喘息発作が起きた時の対処法

喘息発作が起きると、早く苦しい状況をなんとかしたいと思いますよね。

突然の発作に慣れていない人は、パニックになる可能性も考えられます。

喘息発作を起こしたときに慌てないために、症状の強さに合わせた対処法を知り、準備しておくことが大切です。

今回の記事では、喘息発作の段階や段階に合わせた対処法、ピークフロー値について詳しく解説します。

1.喘息発作の段階


喘息発作には、症状の大きさによって4つの段階にわけることができます。

・小発作
・中発作
・大発作
・呼吸不全

それぞれどのような状態なのか、解説します。

<小発作>
軽い喘鳴があるが、呼吸困難はなく、会話も動作も通常通りにおこなえる状態です。
(喘鳴:「ヒューヒュー」「ゼーゼー」という呼吸音)

<中発作>
明らかな喘鳴がある状態で、日常生活が制約されます。
話しかければ返事はできますが、子どもは機嫌が悪い場合があります。
遊びや食事がやや困難で、寝ていても何度か目を覚ましてしまう状態です。

息を吸い込む際、胸の一部がへこむ陥没呼吸があり、呼吸困難の状態といえるでしょう。

<大発作>
喘鳴が顕著に聴かれ、日常生活はほぼできない状態です。
話しかけても返事をすることも難しく、会話も単語がやっと話せる程度です。
また、遊びや食事、睡眠はできないでしょう。

呼吸困難が著明で、横になっていられないため起坐呼吸をおこなったり、皮膚や粘膜が青紫色になる状態のチアノーゼがみられたりする場合があります。

<呼吸不全>
喘鳴は、減少または消失しますが、陥没呼吸や起坐呼吸、チアノーゼが著明にみられます。
安静にしていても呼吸困難は著明で、歩行することは不可能な状態です。
会話や食事、睡眠はほぼ不能であり、意識の低下がみられる場合があります。

いつ呼吸が止まってもおかしくない、危険な状態です。

【参考情報】『Q 2-1喘息発作の程度は、どのように見極めるのでしょうか?』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/child/09_02_01.html

【参考文献】”Asthma Attack” by Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/asthma-attack/diagnosis-treatment/drc-20354274

2.段階別 喘息発作の対処法


喘息発作には、発作の強さによって段階があることを解説しましたが、発作が起きた時にはその段階に応じた対処法をおこなう必要があります。

あらわれている症状や強さで、どの程度の発作なのかを判断します。

小さな子供の場合、自分では判断することができませんので、保護者が冷静に判断しましょう。

発作が起きた時には、パニックになったり強い不安を抱いたりします。
周囲にいる人は、落ち着かせる声掛けをして、安心できるような接し方をしましょう。

また、普段から主治医と発作時の対応方法について話し合っておくと安心です。

・発作時に使う薬とその使い方
・病院受診のタイミング

上記2つは、主治医に確認しておきましょう。

また、いざという時の備えとして、行動計画(アクションプラン)を作成しておくと、慌てず対応できます。

行動計画とは、日常の治療薬や症状、発作が起きた時の対応方法を示した書面のことです。
普段の受診の際に、主治医と話し合っておきましょう。

また、喘息のコントロール状況として、症状や発作治療薬の使用が週1回以上あれば、コントロールが不十分と考えられます。

発作の頻度や程度を主治医に伝え、喘息の長期管理について見直す必要があるかもしれません。

ここでは、4つの段階別に喘息発作の対処法について解説します。

【参考文献】”Asthma emergency first aid” by Better Health Channel
https://www.betterhealth.vic.gov.au/health/conditionsandtreatments/asthma-emergency-first-aid

2-1.小発作の対処法

苦しくても横になれる状態は「小発作」を起こしていると考えられます。

まずは、短時間作用性β2刺激薬を吸入しましょう。
短時間作用性β2刺激薬とは、気管支を広げる作用が強く即効性があり、すぐに呼吸を楽にしてくれる効果があります。
症状が改善すれば、そのまま自宅で療養しましょう。

発作が起きたことは、後日主治医に報告し、状況を伝えておくと良いでしょう。
もし、吸入をしても効果が不十分であれば、20分おきに3回まで吸入します。

それでも改善がなく、呼吸困難がある場合、救急対応ができる医療機関を受診しましょう。
発作を繰り返す場合も、医療機関の受診をしてください。

2-2.中発作の対処法

苦しくて横になれない状態は「中発作」を起こしていると考えられます。

中発作の場合も、まずは短時間作用性β2刺激薬を吸入しましょう。
吸入後も症状の改善がみられない場合、20分~30分あけて再度吸入します。

それでも改善がない場合は、救急対応ができる医療機関を受診しましょう。
もし、発作時に内服する経口ステロイド薬がある場合には、指示されている量を内服します。

2-3.大発作の対処法

動けない、または、苦しくて話ができない状態は、大発作を起こしていると考えられます。

短時間作用性β2刺激薬を吸入しながら、周囲に助けを求めましょう。
速やかに救急対応ができる医療機関を受診するか、状態によっては救急車を要請します。

2-4.呼吸不全の対処法

救急搬送が必要です。
すぐに救急車を要請しましょう。

【参考情報】『Q 2-1喘息発作の程度は、どのように見極めるのでしょうか?』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/child/09_02_01.html

3.普段からピークフロー値を把握しておこう


適切な喘息の治療やコントロールを継続していく上で、日々の状態観察はとても重要です。

発作がないときの気道の状態を把握するために、普段から自身のピークフロー値を把握しておきましょう。

ピークフロー値とは、ピークフローメーターと呼ばれる機械を使います。
ピークフローメーターは、電子式のものやコンパクトなサイズの物などさまざまなタイプがあります。
毎日使うものなので、自分が使いやすい物を選ぶと良いでしょう。

ピークフロー値の測定は、大きく息を吸って力いっぱい吐き出すことで、吐く息の最大流量を測定し、気管支の状態を把握します。

<ピークフロー値の測定方法>
・測定は1日2回
・測定する大体の時間を決めておく
・毎回同じ姿勢で測定する
・調子が悪いなと思う時にも測定する

<ピークフローの測定手順>
① 同じ時間、同じ姿勢で測定する
② ピークフローメーターの針を目盛ゼロ、または一番下に合わせる
③ できる限り息を深く吸い込む
④ 息がもれないようにマウスピースをくわえ、すばやく一気にすべての息を吐き出す
⑤ 止まったところの目盛を読む
⑥ ①~⑤を繰り返し3回測定、最高値を喘息日記に記録する

ピークフロー値や咳の有無、睡眠や食事の状況などを記録する「喘息日記」をつけておくと、自己管理や治療に役立ち便利です。

ピークフロー値が高いと気管支は良い状態で、数値が低いと気管支は狭くなっている状態を示しています。
「息苦しい」や「咳が出る」などの自覚症状がない場合でも、ピークフロー値が低いときは発作が出やすい状態といえるでしょう。

このときに、あらかじめ発作治療薬を使っておくなど対策をしておくと、次の発作の予防ができます。

症状がなくてもピークフロー値が標準より低い状態が続く場合は、かかりつけ医に喘息日記を見せて相談しましょう。

【参考情報】『気管支ぜん息』大阪府教育センター
https://www2.osaka-c.ed.jp/habikino-y/ef9e50ac18b4a71e866475f38f6343ac.pdf

4.おわりに

喘息の人にとっては、発作を起こさないよう適切なコントロールを継続することが大切です。

ピークフロー値を測定し、喘息日記をつけることで、気道の状態の把握や治療に役立ちます。
それでも発作が起こる場合もあるでしょう。

発作の対処法は、発作の大きさや個々の喘息の状況によっても異なります。
すぐに対処できるよう、発作時に必要な薬は常に持ち歩くようにしましょう。

また、発作が起こった場合に備え、夜間や休日に対応可能な病院を調べて、住所や電話番号を控えておくと、いざというときに焦らず行動できて安心です。

普段から発作の対処法について、主治医にしっかり確認しておきましょう。