸症候群の検査・治療体制
医療機関のホームページや電話で、次の点を確認すると比較しやすくなります。
・自宅で行う簡易検査に対応しているか
・必要時に睡眠ポリグラフ検査を実施、または紹介できるか
・CPAPの導入と継続管理に対応しているか
・耳鼻咽喉科、循環器内科、歯科・口腔外科と連携できるか
一つの医療機関ですべてに対応している必要はありません。検査結果や症状に応じて、適切な診療科へつなげられる体制があるかが重要です。
5-2. 通いやすさと説明の分かりやすさ
睡眠時無呼吸症候群では、治療の調整や持病の確認で通院が続く場合があります。場所、診療時間、予約方法、検査機器の受け取りや返却方法などを確認し、無理なく通える医療機関を選びましょう。
結果説明では、AHIだけでなく、酸素の低下、症状や持病との関係、検査の限界、治療の選択肢を聞くことが大切です。疑問を確認しながら治療方針を考えられるかも、受診先を選ぶ判断材料になります。
6.おわりに
睡眠時無呼吸症候群は、呼吸器内科、耳鼻咽喉科、循環器内科、睡眠外来などで相談できます。
呼吸状態を総合的に調べたい場合は呼吸器内科、鼻やのどが気になる場合は耳鼻咽喉科、心臓や血圧の持病がある場合は循環器内科が主な候補です。
複数の睡眠症状がある場合は睡眠外来、口腔内装置を検討する場合は歯科・口腔外科も関わります。迷うときは、診療科名だけでなく、睡眠検査から治療、必要な他科連携まで対応できるかを基準に選びましょう。
