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喘息治療で使われる「オルベスコ」の特徴や副作用について解説!

喘息は慢性的な気道の炎症により起こる疾患で、適切な治療薬の選択が重要です。

オルベスコ(シクレソニド)は、吸入ステロイド薬として多くの患者さんに処方されている喘息治療薬の一つです。

本記事では、オルベスコの特徴、効果、副作用、使用方法について詳しく解説いたします。

1.オルベスコとはどんな薬?


オルベスコは気管支喘息治療の第一選択薬として広く使用されている吸入ステロイド薬です。

肺組織内で活性化する特殊な構造により、高い治療効果と安全性を両立している点が特徴です。

1-1.薬剤の基本情報

オルベスコは、有効成分として「シクレソニド」を含有する吸入ステロイド薬です。

合成ステロイド剤に分類され、強力な抗炎症作用により気道の炎症を抑制し、喘息発作の頻度や程度を軽減する効果があります。

1-2.配合成分とその作用メカニズム

オルベスコの主成分であるシクレソニドは、肺組織内で活性化される特殊な構造を持つステロイド薬です。

この薬剤は肺に到達してから初めて活性型に変化するため、局所での効果が高く、全身への影響を最小限に抑えることができます。

添加剤として無水エタノールと代替フロン(HFA-134a)が使用されています。

1-3.薬の形状と特徴

オルベスコは、「吸入剤(インヘラー)」のみの製剤で、錠剤やシロップなどの経口薬は存在しません。

エアゾール型の吸入器で、ガスの圧力により薬剤を霧状に噴射し、口から吸入して使用します。

粒子が細かいため肺への到達率が高く、1日1回の投与で効果が持続するのが特徴です。

1-4.処方される疾患と症状

オルベスコは主に以下の疾患に処方されます。

気管支喘息(最も主要な適応症):気道の慢性炎症による呼吸困難や咳
咳喘息:喘鳴を伴わない慢性的な咳が主症状
アレルギー性喘息:ダニ、花粉などのアレルゲンが原因
運動誘発性喘息:運動時に起こる気管支収縮
職業性喘息:職場環境の化学物質等が原因

◆「喘息」について詳しく>>

◆「咳喘息」について詳しく>>

◆「運動誘発性喘息」について詳しく>>

【参考情報】 『治療 ぜん息の薬』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/knowledge/medicine.html

【参考文献】”Alvesco (ciclesonide) Inhalation Aerosol – Highlights of Prescribing Information” by U.S. Food and Drug Administration
https://www.accessdata.fda.gov/drugsatfda_docs/label/2012/021658s006lbl.pdf

2.オルベスコの服用方法


正しい吸入方法を身につけることで、オルベスコの効果を最大限に発揮できます。

用量は年齢や症状の重症度により調整されるため、医師の指示に従って使用することが重要です。

2-1.年齢別の標準用量

【成人の場合】
・通常量:100~400μgを1日1回吸入
・最大量:1日800μg(朝・夜の2回に分けて投与可能)

【小児の場合】
・通常量:100~200μgを1日1回吸入
・症状が良好にコントロールされている場合:50μg1日1回まで減量可能

【正しい吸入手順】
・キャップを取り外し、吸入器を垂直に持つ
・息を静かに吐き出す
・吸入口を口にくわえ、唇で密閉する
・薬剤の噴射と同時にゆっくりと深く息を吸う
・10秒間息を止めて薬剤を肺に留める
・吸入後は必ずうがいを行う

2-2.使用上のコツと注意点

吸入器は必ず垂直に保持し、噴射と吸入のタイミングを合わせることが重要です。

また、ボンベ内の薬剤が無くなってもガスは出続けるため、規定回数を確認して使用してください。

【参考情報】 『エアゾール製剤|吸入器の特徴と注意点』環境再生保全機構
https://www.erca.go.jp/yobou/zensoku/basic/adult/control/inhalers/feature04.html

【参考文献】”ALVESCO — Dosage and Administration” by DailyMed
https://dailymed.nlm.nih.gov/dailymed/drugInfo.cfm?setid=9f6112fb-78ef-43cf-8ae3-36370eb45468

3.オルベスコの副作用


オルベスコは比較的副作用の少ない薬剤ですが、使用する際は起こりうる副作用を知っておくこと、また適切な予防策をとることが大切です。

【よくある副作用】
・嗄声(声のかすれ):最も頻度の高い副作用
・口腔カンジダ症:口の中のカビ感染
・呼吸困難:気管支痙攣による症状
・発疹・かゆみ:アレルギー反応による皮膚症状
・血管浮腫:顔や唇の腫れ

【重篤な副作用(稀に発生)】
・重篤な過敏症状:アナフィラキシー様症状
・副腎皮質機能抑制:長期大量使用時

3-1.副作用の予防と対処法

最も効果的な予防法は吸入後のうがいです。口腔内に付着した薬剤を洗い流すことで、嗄声や口腔カンジダ症を予防できます。

うがいができない場合は、水やお茶を飲んで口をすすぐことも有効です。

副作用が続く場合は、速やかに医師に相談してください。

【参考情報】『口腔カンジダ症』日本口腔外科学会
https://www.jsoms.or.jp/public/disease/setumei_koku/#c05

4.使用上の注意点


患者さんの年齢や体調、併用薬により特別な配慮が必要な場合があります。

また、薬剤の品質を保つためにも、適切な保管方法を守りましょう。

4-1.特別な配慮が必要な方

妊婦、授乳婦
治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ使用します。
動物実験では胎盤通過性が報告されているため、医師との十分な相談が必要です。

小児
成人と比較して慎重な投与が求められます。
家族も正しい使用方法を理解し、見守ることが重要です。
5歳以上のお子さんでは、臨床試験に基づく安全性や効果が確認されています。
5歳未満のお子さんに使用する場合には、医師が慎重に判断する必要があります。

高齢者
一般的に標準用量で使用可能ですが、持病や併用薬をかかえている方も多い為、定期的に経過を観察することをおすすめします。
また、お薬手帳を持参することで併用する薬の伝え忘れもなくなりますので、薬局で提示できるようにすると良いでしょう。

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4-2.薬物相互作用と併用注意

CYP3A4阻害剤(一部の抗真菌薬など)との併用時は、血中濃度上昇の可能性があるため注意が必要です。

他の薬剤を服用中の場合は、必ず医師に報告してください。

4-3.保管方法と取り扱い注意

・室温(1~30℃)で保管
・直射日光、高温(50℃以上)、湿気を避ける
・乳幼児・小児の手の届かない場所に保管
・ボンベを水で濡らさない
・火気の近くに置かない
・使用後はキャップを閉めて携帯袋に保管

5.オルベスコの薬価


オルベスコには、現在ジェネリック医薬品は存在しないため、薬価は統一されています。

安心して無理なく治療を継続するためにも、オルベスコの費用についても紹介します。

5-1.現在の薬価(2025年現在)

・オルベスコ50μgインヘラー112吸入用:962.3円/キット
・オルベスコ100μgインヘラー56吸入用:898.5円/キット
・オルベスコ100μgインヘラー112吸入用:1,256.9円/キット
・オルベスコ200μgインヘラー56吸入用:1,112.1円/キット

5-2.ジェネリック医薬品の現状

現在、オルベスコ(シクレソニド)のジェネリック医薬品は販売されていません。

シクレソニドはオルベスコが唯一の製剤となっています。

5-3.市販薬での代替

オルベスコは処方箋医薬品のため、同等の効果を持つ市販薬は存在しません。

喘息治療には医師による適切な診断と処方が必要です。

喘息は、早期に治療することで、十分にコントロール可能な疾患です。

「息苦しい」「長引く咳」等の症状がある時には、まずは一度受診することをおすすめします。

◆「咳で息苦しい時に考えられる病気」>>

◆「長引く咳で疑われる疾患について」>>

6.おわりに

オルベスコは気管支喘息治療において高い効果と安全性を持つ優れた吸入ステロイド薬です。

正しい使用方法を守り、定期的な医師の診察を受けながら継続使用することで、喘息症状を良好にコントロールし、健康的な日常生活を送ることができます。

体質に合わない場合は、パルミコート、フルタイド、キュバールなどの代替薬もありますので、症状や副作用について医師と相談し、最適な治療法を見つけていきましょう。

◆「喘息治療、ゴールは?」>>

◆「フルタイド」について詳しく>>

◆「喘息の治療で使われる吸入薬について」>>

【参考文献】”Ciclesonide Oral Inhalation — Drug Information” by MedlinePlus (U.S. National Library of Medicine)
https://medlineplus.gov/druginfo/meds/a609004.html