子供が呼吸器内科を受診する目安は?よくある病気と症状について
子供の体調が悪くなったら、まずは小児科を受診するのが一般的でしょう。
しかし、「咳」が長引いていて、なかなか良くならない時は、呼吸器内科の受診も検討してみてください。
この記事では、子供によくある呼吸器の病気や、子供が呼吸器内科を受診する目安を紹介してします。
お子さんの咳が心配な方は、ぜひ読んでください。
1.子供が呼吸器内科を受診する目安
子供を呼吸器内科に連れていくかどうかは、基本的には「咳」で判断します。
咳があっても、そこまでひどくない時や、風邪かな?と思った時は、小児科を受診しましょう。
小さい子供は、感染症への免疫がちゃんとついていないため、すぐに風邪を引いてしまいます。咳が出ることも、しょっちゅうあるでしょう。
しかし、咳が「長引く」「繰り返す」「激しい」場合は、風邪とは別の病気が隠れている可能性があります。
小児科で「喘息ではない」「様子を見ましょう」と言われたものの、咳がしつこくて心配なときも、呼吸器内科を受診して相談するといいでしょう。
2.子供によくある呼吸器の病気
子供の咳は、大きく分けると、感染症かアレルギーが原因で出ることが多いです。以下、子供によくある呼吸器の病気を紹介します。
2-1.感染症
・風邪
もっとも身近な呼吸器の病気です。ウイルスに感染して上気道に炎症が起こり、のどの痛みや咳、鼻水などの症状が現れます。治療しなくても、自然によくなることがほとんどです。
・インフルエンザ
インフルエンザウイルスに感染して発症します。症状は、38℃以上の高い熱や咳、筋肉痛などで、風邪より重くなりがちです。ときに、肺炎や脳症が合併することもあります。
治療には、抗インフルエンザ薬のほか、咳止め薬などつらい症状を和らげる薬を使うこともあります。
・RSウイルス感染症
RSウイルスに感染して発症します。2歳までに、ほとんどの人が感染するとされている病気です。
咳や鼻水など、風邪とよく似た症状が現れ、重症になると肺炎になることもあります。特に6ヵ月未満の乳児は重症化しやすく、入院治療が必要になる場合もあります。
抗ウイルス薬はないので、去痰薬などつらい症状を和らげる薬を用いて治療します。
【参考情報】『RSウイルス感染症Q&A(平成26年12月26日』厚生労働省
・百日咳
百日咳菌に感染して発症します。激しい咳が長期間続き、生後 6ヵ月以下の子供が重症化すると命にかかわることもあります。
治療には抗菌薬を用います。ワクチンを接種すると病気を予防することができます。
・マイコプラズマ肺炎
マイコプラズマという微生物により引き起こされる肺炎です。発熱や全身のだるさなどが現れ、遅れて咳が出てきます。咳は、痰の絡まない渇いた音がして、しつこく長引きます。
症状が軽ければ自然に回復しますが、抗菌薬を用いて治療することもあります。
2-2.アレルギー
・喘息
空気の通り道である気道に慢性的な炎症があるために、激しい咳が出る病気です。
大人の喘息は、アレルギー以外の原因で発症することもありますが、子供の喘息は、ほぼアレルギーが原因です。
治療には、気道の炎症を抑える薬と、発作が起こったときに鎮める薬を用います。
・咳喘息
喘息と似ている病気で、咳だけが8週間以上続きます。
風邪を引いた後に発症することが多く、痰の絡まない乾いた音の咳が出ます。
治療には、喘息の治療に使う吸入薬を用います。
・花粉症
植物の花粉によって咳やくしゃみ、鼻水などのアレルギー症状が引き起こされる病気です。
咳の他、目のかゆみや鼻水、肌荒れなどの症状も現れます。
5歳以上のお子さんは、スギ花粉が原因の場合、舌下免疫療法で根本的な治療を受けることができます。
3.呼吸器内科で行う検査
次に、呼吸器内科で行う検査について説明します。
3-1.画像検査
X線(レントゲン)やCTで肺の画像を撮影し、状態を確認します。炎症の有無や、肺に水が溜まっているかかどうかなどがわかります。
肺炎などで炎症が起こっている部分は、白い影のように写ります。
3-2.血液検査
血液中の成分を測定することで、体の状態を調べます。
例えば、感染症にかかっていたり、体のどこかに炎症があると、ウイルスや細菌を攻撃する白血球の値に変動が見られます。
また、アレルギーの有無や、アレルギーの原因となる物質を調べることができます
3-3.呼吸機能検査
スパイロメータやモストグラフという機械を使って、呼吸の機能や気道の状態を調べる検査です。
スパイロメータを使った検査は、指示通りに息を吸ったり吐いたりすることが必要なので、言葉の理解が難しい小さいお子さんは、検査ができないこともあります。
モストグラフは、普通に呼吸をしているだけで数値が測定できるので、3歳くらいから検査を受けることができます。
【参考情報】『呼吸機能検査の理解と臨床応用』日本内科学会雑誌109巻12号
4.保護者から医師に伝えてほしいこと
子供は自分で症状をうまく伝えることができません。そこで、保護者の「いつもと違う」、「何かおかしい」という気づきが重要となります。
医師に症状を伝えるときは、「夜になるといつも咳込む」「3か月前に風邪をひいてから咳が続いている」など、どんなときに咳が出るのか、いつから咳が出ているのかなどを、具体的に教えてください。
特に乳児の場合、ちょっとした気がかりが診断の役に立つこともあるので、ささいなことだと遠慮せずに伝えてください。
また、家族や近親者に喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患にかかったことがある人がいれば、それも医師に伝えてください。
アレルギーになりやすい体質は遺伝する可能性があるため、大事な情報となります。
5.おわりに
当院では、0歳から受診が可能です。お子さんの咳が心配なときは、気兼ねなくいらしてください。
特に、喘息の疑いがあるときは、咳に詳しい専門医に相談することで、正しい診断につながることがあります。
たとえ喘息と診断されても、子供の場合は、適切な治療によってほとんど治ったといえる状態(寛解)になります。
お子さんの咳が長引いていて、なかなか良くならない時は、呼吸器内科を受診して、咳の原因を突き止めましょう。