咳が「止まらない」ときには、どうすればいい?

咳は、体から異物を追い出すための自然な防御反応なので、健康な人でも出ることがあります。

しかし、「咳が長引いている」「一度咳き込むと止まらない」「激しい咳で夜も眠れない」という場合は、病気の疑いがあります。

咳が出る病気の中には、あまり心配のないものもあれば、一刻も早く治療を受けてほしいものもあります。その違いは、どのように判断すればいいのでしょうか。

1.咳が「2週間以上続く」「息が苦しいほど激しい」なら病院へ

風邪で咳が出ることはよくありますが、快方に向かうにつれ次第に咳も減っていき、長くても1週間程度で治まります。

このような場合は、水分をこまめに補給して、なるべく安静にしているだけでも構いません。

しかし、2週間以上咳が続いているときや、息が苦しくなるほど激しい咳が出るときは、病院で咳の原因を調べて、原因に合った治療を受ける必要があります。

風邪で2週間以上咳が続くことは、まずありません。また、最初は風邪だとしても、風邪が引き金となって別の病気を発症し、咳が長引いている可能性も考えられます。

その他、「咳をすると吐いてしまう」「咳をするたびに頭痛がする」などの症状があって不安なときも、病院を受診しておくと安心です。

2.咳が出る代表的な病気

咳が出る原因は多岐にわたりますが、その中でも代表的なのが「呼吸器感染症」「アレルギー」「感染症以外の呼吸器の病気」の3つです。

2-1.呼吸器感染症

咳が出る呼吸器感染症には、以下のようなものがあります。

・風邪
・インフルエンザ
・新型コロナウイルス感染症
・急性気管支炎
・肺炎
・マイコプラズマ肺炎
・RSウイルス感染症
・肺結核

病院では問診のほか、必要に応じて画像検査、血液検査、病原体を特定する検査などを行って咳の原因を判断し、適切な治療を開始します。

◆「咳症状から見る新型コロナウイルス感染症」について詳しく>>

2-2.アレルギー

アレルギーが原因で咳がでる病気には、以下のようなものがあります。

・喘息(アレルギー性)
・咳喘息
・花粉症

喘息は、気道に慢性的な炎症が起こることで、咳や息苦しさが現れる病気です。市販の咳止め薬では症状がよくならないので、病院で治療を受ける必要があります。

咳喘息は喘息と似ている病気で、激しい咳がしつこく長く続きます。喘息のような強い息苦しさは通常ありませんが、治療せずに放っておくと、約3分の1の患者さんが、喘息に移行するといわれています。

花粉症でも、鼻水やくしゃみのほか、咳が出ることがあります。

2-3.感染症以外の呼吸器の病気

人には感染しない呼吸器の病気で咳が出るものは、以下のようなものがあります。

・喘息(非アレルギー性)
・COPD(慢性閉塞性肺疾患)
・肺がん

喘息には、アレルギーが原因のものと、ストレスなどが原因となる非アレルギー性のものがあります。子どもはアレルギー、成人は非アレルギーであることが多いです。

COPDは、別名「タバコ病」ともいわれ、患者さんのほとんどは長年の喫煙が原因で発症しています。タバコに含まれる有害物質により、肺や気管支の状態が悪化して、しつこい痰や息切れ、呼吸困難などの症状が現れます。

喫煙習慣のある方は、念のために一度、呼吸器内科で肺の状態を調べておくと安心です。また、禁煙により予防することができるので、早めに禁煙治療を開始することをおすすめします。

【参考情報】『喫煙者本人の健康影響』e-ヘルスネット|厚生労働省

3.受診の目安

病院を受診しようかどうか迷ったときは、以下の目安を参考にしてください

・2週間以上咳が続いている
・咳が激しくて夜も眠れない
・呼吸の際に「ヒューヒュー」「ゼイゼイ」という音がする
・夜や秋など、特定の時間や季節に咳が激しくなる
・階段や坂道を上ると息切れがして苦しい
・痰に血が混じっている
・子供や高齢者の場合~いつもより食欲や元気がない

市販の風邪薬や咳止め薬を服用して、つらさをやわらげようと思う方もいるかもしれません。ただ、咳の原因に合っていない薬だと、症状が治まらないだけではなく、かえって悪化してしまうこともあります。

【参考情報】『コデインリン酸塩等の12歳未満の小児における使用の禁忌移行について』厚生労働省

市販薬を使っても、4日以上症状が続いているときは、その薬が合っていない可能性が高いので、服薬を中止して病院を受診してください。

何科にかかればいいのか迷ったときは、咳にくわしい診療科である呼吸器内科を受診してください。呼吸器内科では、画像検査や血液検査のほか、呼気NO検査やスパイロメトリーなど、呼吸機能の検査を受けることができます。

近くに呼吸器内科がなければ、一般内科を受診してください。その中でも、呼吸器専門医やアレルギー専門医がいる医療機関がいいでしょう。

【参考情報】『専門医検索』日本呼吸器学会

4.自分でできる対処法

咳はあるがそんなにひどくなく、少し自宅で様子をみたいという時は、以下の方法を試してみてください。

・水分を補給する
・部屋を加湿する
・マスクをつける

咳は、喉が乾燥すると出やすくなるため、飲み物や加湿器などで乾燥を防ぐことが大切です。冷たい刺激も咳を誘発するため、飲み物は常温か温かいものを選びましょう。

また、香辛料や炭酸も喉を刺激するので、胡椒や唐辛子が効いたスパイシーな料理や、ビールやコーラなどの炭酸飲料も控えましょう。

小児の咳には、はちみつがよいという研究もあります。お子さんが嫌がらなければ、スプーン1杯程度を与えてもいいでしょう。

【参考文献】『Honey for acute cough in children』National Library of Medicine

ただし、1歳未満のお子さんは、はちみつを食べると乳児ボツリヌス症にかかる恐れがあるので、絶対に与えないでください。

【参考文献】厚生労働省 ハチミツを与えるのは1歳を過ぎてから。

5.おわりに

風邪で咳が出ても、そんなに心配することはありません。また、インフルエンザのような感染症で出る咳も、病気が良くなれば自然と治まります。

必ず病院を受診してほしいのは、咳が2週間以上長引いている時です。さらに、息苦しさもあるときは、喘息やCOPD、肺炎などの呼吸器疾患を発症している疑いがあるので、早めに病院で検査を受けてください。