旅行したいけど喘息が心配。喘息の人が旅行を楽しむには
旅行は楽しい反面、疲れや環境の変化などにより普段と比べて体調を崩しやすいタイミングでもあります。
特に喘息の患者さんは、「もし旅行先で発作が起きたらどうしよう」と心配に思うこともあるかもしれません。
心置きなく旅行を楽しむためにも、喘息の患者さんが旅行前に準備しておくと安心な5つのポイントをご紹介します。
1.医師が処方した薬の携帯を!
発作時の対応や悪化予防のために、普段使用している薬を旅行先でも継続的に使用する必要があります。
長期管理薬や発作治療薬、吸入に必要な器具などは必ず持参しましょう。
台風などのアクシデントにより日程が延期してしまう可能性も考慮し、滞在日数分より多めの薬を持参するとより安心です。
また、旅行先で症状が悪化してしまった場合に備えて、旅行先の医療機関を調べておきましょう。
旅行先での受診で適切な処置を受けるために、お薬手帳や通院している病院の連絡先、病状と薬の名前が記載されたメモを一緒に携帯しておくことも大切です。
喘息の患者さんにとって薬は欠かせないものであり、持っていると安心するお守りのようなものでもあります。
旅行に行くことが決まったら念のため主治医に報告し、注意点や発作時の対応についても相談しておきましょう。
【参考情報】『ぜん息と旅行』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/travel.html
2.吸入薬は必ず機内に持ち込む
飛行機で移動する場合、機内の乾燥や空調、気圧の変化が刺激となって喘息症状が出る可能性があります。
静かな機内で咳をすると気まずい思いをしますし、発作を起こしてしまった場合には周りの人も慌ててしまいます。
こうした環境の変化や緊張によって、普段症状が安定している人でも発作が起きてしまう可能性があります。
また、特に海外旅行では預けた荷物を紛失するリスクもあり、薬が全くないまま旅行を続けて発作が起きてしまうと大変です。
症状が出た時にすぐ発作時用の薬を使えるように、必ず手荷物として機内に持ち込みましょう。
基本的に、吸入薬は手荷物として機内への持ち込みが可能です。
ただし、薬や吸入器具の種類によっては事前に診断書の提出を求められることもあるため、持ち込みのルールについて各航空会社に問い合わせたりホームページを見たりして確認するようにしましょう。
特に手動式ではなく電動式の吸入器具を使用している場合は、事前に電池の種類の確認が必要な場合もあるため注意が必要です。
【参考情報】『喘息ですが搭乗に際し注意することはありますか』ANA
https://ana-support.my.site.com/jajp/s/article/answers618ja
【参考文献】”Traveling with Asthma and Allergies” by Asthma and Allergy Foundation of America
https://aafa.org/asthma/living-with-asthma/traveling-with-asthma-allergies/
最近では、テロや違法薬物持ち込み防止のため手荷物検査が厳しくなっていて、薬の説明を求められる場合もあります。
そのような場合に備えて英文または訪問先の国の言語で記載された「薬剤証明書」があると便利です。薬剤証明書が欲しい方は主治医に相談してください。
3.宿泊先へ喘息であることを知らせておく
旅行先で喘息症状が悪化する原因として、宿泊先のダニやホコリ、タバコの煙、花火、キャンプファイヤー、温泉の硫黄の臭いなどがあります。
宿泊施設を選ぶ際には、喘息であることを伝えて禁煙室を予約しましょう。
羽毛布団やそば殻の枕、羽枕などはアレルギー症状が起こる場合もあるため避けたほうが良いでしょう。
宿泊施設の部屋は乾燥しがちなため、部屋の湿度を保つことも大切です。
加湿器や空気清浄機の貸し出しがない場合は濡れたタオルを干したり、マスクをして寝ると咳が出にくくなります。
喘息は小児に多い病気のため、修学旅行などの学校行事でも症状が悪化しないように注意が必要です。
主治医と担任の先生などに事前に相談し、持っていく薬の相談や吸入器具の使い方、宿泊先の環境、行事の内容などを確認をしましょう。
4.同行者へも喘息について説明しておく
同行者が喘息について知らないと、発作が出たときに驚かれてしまうこともあるかもしれません。
一緒に旅行をする方には次のようなことを伝えておくと安心です。
・喘息があり、環境によって急に咳などの症状が出る場合がある
・体調によってはスケジュール変更が必要になる
・発作が起きた場合の対処法について(薬や保険証を入れている場所など)
同行者に喘息について理解してもらうことで、安心して旅行を楽しむことができます。
また、旅行先ではアウトドアスポーツを楽しみたいという方もいると思いますが、ダイビングやシュノーケルなどは水中で発作が起きた場合に溺れてしまう危険性もあるため、医師の診断書が必要な場合もあります。
旅行の内容を決める際にも、喘息であることをしっかりと伝えておくことが大切です。
5.余裕のあるスケジュールを組む
旅行先で喘息の発作を起こさないためには、予定を詰め込みすぎず無理をしないことが大切です。
特に海外旅行の場合は時差もあって疲れやすいため、移動の日はなるべくゆっくり過ごすようにしましょう。
「せっかく旅行に来たから予定を変更したくない」と思ってしまうかもしれませんが、体調が悪くなった際には休憩し、臨機応変に対応しましょう。
特に喘息のお子さんとの旅行では、いざという時は旅行を中断して帰る、もしくは受診するという判断が必要です。
無理に旅行を続けて悪化するよりも、元気になってからまた旅行に行く方が良いと考えましょう。
6.おわりに
旅行中は環境の変化や疲れ、時差などから、普段症状が安定している人でも発作が起こる場合があります。
しかし、事前に主治医に相談して、薬や情報収集など準備をすれば安心して旅行を楽しむことができます。
万が一症状が悪化した場合に適切な対処ができるように、処方されている薬を持ち歩くことはもちろんですが、旅行先の医療機関の情報を調べておくと安心です。
ただし、祝日や連休に旅行をする場合は受診可能な病院が少ないため注意が必要です。
海外旅行の場合は、現地で病院を受診すると高額な医療費を請求されることがあります。
海外旅行保険では、喘息などの持病は適応外な場合もあるため、前もって確認しておきましょう。