喘息の治療、ゴールは?

喘息治療の大きな目標は、日常生活の質を向上させることです。

発作を起こさず、健康な方と変わらない生活を送ることが最終的なゴールとされます。

そのためには、薬物治療、運動療法、心理療法などを組み合わせた継続的な治療が必要です。

喘息はこのような治療を続けることで管理できる病気ですが、体質自体が変わるわけではありません。自己判断で中断せず、医師と相談しながら適切な治療を続けることが重要です。

この記事では、喘息治療の目標や方法についてご説明いたします。

【参考文献】”Athma” by Cleveland Clinic
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/6424-asthma

1. 喘息治療のゴールとは


まず、喘息治療にあたっての目的についてご説明いたします。

1-1.喘息治療の目標は

喘息治療の主な目標は、症状をコントロールし、発作を予防することです。

患者さんが発作を起こさず、健康な方と変わらない日常生活を送れることが大きな目標となります。

日常生活に支障をきたさないようにすること、夜間の症状を防ぐこと、運動や趣味などの活動制限がない状態を維持しましょう。

適切な治療を受けることで、患者さんは発作の不安から解放され、豊かな生活を送ることができる可能性が高くなります。

1-2.喘息治療はいつまで?

喘息は慢性の病気であり、一度発症すると完全に治るまでには時間を要し、完治は難しいとされています。

症状が良くなった場合でも喘息を起こしやすい体質は変わらないため、自己判断で治療を中止してはいけません。

医師と相談しながら、適切な治療を継続することが重要です。

症状がコントロールできている間も治療を続けることで、発作の再発を防ぐことができます。

定期的に医師の診察を受け、治療計画の見直しをしながら症状を安定させましょう。

2.主におこなう喘息の治療3つ


喘息の治療には、薬物治療、運動療法、心理療法の3つの主な方法があります。

これらの治療は、それぞれ異なる方法で症状をコントロールし、発作の予防に役立ちます。

2-1.薬物治療

喘息の薬物治療には「長期管理薬」と「発作治療薬」の2種類があります。

長期管理薬のなかでも代表的なものが吸入ステロイド薬です。

吸入ステロイド薬は気管支の炎症を抑え、喘息症状を長期的に改善する効果があります。

吸入ステロイド以外の長期管理薬には、ロイコトリエン受容体拮抗薬や持続性気管支拡張薬などがあります。

これらの薬は長期間使用して初めて効果が現れるため、自己判断で中断せずに医師の指示通りに続けることが重要です。

これらの長期管理薬の中止については、明確な基準が存在しません。

患者さんの年齢、喘息の重症度(症状の程度と頻度、治療内容など)、過去の入院歴や発作歴、全身性ステロイド薬の使用歴、季節性の症状の変動、運動による喘息症状の誘発など、個々の患者さんそれぞれの悪化因子を十分に考慮する必要があります。

一般的に、お子さんの場合は、症状が出ない良好なコントロール状態が約3か月以上続けば、薬の減量を検討します。

大人の方では、良好なコントロール状態が3か月から6か月以上続けば、薬の減量を考慮することがあります。

その後、必要最少量の薬で症状がコントロールできる状態が保てれば、薬の中止を試みることができます。

この際に、ピークフロー測定や呼吸機能検査、呼気一酸化窒素検査(呼気NO検査)、可能であれば気道過敏性検査などを実施します。

このように気道の炎症が本当に治まっているかを客観的に検査してから薬を中止するのが望ましい方法です。安全に薬の中止を試みましょう。

一方、発作治療薬には吸入気管支拡張薬があります。

発作時に使用して気管支を一時的に拡げ、呼吸を楽にすることが可能です。

吸入薬には定量噴霧式吸入器や粉末吸入器などの種類があり、正しい使い方を身につけることが必要です。これにより、発作時の迅速な対応が可能になります。

【参照文献】『Q2.吸入ステロイド薬をはじめとする長期管理薬は、いつまで続けなければならないのですか。』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/sukoyaka/50/feature/feature02.html

【参考文献】”Asthma treatment: 3 steps to better asthma control” by Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/asthma/in-depth/asthma-treatment/art-20044284

2-2.運動療法

適度な運動は、喘息発作の予防に効果的です。

運動を通じて呼吸機能を改善し、全身の健康を維持することができます。しかし、過度の運動は、運動誘発性喘息を引き起こす可能性があるため注意が必要です。

おすすめの運動としては、ウォーキングやジョギング、水泳などの有酸素運動があります。

これらの運動は負担が少なく、持続的に行うことが可能です。

運動前には必ず準備運動を行い、ご自分のペースで無理のない範囲で行いましょう。

◆「喘息でも注意すれば運動はできる」>>

2-3.心理療法

喘息発作の予防には心理療法も有効です。

喘息の患者さんは、発作の苦しみが理解されないことや、新しいことを始める際に発作が起こる、家族や友人といるときに発作が起こるなど、さまざまなストレスを抱えやすいとされています。

ストレスは発作の引き金になる場合があるため、カウンセリングや心理療法を受けストレスを減らすことが有効です。

心理療法では、ストレス管理能力を高め、発作の予防が期待できます。思い当たる症状がある方は、医師に相談して適切な支援を受けてみましょう。

【参照文献】『重症度に応じた喘息治療:そのエッセンスとコツ』日本内科学会雑誌107巻 10号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/10/107_2074/_pdf

3.おわりに

喘息は、適切な治療と管理を行うことで、日常生活に出やすい症状を効果的にコントロールし、健康な方と変わらない生活を送ることが可能です。

治療の目標は、発作を予防し、患者さんが安心して生活できる環境を作ることです。

主な3つ治療である薬物治療、運動療法、心理療法により、症状を緩和し発作を防ぎましょう。

薬物治療では、吸入ステロイド薬を中心とした長期管理薬と、発作時に使用する発作治療薬を正しく使用することが重要です。

運動療法により適度な運動を通じて呼吸機能を改善し、心理療法によりストレス管理能力を高め、発作の引き金となるストレス軽減に役立てましょう。

これらの治療法を組み合わせることで、症状をコントロールし、発作の不安から解放され、充実した生活を送ることができます。

治療は生涯にわたって必要となることが多いため、医師との継続的な相談と適切な治療を欠かさず行うことが大切です。

正しい治療と自己管理により、健康で活動的な生活を楽しむことを目指しましょう。