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風邪で喘息発作が悪化?急性気管支炎併発時の対処と予防マニュアル

風邪 喘息発作 悪化

喘息をお持ちの方は、風邪をきっかけに急性気管支炎を併発してしまうことがあります。

この記事では、喘息患者が風邪から急性気管支炎になってしまった場合にどのように対応すべきか、具体的な治療法や予防策、自宅でのセルフモニタリング方法などについて分かりやすく解説します。

喘息と気管支炎の違いから、発作を悪化させないポイント、再発を防ぐコツまで、しっかり確認していきましょう。

1.喘息と急性気管支炎を併発すると?

風邪 急性気管支炎 併発
喘息を持つ人が風邪を引いた際に、気管や気管支にまで炎症が広がると急性気管支炎を起こすことがあります。

急性気管支炎はウイルス感染が原因で起こることが多く、咳や痰、発熱など風邪に似た症状が出る病気です。

喘息は気道の慢性的な炎症によって繰り返し喘鳴(ゼーゼー・ヒューヒュー)や呼吸困難を起こす病気です。

風邪による一時的な気管支炎でも喘息と似た症状が現れることがあり、両者が同時に起きることで、普段より気道の炎症が強まり喘息の発作が悪化しやすくなるため注意が必要です。

◆「気管支炎について」>>

【参考情報】『急性気管支炎|感染性呼吸器疾患』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/a/a-03.html

1-1.風邪が喘息を悪化させる理由

喘息患者さんにとって風邪(ウイルス感染)は、発作悪化のきっかけとして最も注意すべき要因です。

ウイルス感染による炎症で気道の状態が不安定になると、普段は落ち着いている喘息症状が急にひどくなることがあります。

特に気管支がウイルスでダメージを受けると、喘息の気道過敏性が高まり、少しの刺激でも激しい咳や息苦しさにつながります。

風邪そのものは抗菌薬(抗生物質)が効かないウイルス性の病気ですので、安易に抗生物質を飲んでも改善しません。

そのため、喘息をお持ちの方は日頃から風邪の予防を心がけ、万一ひいてしまった場合も早めの対応が重要です。

【参考情報】“Respiratory Infections and Asthma” by Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/asthma/respiratory-infections/index.html?utm_source=chatgpt.com

【参考情報】“Asthma Management Guidelines: Focused Updates 2020” by National Heart, Lung, and Blood Institute
https://www.nhlbi.nih.gov/health-topics/asthma-management-guidelines-2020-updates?utm_source=chatgpt.com

1-2.急性気管支炎の症状と喘息との違い

急性気管支炎になると咳が2~3週間程度続き、痰(粘液)が出ることがあります。

発熱倦怠感など風邪と似た全身症状を伴うこともあります。

喘息の咳も長引きますが、特徴的なのは「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という喘鳴や、呼吸が苦しくなる発作的な症状です。

単なる気管支炎の場合、時間とともに徐々に症状が治まっていく傾向があります。

一方で喘息の場合は、適切な治療をしない限り炎症が続いて症状が悪化してしまいます。

症状が長引くときや喘鳴が聞こえるときは、「ただの風邪による咳」ではなく喘息の関与を疑い、早めに医療機関で診断を受けることが大切です。

◆「喘息とはどんな病気?原因と症状を解説します」>>

【参考情報】『気管支ぜんそく』日本呼吸器学会
https://www.jrs.or.jp/citizen/disease/c/c-01.html

【参考情報】“Asthma” by Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/asthma/index.html?utm_source=chatgpt.com

【参考情報】“Acute Bronchitis” by StatPearls (via NCBI Bookshelf)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK448067/?utm_source=chatgpt.com

【参考情報】“Asthma Symptoms | Asthma Attack” by MedlinePlus
https://medlineplus.gov/asthma.html?utm_source=chatgpt.com

2.喘息患者が急性気管支炎になったときの症状と危険サイン

喘息 急性気管支炎 危険サイン
喘息を持つ人が急性気管支炎を起こした場合、普段の喘息発作時よりも激しい咳込みや大量の痰が見られることがあります。

気管支炎による咳は湿った咳(湿性咳嗽)で痰を伴うことが多く、夜間も咳き込んで眠れないことがあります。

喘息のゼーゼーとした喘鳴も重なり、息苦しさ(呼吸困難感)が普段より強く感じられることがあります。

胸の喘鳴がひどいときは、離れた場所でもヒューヒューという音が聞こえることがあり、呼吸するたびに肩や胸の筋肉を大きく使っているのが見て取れることがあります。

こうした症状が出た場合、特に注意したい危険サインがあります。

例えば、息が苦しくて会話が途切れ途切れになる顔色が悪く唇が紫色になってきた(チアノーゼ)、あるいは指先が冷たくなっている場合は、重症の可能性があります。

咳や喘鳴が酷く、市販の咳止めや吸入薬を使っても改善しない場合も危険です。

これらの状態は喘息発作の重積化(状態が悪化して持続していること)や、場合によっては肺炎の併発も考えられます。

早急に医師の診察を受け、必要であれば救急受診も検討してください。

特に高熱が続いたり黄色や緑色の濃い痰が増えてきた場合には、二次感染による肺炎を起こしているかもしれません。

自宅で様子を見るのではなく、速やかに医療機関を受診して適切な処置を受けましょう。

【参考情報】“Preventing and Treating Bronchitis” by Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/acute-bronchitis/media/pdfs/Bronchitis-508.pdf?utm_source=chatgpt.com

【参考情報】“Asthma Action Plan” by Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/asthma/action-plan/documents/asthma-action-plan-508.pdf?utm_source=chatgpt.com

3.吸入薬の調整と適切な治療法

吸入薬 治療法
喘息を持つ方が急性気管支炎を発症したときは、普段の喘息治療薬をしっかり継続しつつ、必要に応じて調整を行うことが大切です。

まず、日常的に使用している吸入ステロイド薬(コントローラー)は中断せず続けてください。

症状が強い場合には、医師の指示のもとで吸入ステロイドの用量を一時的に増やすことがあります。

また、手元にサルブタモール(商品名サルタノール)吸入薬やメプチンエアーなどの救急用吸入が処方されている場合は、適宜使用して気管支を拡げ、息苦しさを和らげます。

吸入後数分で呼吸が楽になりますが、医師から指示された回数吸入しても改善しない時は重症化の恐れがあるため、すぐに受診してください。

呼吸が苦しくて吸入薬もうまく吸えない場合や、発作が治まらない場合は、ネブライザー治療(吸入器で薬液を霧状にして吸入する方法)を医療機関で受けることもあります。

さらに喘息の増悪が顕著なときには、短期間の飲み薬のステロイド(プレドニゾロンなど)の内服を併用することがあります。

抗生物質については、急性気管支炎の原因のほとんどがウイルス感染であるため基本的には不要ですが、高熱が続く場合や細菌感染が疑われる症例では抗生剤が投与されることもあります。

治療方針は自己判断せず、必ず呼吸器内科の医師と相談しながら進めましょう。

◆「喘息の治療で使われる「吸入薬」について」>>

◆「喘息、COPD治療で使われる「メプチンエアー」の特徴」>>

【参考情報】“Asthma — Diagnosis and Treatment” by Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/asthma/diagnosis-treatment/drc-20369660?utm_source=chatgpt.com

3-1.症状を和らげるための対症療法

喘息と気管支炎が重なっているときは、症状を緩和するための対症療法も組み合わせます。

激しい咳が続いて眠れない場合には、鎮咳薬(咳止め薬)を一時的に使用して咳を抑えます。

痰が絡んで苦しいときは、去痰薬(痰を出しやすくする薬)を併用すると喀痰の切れが良くなります。

気管支のゼーゼーという音が強く息苦しい場合には、気管支拡張薬(吸入または内服)で気道を広げて呼吸を楽にする処置も有効です。

これらの薬物療法と併せて、発熱時には解熱鎮痛剤で熱や全身倦怠感を和らげることもあります。

十分に休養を取り、水分をしっかり補給することも大切です。

水分摂取は痰を出しやすくし、脱水を防ぐことで体力の回復を助けます。

室内を加湿し適度な湿度を保つことも、喉や気道を潤し咳の軽減に役立ちます。

◆「咳が止まらず眠れない。どうすればいい?」>>

◆「咳が止まらない!つらいときに自分でできる対策を紹介します」>>

4.再発予防・悪化防止のためにできること

急性気管支炎 再発予防 悪化防止
喘息をお持ちの方が急性気管支炎を再発・悪化させないためには、日頃の予防策が欠かせません。

ここでは、自分でできる予防方法を紹介します。

4-1.感染症への注意

風邪などの感染症にかからないように注意しましょう。

外出後の手洗い・うがいの励行、適切なマスクの着用咳エチケット、室内のこまめな換気は基本です。

特に冬場や流行期には人混みへの外出を控え、体調管理に努めてください。

毎年のインフルエンザ予防接種なども主治医と相談すると良いでしょう。

喘息の患者さんは基礎疾患がある分、感染症にかかった際に重症化しやすいとされます。

そのため「風邪くらい大丈夫」と油断せず、普段から予防に気を配ることが大切です。

4-2.禁煙・アレルゲンの除去

喫煙者の方は禁煙を強く心がけましょう。

タバコの煙は気道に炎症を起こしやすく、喘息も気管支炎も悪化させる大きな要因です。

ご家族に喫煙者がいる場合も、なるべく分煙や禁煙に協力してもらい、受動喫煙を避けることが望ましいです。

また、ハウスダストやダニ、カビなどのアレルゲンへの曝露も喘息悪化の原因となるため、室内清掃や寝具の洗濯・乾燥をこまめに行いましょう。

花粉症や鼻炎をお持ちの場合は、適切に治療することで喘息のコントロールが改善することがあります。

このように、喘息発作の引き金となる環境要因を減らす工夫が、気管支炎併発のリスクを下げ、日々の呼吸状態を安定させることにつながります。

4-3.生活習慣の改善

さらに、規則正しい生活習慣も予防には重要です。

バランスの良い食事十分な睡眠をとり、体力・免疫力を維持しましょう。

過度なストレスや疲労も気道の免疫機能を低下させる恐れがあります。

適度な運動で肺活量を維持することは良いですが、調子の悪いときや感染症の流行期には無理をしないようにしてください。

こうした日常の心がけの積み重ねが、喘息の発作を減らし、急性気管支炎の再発防止にも役立ちます。

◆「ウイルス感染予防はもちろん!喘息予防、発作予防に有効なマスクの選び方と使い方」>>

【参考情報】『感染症情報』厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/index.html

【参考情報】“Controlling Asthma” by Centers for Disease Control and Prevention
https://www.cdc.gov/asthma/control/index.html?utm_source=chatgpt.com

5.セルフモニタリングによる健康管理のポイント

喘息 セルフモニタリング 健康管理
喘息を持つ方は、日々の体調変化を把握するためにセルフモニタリングを取り入れると安心です。

具体的には、ピークフローメーターという簡易の肺機能計を使って毎日の呼気の強さ(ピークフロー値)を測定し、「喘息日記」として記録する方法があります。

ピークフローとは思い切り息を吐き出したときの「息の速さ」の最大値で、この数値を追うことで気道の炎症具合を客観的に知ることが可能です。

例えば、普段のピークフロー値が自己最高値の80%未満に低下している場合は、気道が狭くなっているサインだと判断できます。

毎日朝晩に測定して記録をつけておけば、発作の兆候をいち早く掴む助けになります。

簡単に使える器具なので、主治医と相談して導入してみるとよいでしょう。

喘息日記には、ピークフローの数値だけでなく、その日の咳や喘鳴の具合痰の量使った薬(吸入の回数など)体温や体調面の出来事も併せて記録します。

これにより、自分の喘息のコントロール状態を客観視でき、受診時に医師へ正確な情報提供ができます。

例えば、「ここ数日夜間の咳が増えてピークフローも低下傾向にある」などと分かれば、医師は治療薬の増減や追加の判断をしやすくなるのです。

症状が落ち着いている時期でも、記録を続けることで自分の平常時の指標がつかめます。

そうしておけば、いざ体調が悪化したときに「普段よりどのくらい悪いのか」を判断しやすく、適切な対処につながります。

自宅でのセルフモニタリングを習慣づけ、喘息と気管支炎の両方を上手にコントロールしていきましょう。

◆「喘息は完治するのか?小児と成人の違い、治療と管理のポイント」>>

【参考情報】『ピークフロー測定とぜん息日記』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/condition/peakflow.html

6.まとめ

喘息をお持ちの方が風邪をきっかけに急性気管支炎を併発すると、激しい咳や喘鳴でつらい思いをすることがあります。

しかし正しい対処法を知っていれば、症状の悪化を防ぎ早く楽になることができます。

普段の吸入薬は続けつつ、必要に応じて救急用吸入を活用しましょう。

また、感染予防や生活習慣の改善で再発防止に努め、ピークフローメーターなどで日々の状態をチェックすることも大切です。

症状が長引いたり重くなったりする場合は早めに専門医を受診し、適切な治療を受けてください。

正しい知識と備えがあれば、喘息があっても落ち着いて風邪・気管支炎に対処できます。