喘息発作を起こさない!5つの習慣で予防

発作を繰り返し起こさないために、治療の継続はもちろんですが、発作予防の習慣を身につけることが大切です。

喘息は、しっかり治療を続けていても、生活の環境や習慣によってコントロールが不良になるケースがあります。

今回の記事では、日常のなかで喘息発作の予防に効果がある習慣を紹介します。

しっかり治療をしていても、喘息発作を繰り返している方は、ぜひ最後までお読みください。
喘息予防のポイントを押さえ、生活習慣を見直してみましょう。

1.定期的な通院


喘息は、定期的な通院をおこない、治療の継続が大切です。

定期的な通院で、体調や発作の状況、服薬状況を主治医に報告しましょう。

必要があれば、検査や薬の調整などをおこないます。

生活を送る中で、発作が起きず体調がいいからといって、自己判断で勝手に服薬や通院をやめてはいけません。
発作が起きていなくても、気道の炎症は残っており、治療を続けなければ気道の炎症は悪化していきます。

気道の炎症が悪化すると、さらに過敏性が増し、発作が出やすい状態になります。
このような悪循環は、気道の構造を変化させる原因です。

構造の変化は「気道のモデリング」と呼ばれ、徐々に気道の壁を厚くし、気道が狭くなってしまいます。気道のモデリングを起こさないよう、継続的な喘息治療が大切です。

【参考情報】『気道炎症と気道リモデリングの分子病態』日本内科学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/98/12/98_3006/_pdf

2.喘息日記をつけて体調管理


喘息発作や体調の管理をおこなうために、喘息日記をつけるといいでしょう。

喘息日記とは、以下のような内容を記載したものです。

・喘息の症状
・その他の症状
・ピークフロー値
・喘息コントロールテスト点数
・治療内容
・一日の生活リズム

その他、医師への質問や確認事項、困ったことなどを記載しておくといいでしょう。

ピークフロー値とは、気道狭窄の度合いを数値化したものです。
この数値が低いと、気道は収縮しているため発作が起きやすい状態といえるでしょう。

喘息コントロールテストとは、喘息のコントロール状況や重症度を客観的に見るために、質問に答え、点数化するものです。点数によって、喘息のコントロール状況を判断し、治療方針の検討に役立てます。

このような記録があることで、喘息発作が出るタイミングや傾向、気道の状態、治療の有効性を知ることができます。

治療の方向性を考える際の参考になるので、受診時は必ず持参し、主治医へ見せるようにしましょう。

喘息日記は大切な情報源です。
受診のときだけでなく、普段の外出の際にも持ち歩く習慣をつけておくと安心です。

【参考情報】『ぜん息日記』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/pamphlet/form/00/archives_17750.html

3.食物アレルギーに注意


食物アレルギーがあると、そのアレルゲンを含んだ食べ物や飲み物で喘息発作を誘発する場合があるので注意が必要です。

誘発食品は、卵や牛乳、ピーナッツ、小麦が多くなっています。

また、ヒスタミンやコリンを含む食材は、気道を収縮させる作用があります。
ホウレン草や里芋、ナスなどの食材は、ヒスタミンやコリンを含んでいるため、注意しましょう。

また、冷たい飲み物や熱い食べ物、炭酸飲料、香辛料などは、気道を刺激し喘息発作を誘発する可能性が高いです。

アレルゲンとなる食物や刺激の強い物、ヒスタミン・コリンを含む食材は、食べ過ぎないようにしましょう。

<乳幼児期の食物アレルギー>
乳幼児期の食物アレルギーは、気管支喘息の発症との関連が報告されています。

乳幼児期になんらかの食物アレルギーがあると、気道過敏性に影響します。

喘鳴や喘息症状を繰り返す場合があり、このようなケースでは将来の喘息発症のリスクです。

乳幼児期に食物アレルギーをコントロールしておくと、将来の喘息発症予防や喘息症状の増悪軽減につながります。

【参考情報】『食物アレルギーから気道アレルギーへ』日本小児アレルギー学会
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jspaci1987/14/1/14_1_78/_pdf

【参考文献】”Food and asthma” by FUNDRAISING REGULATOR
https://www.asthmaandlung.org.uk/conditions/asthma/asthma-triggers/food-asthma-trigger

4.できるだけお酒は控える


飲酒は、喘息発作を誘発させます。

飲酒後に喘息発作が出た経験がある方もいるのではないでしょうか。

アルコールを摂取すると、アセトアルデヒドと呼ばれる物質に代謝されます。
アセトアルデヒドは、ALDHと呼ばれる酵素で分解されますが、日本人はALDHの働きが弱い方が多いです。

アセトアルデヒドの分解が進まず血中濃度が上がると、ヒスタミン遊離を引き起こします。
このヒスタミンには、気道収縮の作用があるため、喘息発作を誘発させるのです。

完全に禁酒する必要はないですが、お酒は飲み過ぎに注意し、できるだけ控えるようにしましょう。

◆「アルコール誘発喘息」について詳しく>>

5.タバコはやめてください


喘息の方がタバコを吸うと、さまざまな悪影響があるためやめましょう。

以下は、タバコが喘息の方に与える影響です。

・肺機能の低下
・気道過敏性の亢進
・喘息発作の誘発
・喘息薬の効き目が悪くなる

肺機能の低下は、喘息の方だけでなく呼吸機能に問題がない方でも生じます。

タバコは、気道過敏性を亢進させ、煙が刺激となり発作を誘発します。
薬も効きにくくなるため、喘息のコントロール状態が悪くなる場合が多いです。

そのため、喘息の方は必ず禁煙をしましょう。

しかし、長年吸ったタバコを急にやめることは難しいです。
禁煙が難しいなら、禁煙外来を受診し、禁煙に向けて相談してみましょう。

また、喘息がある本人だけでなく、周囲の人が吸うタバコの煙(受動喫煙)も喘息に悪影響があります。同居する家族のなかに喫煙する方がいる場合は、離れた場所で吸ってもらうよう対応が必要です。

◆「タバコで咳が出る理由」について詳しく>>

6.おわりに

喘息症状のコントロールは、定期的な通院と自己管理が何より大事です。

調子が良くても、必ず定期通院をおこない、指示された服薬を続けましょう。

日々の体調やピークフロー値、喘息症状を把握することは自己管理に役立ちます。
喘息日記をつけ、受診の際に持参するといいでしょう。

お酒やタバコは、喘息悪化の要因です。
発作を起こさず、良好な状態を維持できるよう、発作予防を意識した生活を送りましょう。