喉がムズムズ、イガイガ。咳も止まらないときどうする?

喉のムズムズやイガイガ感、止まらない咳に悩まされていませんか?

これら喉の違和感や咳などの症状は、日常生活を不快にするだけでなく、さまざまな病気のサインかもしれません。

その原因には、アレルギーや気管支喘息、咽頭炎や胃食道逆流症などさまざまなことが考えられます。

この記事では、これらの症状の原因や考えられる疾患についてご解説いたします。

症状がひどい場合や長期間に及ぶ場合は、早めに呼吸器内科やかかりつけ医への受診を検討しましょう。

1. 喉がムズムズ、イガイガする。考えられる病気とは


喉にムズムズやイガイガを感じる原因には、さまざまな病気や状況が考えられます。

その中でも、アレルギー性鼻炎や花粉症などのアレルギー反応が主な理由である場合が多いとされます。

アレルギー反応では、花粉やダニ、ペットの毛などのアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)が鼻や喉の粘膜に付着することで免疫システムが過剰に反応し、ヒスタミンという過剰に分泌されるとアレルギー症状を引き起こす物質が放出されることにより、炎症が引き起こされます。

この炎症が喉のムズムズやイガイガ感を引き起こすメカニズムです。

◆「花粉症」について詳しく>>

【参考文献】”Allergic Rhinitis (Hay Fever)” by National Liblary of Medicaine
https://my.clevelandclinic.org/health/diseases/8622-allergic-rhinitis-hay-fever

2.気管支喘息によっておこる喉の違和感


気管支喘息は、空気のとおり道である気道の慢性的な炎症とそれに伴う狭窄を特徴とする病気です。

アレルゲンや感染症、運動、冷たい空気などによって誘発されることが多く、発作的に症状が悪化することがあります。

主な症状は、咳、息切れ、喘鳴(ぜんめい:ヒューヒュー、ゼーゼーという呼吸音)、胸の圧迫感、呼吸困難などです。とくに夜間や早朝に症状が悪化することが多いとされています。

喉の違和感は、気道の過敏性が高まっていることを示し、気道の炎症や過剰な粘液分泌によって喉の奥が刺激されることで起こります。

そのため、喘息の患者さんは、発作前や発作中に喉のムズムズ感やイガイガ感を感じることが多いでしょう。

3.喉の違和感、咳の症状から考えられる疾患


喉のイガイガやムズムズ、咳が続く場合、前述したアレルギーや気管支喘息以外にもいくつかの原因が考えられます。
ここからは、可能性のある原因についてご説明いたします。

3-1.咽頭炎と扁桃炎

咽頭炎や扁桃炎は、ウイルスや細菌によって喉の組織が感染し炎症を起こす病気です。

喉の痛みや違和感、発熱、飲み込むときの痛みなどの症状を引き起こします。

とくに扁桃炎は、扁桃腺が腫れ白い膿が付着することがあり、強い喉の痛みと違和感を伴います。

3-2.胃食道逆流症

胃食道逆流症は、胃酸が食道に逆流することで喉や食道の粘膜を刺激し、炎症を引き起こします。

胸焼けや酸っぱい液が喉に上がってくる感じ、慢性的な咳、喉のイガイガ感やムズムズ感が生じます。とくに横になると症状が悪化することが多いです。

【参考文献】Gastroesophageal reflux disease (GERD)” by Mayo Clinic
https://www.mayoclinic.org/diseases-conditions/gerd/symptoms-causes/syc-20361940

3-3.感染症

風邪やインフルエンザなどの感染症も、喉のムズムズ感や咳を引き起こします。

ウイルスや細菌が喉や上気道に感染することで喉の症状が起こります。感染症による咳や喉の違和感は、短期間で回復する場合が一般的です。

3-4.その他の要因

病気以外でも喉のムズムズやイガイガを引き起こす原因はたくさんあります。

<乾燥・寒さ>

まずは、乾燥や寒さです。

のどは直接外気にさらされるため、乾燥や寒さを感じやすく違和感が起こることがあります。

のどの粘膜が乾燥すると防御機能が低下し、細菌やウイルスに感染しやすくなるので注意しましょう。

口呼吸をすると喉が乾燥しやすくなるため、鼻呼吸を意識することも大切です。

原因が乾燥や寒さである場合の対策としては、加湿器を使って室内の湿度を保つことや、喉を保護するためにマスクを着用することが有効です。また、適度な水分補給も忘れずに行いましょう。

※ただし、加湿器を手入れせずに使用を続けると、カビが発生することがあり、喉や喘息などの症状が悪化する恐れがあります。毎日水を取り替えることや、フィルターのこまめな掃除を徹底し、正しく使用しましょう。

<熱い飲み物・熱い空気>

また、熱い飲み物や熱い空気を吸い込むことでのどにやけどを負い、違和感を覚える場合もあります。

<ハウスダストやたばこの煙など>

ハウスダストや花粉、ほこり、たばこの煙などを空気とともに吸い込むことで、喉を刺激し違和感が起こることがあります。

マスクの着用や室内を清潔に保つこと、空気清浄機の使用は、ハウスダストや花粉、ほこりから喉を守るのに有効です。

※ただし、空気清浄機も掃除せずに使用を続けると、フィルターが詰まるなど、アレルゲンの住処となってしまうため、こまめなお手入れが必要です。

<大声・長時間の会話>

大声を出したり、長時間話し続けたりすることで、喉が刺激され炎症が起こり、違和感を覚えることもあるでしょう。

この場合は、できるだけ声を出さずに喉を休めることが重要です。また、喉を酷使しないように心がけ、適度な水分補給を行いましょう。

<アルコール・飲酒>

アルコールや飲酒が原因の場合もあります。

飲酒すると体内でアルコールが分解される際に大量の水分が必要となり、細胞から水分が奪われます。そのため、喉が乾燥して炎症を引き起こし、違和感が生じます。

また、アルコールが直接喉の粘膜を傷つけることもあるでしょう。

飲酒量を控えめにし、飲酒後は十分な水分を摂りましょう。

<加齢・ストレス>

加齢や精神的ストレスも喉の違和感の原因となることがあります。

加齢に伴い、喉や口の粘膜が乾燥しやすくなり、違和感を引き起こすためです。

また、ストレスや緊張が続くと、喉の筋肉が緊張し、ムズムズ感やイガイガ感を感じることがあります。

【参照文献】『「地域連携に基づいた医療機関等における薬剤耐性菌の感染制御に関する研究」 平成30年度研究成果』抗微生物薬適正使用の手引き 第一版 ダイジェスト版
https://amr.ncgm.go.jp/pdf/190904_kanbo.pdf

4.喉のイガイガ、ムズムズ。何科を受診する?


喉に違和感がある場合、最初に受診すべきは耳鼻咽喉科です。

耳鼻咽喉科では、喉や鼻、耳の状態を詳しく診断し、必要に応じてアレルギー検査や内視鏡検査を行います。

アレルギーが疑われる場合は、アレルゲン特定のための検査を行い適切な治療をします。

症状が続く場合や咳がある場合は、呼吸器内科を受診することが重要です。

喉の違和感やかゆみだけでは疾患の判断が難しいため、症状の期間や咳の有無、そのほかの症状を医師に詳しく伝えましょう。

呼吸器内科では、喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の可能性を確認し、適切な治療をおこないます。

5.おわりに

喉のムズムズやイガイガ感は、アレルギーや気管支喘息、咽頭炎、扁桃炎、胃食道逆流症など、さまざまな原因が考えられます。

生活環境を整え、アレルゲンの回避やストレス管理など、予防的な対策も効果的です。

症状が続く場合は、自己判断をするのは避け、適切な診断と治療のために、耳鼻咽喉科や呼吸器内科を受診しましょう。

喉の違和感が日常生活に支障をきたす場合や、悪化する場合は、早めに受診することが重要です。